先週は、先に1万円を試す動きとなって、週末は昨年8月以来の9,647円

先週は、そのまま1万円まで上昇するという見方と、一服したあと1万円を目指す見方が考えられました。そこで、テクニカル的な過熱感があることや、心理的なフシである9,500円台が震災後出来高が膨らんだところであることから、後者の見方になるのではないかと想定しました。

しかし、19日(日)に中国人民銀行が預金準備率を0.5%引き下げることを発表したことで、世界的な金融緩和が一段と鮮明になり、また、ギリシャ支援問題の落ち着きから欧州債務問題への懸念が後退してユーロが買われ、さらに、米経済指標の好調さから景気回復期待が高まってドルも買われました。結局は、リスク回避の円買いと逆のリスク回避後退の円売りとなり、円の独歩安でした。対ユーロでは、前週の103円から105円で始まり、週末には109円まで円安進行しました。対ドルでも、前週末の78円台から79円台半ばで始まり、週末は81円台で引けました。

円安を背景に大型の輸出関連株が買い直され、2月20日(月)は△100の9,485円、22日(水)は△90の9,554円、23日(木)は△41の9,595円、24日(金)は、前日のNYダウが約3年9カ月ぶりに高値更新したことが加わって△51の9,647円と9,600円台を回復して引けました。

ECBの資金供給日である29日(水)が目先の転換点となるケースも

日経平均は、先週1週間で△2.8%の263円上昇し、2月に入ってからは△10%の845円の上昇となっており、目先的にはいつ調整してもおかしくない状況となってきました。強気の見方では、海外投資家が2月第3週まで8週連続で買い越しており、海外勢の買いはまだ続くとしています。しかし、騰落レシオ、移動平均乖離率、ストキャストなど、全てが過熱感を示しており、何かキッカケがあれば下落に転じる状況となっています。

先週末の日本市場の引け後、海外で為替が対ユーロ・ドルで一段の円安となっており、週始めは主力輸出関連株が買われて9700円を突破すれば1万円を目指すことになり、そこで目先のピークをつける可能性が高まります。1万円は、投資家のほとんどが大きなフシとみていますので、9800~1万円のどこかでピークを打つことになると思われます。1つのキッカケとなりそうなのが、ECB(欧州中央銀行)の資金供給です。100兆円規模とされていますが、これを下回れば失望売りとなり、想定通りであっても材料出尽しとなって下落するかもしれません。

今週も、先週同様、そのまま1万円に向けて上昇するのか、それとも調整したあと1万円を目指すのかという見方に分かれています。本日の前場は9,726円と高寄りし、9,736円の高値をつけるともみあいとなって△51の9,698円で引けました。後場になると、9,700円を維持できなかったことで利益確定売りに押され、ジリジリと値を下げて▼13の9,633円と4日ぶりに反落しました。29日が注目となります。

(指標)日経平均

先週2月20日(月)の時点では、1万円を試すのは一服した後との見方をしていましたが、予想を超える円安進行からテクニカル的な過熱感を無視して上値を試す形となりました。

2月20日(月)は、対ユーロで105円台の円安となったことから△100の9,485円となりました。21日(火)は一服するものの、22日(水)は、対ドルで昨年8月4日以来の80円台の円安となったことから△90の9,554円で引けました。さらに、週末24日(金)は、前日のNYダウの高値更新を受けてユーロが107円台となり、△51の9,647円と終値ベースで9,600円台を回復しました。

今週は、29日(水)に米GDP改定値の発表やECBによる大量の資金供給を控えており、場合によっては材料出尽しとなって目先ピークを打つ可能性があります。本日は、先週末の海外市場で、円が対ドル・ユーロで一段安となっていたことから主力の輸出関連株が買われ、9,726円と9,700円台を回復して始まりました。しかし、後場になると、利益確定売りから上げ幅を縮小して▼13の9,633円と反落しました。一旦調整に入るかどうかは、29日に注目となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、週前半にユーロ各国がギリシャ支援に合意したことで、2月21日(火)は、一時13,005ドルと2008年5月以来約3年9カ月ぶりの13,000ドル回復となりました。その後、高値警戒感から13,000ドルを前にもみあいとなっており、週末24日(金)も一時13,013ドルまでありましたが、終値は12,982ドルとなりました。原油価格が1バレル=110ドルに接近しており、企業業績や個人消費に影響してくるため、米景気への懸念が出てくると上値を追いにくい状況となりそうです。今週は、29日(水)の昨年10~12月期米GDP改定値、及びECBによる銀行への大量資金供給の規模に注目が集まります。場合によっては、材料出尽しで、今週で一旦ピークとなる可能性もあります。

NYダウ

(指標)ドル/円

2月20日(月)の予測では、80円が上値のフシとなりますが、79~80円のもみあいのあと、81円を試す動きとなりそうだとしました。

2月20日(月)・21(火)に79~80円でもみあったあと、22日(水)に80.291円と80円台にのせました。23日(木)に79.963円の押し目を入れ、週末24日(金)は、ドルの急騰となって81.174円で引けました。一気に目先の上値ポイントである昨年7月8日の81.471円に接近してきました。現在は、欧州債務問題の後退やアメリカの経済指標の改善からリスク回避の姿勢が後退し、円の独歩安となっています。昨年7月8日の81.471円を突破すれば、次の上値のフシは82円となってきます。そろそろ一服するところですが、81円水準でもみあって一服するのか、82円を試して一服するのか、今週の材料次第となります。

ドル/円