先週は9,500円を一旦切って反発

4月9日(月)の予測では、市場のコンセンサスは9,500円水準となっていますが、SQも絡んで週前半は下値模索となりそうだとしました。その場合、欧州債務問題の再燃や中国経済の減速、さらに、米景気回復の遅れが鮮明となれば、円買いも進行して9,000円を試す動きになってもおかしくないとしました。しかし、その反面、中国の利下げ期待や米国のQE3への期待もあり、9,500円を大きく下に切っていく可能性は少ないという見方もできるとし、反発しても3月27日の10,255円をすぐに更新するのは難しいとしました。

結局、4月11日(水)には、前日にスペインの国債利回り上昇から欧州債務問題が再燃したことで、欧米株式が大幅下落し、日経平均は一時9,388円と9,400円を割れて▼79の9,458円で引けました。しかし、12日(木)に、NY連銀総裁が追加の金融緩和を支持する発言をしたことで、NYダウが△181の12,986ドルと大幅続伸し、13日(金)の日経平均は△113の9,637円と9,600円台を回復しました。この日の4月SQ値は9,638円でしたので、週の終値はSQ値を1円突破できずに引けました。

今週は方向感の無い展開が想定され、上昇しても上値は限定的

先週末13日(金)の日本市場は9,637円の大引けとなりました。しかし、引け後のアメリカ市場で、中国のGDPが市場予想の△8.4%を下回る△8.1%と5期連続の低下となったことや、スペイン銀行による3月のECBからの借り入れ額が前月比で倍化しており、スペインでの流動性不足が懸念されたこと、さらに、ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を下回ったこともあって▼136の12,849ドルと反落しました。シカゴ日経225先物は9,530円と大証の終値9,640円より安く終わっており、日経平均は週始めは軟調スタートとなりそうです。

米金融関係の決算発表が本格化しますが、市場予想は悪いため良い数字が出ると株価のサポート要因になります。19日(木)にスペイン国債の入札を控えており、欧州債務問題の再燃が気になるところです。国内では、週末からの3月期決算の発表を前に様子見が強まりそうですので、結局、方向感の無い動きで9,400~9,700円台でのもみあいが想定されます。週明け16日(月)は、先週末の欧米株式の大幅安と為替市場でユーロ/円が2カ月ぶりに105円を割る円高となったことで、輸出関連株中心に売り先行となり、後場になると、先物主導で一段安となって▼167の9,470円で引けました。

ここからの投資スタンスは多少リスクを取るか、リスクを少なくするかの2通り
-基本は再度の大きな下げを待つこと-

先週のメッセージとしては、日経平均の9,500円水準に合わせて買っていくところとし、その場合、下値が出ることを前提にすることをアドバイスしました。9,500円を切ったのは11日(水)の1日だけでしたので、買うのは難しかったと思われます。もし買った場合は長く保有せず、多少の利益でも日経平均の戻りで反発すれば利益確定しておくところです。今回の反発は、今までと違って相場環境に変化(中国経済の成長鈍化、欧州債務問題の再燃、米経済回復の遅れ)が出ており、株価サポートの最大要因は追加の金融緩和です。その金融緩和だけで世界の株価がどこまで上昇するのかはタイミングと規模によりますが、今のところはわからず、期待と小出しの金融緩和策が出て株価をサポートするくらいのものでしょう。米国のQE3は、多分、欧州債務問題再燃から世界同時株安となった時のために温存している可能性があります。ということは、今回の上昇は限定的で、そのあと再度大きな調整となって何らかの対策が出て、再び大きな上昇相場が生まれてくると思われます。その場合、今年1月から3月までの日経平均が世界でトップの上昇率を示していますので、外国人は再び日本株を買ってくる可能性が高いといえます。投資スタンスとしては、多少リスクを取っていいならば、当面の戻り相場の中で押し目を買って短期で勝負するか、リスクを少なくするならば、戻りのあとの大きな調整を待つところとなります。もちろん、それ以外にも世界的に予想外の好材料が出て、高値を試す場合もないとはいえませんが、それはそれで仕方がないと考えることです。

