先週は、週前半の3月7日(水)に9,509円まで下げて急反発

2月29日(水)の9,866円を目先のピークに調整に入るとし、先週は日柄調整となるのか値幅調整となるのか注目するところでした。しかし、週前半に3日連続安となり、7日(水)には9,509円の安値をつけたことで、NYダウや為替次第では昨年11月25日の8,135円からの上昇幅の1/3押し(9,300円水準)もしくは1/2押し(9,000円水準)を想定していました。

しかし、NYダウや為替は想定した逆の動きとなりました。ギリシャの債務交換懸念からデフォルトの可能性もあるとされていた問題が順調になったことで、欧米株式が反発し、また、2月米ADP雇用統計が改善し、週末の雇用統計も改善が期待されていたことからドル買い・円売りとなりました。8日(木)には、日本の1月経常収支が過去最大の赤字となって円売りを加速させ、日経平均は主力の輸出関連株中心に買われ、翌9日(金)の3月SQに絡んで指数を引き上げるために、日経225の値ガサ株が買われて△192の9,768円となりました。週末9日(金)も欧米株式の上昇と円安基調から9,911円と高寄りし、後場には、一時昨年8月1日以来の1万円台回復となり、大引けは△160の9,929円でした。3月SQ値9,946円を上回って引けることができませんでした。

スピード調整の背景は何か?

先週の日経平均は、予想以上に早い円安進行となったことで、2月29日(水)の9,866円から3月7日(水)の9,509円までの357円の下げ幅(▼3.6%)のスピード調整から急反発し、一時1万円台を回復しました。昨年11月25日の8,135円から先週末3月9日(金)の10,007円までの上昇率は約23%となります。

この上昇の背景は、昨年のレポートでも書きましたが、今年はGDPが世界でトップクラスであり、復興需要を考えると、これまで大底圏にいた日本株式は、外国人投資家から見直され、今年No.1のパフォーマンスをあげる可能性があるとしました。結局、外国人投資家が買い、国内の機関投資家や個人の売りを吸収して上昇しています。そして、1万円近辺まで上昇したにも拘らず、外国人投資家の買いが継続しています。GDPがトップクラスとなる日本市場の出遅れ感に注目し、外国人投資家の本格的な日本株買いがスタートしたとすれば、経験則では数年単位での買いが続く可能性が高いといえます。

先週のスピード調整に限って言えば、その要因は急速な円安進行にあります。私は、先週のドル/円のレンジを80.5~82.5円としていましたが、3月7日(水)の80.584円から週末9日(金)の82.636円への急激な円安進行となりました。ギリシャ問題の落ち着きやアメリカの経済指標の改善、さらに、日本の1月経常収支が過去最大の赤字となったことがドル買い・円売りを加速させました。このため、主力の輸出関連株が買われ、SQに絡んで先物主導による一段高となったわけです。ただし、目先は9日(金)時点の騰落レシオが142.7%と過熱シグナルとなっており、3月SQ値9,946円を大引けでは下回っていますので、ここを早めに終値で抜けなければ、多少もたつくことになります。

柴田罫線で、8日(木)に9,768円でろく買という追加の買法則が出現したことで、2月29日の9,866円を突破できれば一段高になるとしました。そして、翌日は10,007円まであって△160の9,929円でした。こうなると、悪材料(欧州問題の悪化やイラン核問題など)が出ない限り、まずは昨年7月22日の10,149円を試す動きとなります。ここを突破すれば10,492円が上値ポイントとなり、その上は震災前の高値3月4日の10,768円となりますが、上昇し続ける相場はないわけですから、どこかで大きな調整が入ります。しかし、すでに本格上昇相場になっている可能性が高いため、8%前後の調整があれば再上昇という可能性が高いといえます。そうすると、10,200円水準からの調整で下値は9,500円、10,700円水準からの調整で下値は1万円というパターンが想定されます。株式投資で資産を作るためには、そういうパターンになるのを待つのが基本ですが、目先の上昇相場に乗る場合は出遅れ株か損切りポイントを設定した輸出関連株の押し目買いとなります。

本日12日(月)は、先週末に一段の円安となっていたことや寄前発表の1月機械受注が予想を上回ったことで、1万円台を回復して始まりました。しかし、ユーロ/円で円高方向に振れたことやアジア株式が軟調なこともあり、マイナスに転じて▼39の9,889円で引けました。13日のアメリカのFOMCへの期待もありましたが、騰落レシオの過熱感や3月末の決算対策の売りもあり、利益確定売り優先となりました。円安一服であれば、今週は1万円を前にもたつく可能性があります。

出島昇のブログ http://ameblo.jp/zubakabu80

(指標)日経平均

先週は、2月29日の9,866円を目先のピークに日柄調整と値幅調整のどちらになるかハッキリする週だとしました。しかし、週前半に3日連続安となり、7日(水)には9,509円の安値をつけて切り返し、週末は一時10,007円まで上昇して△160の9,929円で終わり、スピード調整となって再上昇の形となりました。

今週も、為替の円安基調が続いているため、輸出関連の主力株中心に上値を試す展開が想定されますが、東証1部の騰落レシオが142.7%となっており、短期の過熱感が出ています。

日経平均

(指標)NYダウ

2月29日の13,055ドルを目先のピークに目標達成感から一旦上昇幅の1/3押し(12,447ドル)くらいの調整になっていくのではないかと想定しました。3月6日(火)は、欧州の景気後退やギリシャの債務交換の不透明さから▼203の12,759ドルと今年になって最大の下げ幅となったものの、アメリカの経済指標の改善やFRBの追加緩和策への期待で週後半は一気に下げ幅を取り戻す動きとなり、週末は12,900ドル台回復となりました。

今週は、3月6日の12,734ドルを切らずに2月29日の13,055ドルを上に抜けば、ろく買という追加の買法則が出現して一段高となっていきます。ただし、当面は目立った材料なく13,000ドルを睨んだ攻防が続くことも考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、週末3月9日(金)に米雇用統計を控え、改善が期待されていることでドル買い・円売りの基調は変わらず、80.5~82.5円のレンジを想定しました。

81円台半ばで推移していましたが、7日(水)に、中国の成長率の鈍化やユーロ圏のGDPが前期比▼0.3%だったこと、さらに、ギリシャ国債の債務交換の不透明さからリスク回避の円買いとなって80.584円までの円高となりました。しかし、すぐにギリシャ国債の債務交換は楽観的見通しとなり、アメリカの経済指標が改善したことで、ドル買い・円売りとなって81円台半頃までの円安となり、週末になると、米2月雇用統計の改善で、さらにドル買いが進み、82.636円まであって引け値は82.423円となりました。今週はドル買いも一服するところですが、13日(火)のFOMCでQE3への期待が後退すれば、再度ドルが買われて83円を試す動きが想定されます。81~83円のレンジを想定。

ドル/円