先週の日本市場の営業は2日間だが、急激な円高を受けて下放れの形

連休の谷間5月1日(火)時点での予測は、前日の米経済指標の悪化をキッカケに1ドル=80円割れとなったことで、日経平均は前場に9,500円を割り、後場になると、豪中銀が予想を上回る利下げ0.5%(市場予想0.25%)を発表したことで豪ドルが急落し、米ドルも対円で売られたことで、日経平均は▼169の9,350円となりました。4月11日の直近安値9,388円を割ったことで目先は下放れの形となりました。NYダウは、4月ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで、13,338ドルと約4年半ぶりの高値まであって△65の13,279ドルで引けました。一方、翌2日(水)の日経平均は週末に米雇用統計やフランス大統領選、ギリシャ総選挙を控えて上値重く△29の9,380円で引けました。

先週は欧米の動きを見極めるところとしましたように、4日(金)の4月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が11万5,000人増と市場予想の約16万人を大きく下回り、昨年10月以来の小幅な伸びとなりました。昨年12月から今年2月までは20万人を越えていましたが、3月は15万4,000人、4月は11万5,000人と2カ月連続で20万人を割り込みました。雇用者数が増えても資金の伸び率は低く、雇用増→消費増という好循環には繋がっていません。FRBは必要に応じて追加の緩和策を検討するつもりですが、QE3は欧州債務問題から世界同時株安となることを想定した場合の対応策と考えられているようですので、いつどのような緩和策が出てくるのか注目されるところです。

選挙結果を受けて欧州債務問題不透明感強まる。下値模索へ

先週は5月1日(火)・2日(水)の2営業日でしたが、▼169の9,350円と4月11日の9,388円から4月27日の9,691円のレンジの下限を切って引けました。昨年11月25日の安値8,135円から今年3月27日の高値10,255円までの上昇幅の1/3押し(9,549円)を下回り、1/2押し(9,195円)に接近していました。先週末4日(金)のシカゴ先物は大証比9,150円となっています。騰落レシオも2日時点で70.68%と、底値圏のシグナルが出る70%割れ寸前となりました。

問題はどこで下げ止まるかですが、目安として移動平均線でみてみると、25日線(2日時点9,666円)、75日線(2日時点9,476円)を既に下回っていますので、次は200日線(2日時点9,070円)が1つの目処となります。週足でも26週移動平均線が9,096円にあり、柴田罫線でも9,093円に関門があります。9,000円台は大きな抵抗ゾーンとなっています。この水準にくれば、もう一段下があることを想定(欧州債務問題がどうなるか不透明)して買っていくところです。本日7日(月)は、先週末の米雇用統計の予想を大きく下回る結果を嫌気し、また、昨日のフランス大統領選でサルコジ大統領が敗れたこと、及びギリシャの総選挙で連立与党が過半数を確保できなかったことから欧州が再び混乱することも予想され、日経平均は▼261の9,119円で引けました。

また、3月27日に10,255円の高値をつけて以来1カ月以上の下落し、下落率も10%に近付いていますので、反発局面に近付いていると見ることもできます。アメリカ株式に対する日本株式の出遅れが鮮明になってきていますが、この出遅れ解消には為替の円高が止まる必要があります。円高が一段と進めば、900円割れの可能性(2/3押しで8,842円)もありますが、ただ、東証1部のPBRは2日時点で1倍まで低下しており、再び日本株に割安感が出ていますので、下値では外国人の押し目買いが入ることが期待されます。

(指標)日経平均

先週は大型連休の谷間で営業日が2日しかなく、下値を4月11日の9,388円、上値を4月27日の9,691円とするボックス相場での9,500円を挟んだもみあいを想定しました。しかし、4月30日(月)に、米経済指標の悪化からドルが売られ、2月21以来の80円を突破する円高となり、さらに5月1日(火)には、豪ドルの急落で円が米ドルに対しても一段高となったことで、主力の輸出関連株中心に売られて▼169の9,350円と4月11日の安値9,388円を割って引けました。

今週は、先週末の4月米雇用統計が市場予想を下回ったことで米景気の減速懸念が広がり、円が対ドル・ユーロで円高へ振れており、下値模索の動きになる可能性があります。シカゴ先物(CME)は大証比9,150円となっています。市場の見方では200日移動平均線(2日時点9,070円)が下値の目処のようですが、柴田罫線でもこの水準がフシになっています。本日7日(月)は、フランス大統領選でサルコジ大統領が敗れ、ギリシャの総選挙の結果も不透明なことからユーロ経済の見通しが立たなくなってきたことで、日経平均は9,109円まで下げて▼261の9,119円で引けました。9,000円台は堅いフシになるところですが、9,000円を切ると8,800円が次の下値ポイントと思われます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、企業決算のピークを過ぎ、市場の関心は週末の4月米雇用統計とフランス大統領選、ギリシャ総選挙に移るとしました。チャートからみると、4月2日の直近高値13,297ドル(終値13,264ドル)前後で止まると、ダブル天井のような形になるため注目するところとしました。結局、5月1日(火)に、4月ISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことで、一時13,338ドルと約4年半ぶりの高値となって△65の13,279ドルで引けました。しかし、追加の金融緩和観測が後退してドルが対円で80円を割る円高となり、さらに、注目の先週末の米雇用統計が予想を下回ったことで、4日(金)は▼168の13,038ドルで引けました。

今週は6日(日)のフランス大統領選とギリシャの総選挙を受けて不安定な相場展開となる可能性があります。市場予想を下回る経済指標が目立っており、10日のバーナンキ議長の講演が注目となります。チャートからは、4月13・23日の12,845ドルを終値で下に切ると売転換と同時に下放れの形となり、4月10日の12,710ドルを試すことになると思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

4月30日(月)に米景気指標の悪化を受けてドルが80円を切り、また、豪中銀が予想以上の利下げをしたことで、5月1日(火)は79.640円までの円高となりました。そこで先週の予測では、週末の4月米雇用統計とフランス大統領選、ギリシャ総選挙を控えて円高基調となるため79~81円のレンジを想定しました。

結局、5月1日(火) の79.640円までドルが売られたあと2日(水)の80.606円まで反発するものの、週末の米雇用統計の悪化を受けて再び79.789円まで売られ、79.814円で引けました。今週は、 6日(日)のフランス大統領選とギリシャの総選挙を受けて不透明さを増せば、リスク回避の円買いとなる可能性があります。また、米雇用統計の予想を下回る結果からFRBによる追加の金融緩和期待が高まれば、日米金利差縮小の見方からドル売り・円買いの動きも想定されます。79~81円のレンジの中で円高基調を想定。

ドル/円