多少リスクを取る場合

9,400~9,800円を基本のレンジとして、日経平均の9,500円水準以下で個別株を買い(その場合はもう一段下があると想定するか、もしくは損切りポイントを設定する)、9,800円に接近すれば一旦利益確定するという投資スタンスになります。今回の上昇では日経平均がそのまま1万円を突破する可能性は低いので、買った株を保有し続けないことが大切です。利益確定も5%くらいのものでしょう。逆に、日経平均が大きく戻れば、損切りポイントを設定した空売りの短期勝負が面白いと思われます。先週12日(木)に、5423東京製鐵を終値で733円抜けると損切り前提に空売り推奨しましたが、翌13日(金)に高値で703円まであって約定し、本日16日(月)には安値で665円まであって利食いポイントに到達しました。業績の良い銘柄もまだ下げ足りず、下値を確認したあと本格的な上昇相場になっていきます。

リスクを少なくする場合

今回の11日(水)の9,388円からの上昇は、急落後の短期的なリバウンドの可能性が高いと思われます。それは、上述したように、好調だった米経済指標に予想を下回るものが増加し、また、スペイン・イタリアなどの国債利回りの上昇による欧州債務問題再燃の可能性が高まり、中国経済の成長が減速しているからです。株価の下値をサポートしているのは世界的金融緩和期待ですが、これが現実の対策として出るのは、危機が拡大して政治が動いてからとなるのが普通です。それまでにイランの核問題やフランス・ギリシャの総選挙で現政権が敗退すれば、欧州危機が拡大する可能性もあります。

以上を考えると、今回の上昇で買って売り損なうと、これまでのような塩漬け(評価損)のままで資金効率を落とすことになります。確率的に世界株式はもう一度大きく調整するとみた方がよいでしょう。資金を有効に使うためには次の下げを待つという忍耐が必要ですが、現実のものとなれば、リスクの少ない大きな儲けのチャンス到来となると思われます。

(指標)日経平均

先週は、4月9日(月)に9,546円の終値となって売転換が出現したものの、9,500円水準には多くの抵抗ラインがあるため、ここを守れるかどうかとしました。11日(水)は、スペインの国債利回り上昇と日銀の金融緩和見送りを嫌気して一時9,388円まで下落し、大引けは9,458円でした。しかし、その後は、アメリカの追加の金融緩和期待からNYダウが大幅上昇となったことで反発し、13日(金)は△113の9,637円で引けました。

先週末のシカゴ日経225先物は9,530円と大証の終値9,640円より安く終わっており、日経平均は軟調スタートとなりそうです。本格化する米企業決算発表を前に景気回復への期待と欧州債務問題再燃という強弱材料の綱引きとなって、9,400~9,700円台でのもみあいが想定されます。週明け16日(月)は、スペイン国債の利回り上昇から欧州債務問題が再燃し、ユーロ/円が2カ月ぶりに105円を割る円高となったことで、先物主導で一段安となって▼167の9,470円で引けました。出来高15.2万株、売買代金9,860億円とボリュームが細ってきています。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、4月9日(月)に▼130の12,929ドルで売転換が出現したことで、追加の金融緩和などの好材料が出ない限り一旦の調整となり、次の下値ポイントは3月6日の安値12,734ドルになるとしました。10日(火)には、欧州債務問題が再燃して▼213の12,715ドルと大幅下落し、3月6日の安値12,734ドルを下に切りました。しかし、12日(木)には、NY連銀総裁が追加の金融緩和を支持する発言をしたことで△181の12,986ドルと大幅続伸となりました。週末13日(金)は、中国のGDPの伸び率が予想を下回ったことを嫌気して▼136の12,849ドルで引けました。1週間で210ドル(1.6%)の下落となり、今年最大の下げ幅でした。

今週から1-3月期決算が本格化しますが、欧州債務問題の再燃懸念もあり、決算を見極めながら不安定な値動きになる可能性があります。チャートの形としては、引線の終値で13,000ドル台を回復できれば、戻りを試す可能性もありますが、12,710ドルを切ってくると一段安となります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、日米の金融政策の先行きを見極めようとする動きから81~83円のレンジでの動きを想定しましたが、欧州債務問題の再燃からリスク回避の円買いとなりました。4月10日(火)は、スペイン経済の悪化から国債利回りが6%近くまで上昇したことで欧州債務問題が再燃し、ユーロが大幅安となって、円はドルに対しても80円台後半での動きとなりました。11日(水)は、アメリカでベージュブックの景気判断が改善を示したことで、ドルが買われて80.570円まで円高が進みました。

今週は、米経済に対する懸念からの金融緩和期待と欧州債務問題再燃からのユーロ売りによるリスク回避の円買いの一方で、27日の金融政策決定会合での日銀による追加の金融緩和観測もあり、一方的な円高にはなりにくいと思われます。80~81.5円のレンジを想定。

ドル/円