先週は、想定通り9,000円をはさんだもみあいへ

先週の2日(月)の時点での予測では、200日移動平均線(29日時点で8,940円)を突破し9,000円台回復となったことで、200日移動平均線を下値サポートとして9,000円前後で値固めができれば、さらなる上昇が続くとしました。目先は、上値は26週移動平均線が9,171円、75日移動平均線が9,223円にあり、そのまま上昇するのは難しいとしました。

先週は、週末の6日(金)に米6月雇用統計を控えており、それまでは9,000円前後の値固めの動きとなり、雇用統計次第で戻りを試す動きになる可能性があるとしました。その場合、雇用統計が悪化すればQE3の期待からドルが売られNYダウが上昇することを想定しましたが、そうはなりませんでした。日経平均は、週前半は欧米株式の堅調さと円安基調から、4日(水)には9,136円まで上昇しました。しかし、騰落レシオも130%を超える短期過熱を示す状況となっており、上値も抵抗ラインに接近していることで上値は重たい展開となりました。

週末の世界の株価の動きはちょっと違った動きとなりました。5日(木)は、ECBが想定通りの0.25%の金利引き下げを発表(過去最低水準の0.75%)、中国が予想外の2カ月連続の利下げを発表、英中銀も利下げを発表というように、世界の主要国が相次いで追加の金融緩和の実施となりました。本来ならば、世界的金融緩和の高まりで世界の株価は上昇するところですが、ほとんど反応しませんでした。これを受けて6日(金)の日経平均は一時8,977円まで下げて▼59の9,020円で引けました。

週末6日(金)のNYダウは、6月雇用統計の悪化を受けたもののQE3の期待が話題にならず、各国の金融緩和にも反応せず、一時▼193の12,702ドルまで下げて▼124の12,772ドルで引けました。

今のところ世界の株価が上昇していないのは、相次いだ各国の利下げを受けて世界経済はそれほど悪化しているのかという見方が優勢となり、金融緩和がすぐに景気の回復に結びつかないという判断になっているのでしょう。つまり、追加の金融緩和と世界の景気悪化との綱引き状態となっていることになります。ただ金余り相場では、いずれ商品市場や株式市場に流れてくることになると思われます。

今週は、8,800~9,100円が基本レンジ

今週は、景気悪化と金融緩和の綱引きの中で、まずは景気悪化を織り込む動きが先行する可能性があります。一つには、アメリカの本格化する企業決算への不安があるからですが、企業決算が悪化してNYダウが下落すればQE3期待が下支えしますので、下値は限定的と思われます。次に中国では10日(火)に6月の貿易統計、13日(金)に4-6月期GDPが発表されますので、内容が悪ければ投資家心理にマイナスとなります。

日本市場について言えば、11~12日の日銀金融政策決定会合で何らかの金融緩和策を打ち出すのかどうか注目となります。EUや中国が先行しており、そのまま放置しておけばリスク回避の円買いとなって再び円高方向に為替がブレる可能性があり、そうなると輸出関連の主力株中心に日経平均は売られることになります。

今のところ、テクニカルな過熱感からタイミングよく一服しているという見方もできますので、下値は下げても25日移動平均線(9日:8,755円)でサポートされるところです。

本日は、先週末の欧米株式の下落と円高を嫌気し、前場は▼97の8,922円で寄り付き、8,919円をつけると下げ幅を縮小し▼75の8,944円の前引けとなりました。週足の13週移動平均線(6日:8,911円)水準から少し戻したところでしたが、後場になると円高や寄前の内閣府発表の機械受注統計が予想を大きく下回ったことで輸出株が売り直され、▼123の8,896円で引けました。内需の大型株はしっかりしていたことでTOPIXは▼7ポイントの下げとなっています。日経平均は25日移動平均線が下値ポイントとなりそうです。

(指標)日経平均

先週は、週末の米6月雇用統計を控え様子見の展開が続くとし、上値は9,200円水準までで、下値は円安基調にサポートされ9,000円をはさんだもみあいを想定しました。

週前半は、欧米株式の堅調さを受けて4日(水)は9,136円まで上昇し△37の9,104円でした。その後は世界景気の不透明さから5日(木)は▼24の9,079円、週末の6日(金)は各国の利下げの実施も逆に世界の景気悪化を実感させることになり、一時8,977円と9,000円を割り込み、大引けは▼59の9,020円で引けました。

今週は、世界的な追加の金融緩和の流れと世界的な景気減速懸念の綱引きの中で、9,000円をはさんだもみあいが続きそうです。下値は各国の利下げを受けて限定的との見方が多く、11~12日の日銀の金融政策決定会合で何らかの緩和策が打ち出されると9,200円を試す可能性があります。下値は、200日移動平均線(9日:8,954円)を切ると25日移動平均線(9日:8,755円)があります。

9日(月)は、欧米株安と円高進行を受けて前場は8,900円台を守ったものの、後場は徐々に下げ幅を拡大し▼123の8,896円で引けました。このまま反発して9,026円以上で引けるとろく買出現で戻りを試す形となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、週末6日の雇用統計を控え様子見の展開となりそうであり、13,000ドルは上値のフシになるところであり、ここから強気は期待できないとしました。雇用統計が弱ければQE3期待で上昇と想定しました。

3日(火)は、独立記念日を翌日に控え半日取引の中を5月製造業受注指数の好結果を受けて12,946ドルまで上昇しました。祝日明けの5日(木)は▼47の12,896ドルと反落し、週末の6日(金)は、6月の雇用統計が予想を下回ったことで▼124の12,772ドルの大幅下落となりました。QE3が打ち出されるほどの悪化ではなかったことで下落しました。

今週は、世界的な追加の金融緩和と世界経済の不透明さとの綱引きの中で4-6月期の決算発表が始まります。9日(月)の非鉄大手アルコア、13日(金)のJPモルガン・チェースが注目となります。11日(水)にはFOMCの6月分の議事録が公表されます。追加の金融緩和の期待が高まっても上値は限定的で決算にらみの展開となりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、EU首脳会議が予想以上に前進したことで欧州債務問題もいったんは落ち着き、ユーロの買い戻しが進み、ドルに対して円も上昇しにくくなるとしました。そのため79.5~80.5のレンジを想定しました。

2日(月)は、6月ISM製造業指数の悪化で金融緩和期待からドル売りとなり、ザラ場では79.31円までの円高となりましたが、引け値では79.51円でした。その後はドルが買われ、5日(木)には80.092円まで上昇するものの、週末の6月雇用統計の悪化を受けてドルが売られ、6日(金)は79.61円で引けました。

今週は、株式相場が軟調になればQE3期待からドル売り・円買い基調となり、11~12日の日銀の金融政策決定会合で追加の金融緩和期待が高まれば円売りの流れとなるため、円相場は一進一退の動きとなりそうです。79~80円のレンジが基本となります。

ドル/円