先週は3カ月ぶりに8,900円台にのせた後、目先の過熱感から一服

先週の予測では、アメリカ株式堅調なら9,000円水準を目指すとし、更に上を試すかは、現時点の円高水準からみるとわかりにくいとしました。ただし、日本株式は欧米株式に比べて出遅れており、今後、海外資金の流入があれば予想外の上昇も考えられなくはないとしています。

先週の日経平均は、前週の大幅上昇を受けて強弱感が対立するものの、主力株に押し目買いが入り、週前半は堅調な動きとなりました。25日(水)は、日本の2011年貿易収支が31年ぶりの赤字になる見通しをキッカケに円安が進行し、輸出企業が買われて一時8911円と3カ月ぶりに8,900円台を回復し、△98の8,883円で引けました。同日、FOMC声明で「2014年終盤まで異例の低金利を継続する」と発表したことで、翌日26日(木)に、NYダウが一時12,841ドルとリーマンショック後の高値に接近しました。しかし、引け値は▼22の12,734ドルでした。

日経平均は、高値警戒感からNYダウに連動せず利益確定売り優先となり、26日(木)は▼34の8,849円、週末27日(金)は▼8の8,841円と2日続落しました。騰落レシオが120%を超えており、目先過熱感から一服の可能性もあります。また、日本市場の引け後のアメリカ市場で、円相場が76円台まで押し戻されており、主力輸出株が買われないとなると、9,000円を前に調整ということもあります。

決算発表も本格化し、高値掴みに注意

日経平均が当面の目標である9,000円水準に接近してきました。ここで、乗り遅れまいと焦って投資するのは、失敗を繰り返すことになるかもしれません。思い切って買い出動し、日経平均が一段高になったとしても、それはバクチに勝っただけであり、これを繰り返すとどこかで大きく高値掴みすることになります。

今回の世界同時株高は、悪材料が改善した結果ではありません。特に、欧州債務問題について、これまで格付け会社による相次ぐ国債格下げなどの悪材料を織り込んで下げてきたことから反発しているだけであり、ギリシャの債務削減交渉などは小手先の対応にしか過ぎませんので、いずれ再燃することになります。イラクの核問題は相変わらず緊張状態にありますし、中国経済の舵取りは難しくなっています。

この中で、敢えて好材料といえるものは、アメリカが先週のFOMCで2014年終盤まで異例の低金利を継続するとしたこととQE3の可能性を示したことによる金融緩和です。これは、中国・インドの新興国も金融緩和の方向ですので、世界的な金余り相場が再び起こる可能性があるということです。金価格はジリジリと上昇しており、先週は12月7日以来約1カ月ぶりの高値水準でした。長期的な金融緩和を先取りしているともいえます。

単純に考えると、アメリカの金利低下が長期化すれば、ドル売り要因となって金余り相場となり、株や商品が買われることになります。であれば、NYダウは先週ダブル天井の形となっていますが、一服したあとここを抜けると上放れして一段高となり、日本市場も連動します。しかし、アメリカの低金利はドル売り要因であり、円は高止まりすることになりますので、上昇率はNYダウほどではないことになります。ただし、ユーロ/円で円安方向に動けば、日経平均は大きく動くことができます。

現状での結論は、日経平均は短期的に過熱感が出ており、NYダウが目標達成感から一旦調整する可能性を考えると、押し目を待つスタンスとなります。また、企業決算が本格化しており、上昇している銘柄の下方修正すると急落、予想通りの内容でも材料出尽しとなるため、短期売買はリスクがあります。中期的には、金余り相場(世界的な流動性相場)で株高となって日本株式も上昇する可能性が高いため、今年はタイミングを待って投資すれば、久しぶりに儲けることができる相場となりそうです。チャートからは、調整後に昨年10月31日の9,152円を上に抜けることができれば、9月26日の8,359円、11月25日の8,135円、12月19日の8,272円が逆三尊天井となり、三点底から上放れして10,000円に挑戦する確率が高くなります。

本日は、先週末のNYダウの下落や円相場の高止まり、旧正月明けの上海市場の軟調さ、さらに、今晩のEU首脳会議を控えていることで様子見となり、26週移動平均線(1月27日時点で8,785円)を挟んでもみあって▼48の8,793円で引けました。まずは、今晩のEU首脳会議に注目となります。

(指標)日経平均

先週の日経平均は、膠着状態ながら高値圏でのしっかりした動きでした。週始めは前週の好調さが続き、25日(水)には、為替がドル・ユーロに対して円安基調となったことで、一時8,911円と3カ月ぶりの8,900円台をつける場面がありました。その後は、ギリシャの債務削減交渉がまとまらず、また、FOMCの2014年までの低金利政策継続を受けて円高方向となったことで、26日(木)は▼34の8,849円、週末27日(金)は▼8の8,841円と2日続落しました。

今週は、先週末の為替が1ドル=76円台の円高となっていることや、NYダウがダブル天井となっていること、さらに、騰落レシオが120%台ということを考えると、目先一服となる可能性が高いといえます。そうなっても、ギリシャの債務削減交渉を乗り切れば欧州不安も一旦後退するため、深押しはせずに高値圏でのもみあいとなりそうです。さらに戻り高値を更新するかは、週末の雇用統計の結果を待つことになります。本日は、アジア市場が軟調で円高基調ということもあり、また、今晩のEU首脳会議を控え、26週移動平均線(1月27日時点で8,785円)を挟んでもみあって▼48の8,793円の3日続落となりました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週のNYダウは、週始めはFOMCの開催やギリシャの債務削減交渉が上手くいかず、利益確定売り優先で軟調な動きとなりました。しかし、1月25日(水)に、FOMC声明で2014年終盤まで異例の低金利を継続すると宣言し、金融緩和が長引くとの見方から△83の12,758ドルとなり、翌日26日(木)は、一時12,841ドルとリーマンショック後の高値(5月2日の12,876ドル)近辺まで上昇しました。週末は、昨年10-12月期のGDPが予想を下回ったことで、▼74の12,660ドルで引けました。

今週は、欧州で、ギリシャの債務削減問題を巡って当局と銀行団が対立しており、この交渉が長引くと相場の重荷になりそうです。また、イタリア国債の大量償還への警戒感やポルトガルのデフォルト懸念などもあって、欧州不安の再燃の可能性があります。一方、金融緩和が長引く期待は株式相場にとってプラスであり、週末1月雇用統計が改善されれば、高値更新を窺う動きも想定されます。チャートからは、昨年5月2日の12,876ドル、先週1月26日(木)の12,841ドルとダブル天井のような形となっており、深押しするようだと調整が長引くことになります。目先は目標達成感が出るところではあります。

NYダウ

(指標)ドル/円

1月23日(月)時点では、77.551円が上値のフシとなり、しばらくは76.5~77.5円のボックス相場を想定しました。しかし、先週は大きな上下動となりました。

1月24日(火)は、アメリカの経済指標の好調さを受けてドルが買われ、引け値でボックスの上限77.5円を上回る77.680円で引け、翌日25日(水)は、日本の2011年貿易収支が31年ぶりに赤字となったことで、日本国債の格下げの可能性が高まり、円が急落して78.280円まで売られました。しかし、昨年11月29日のザラ場高値78.278円に対するダブル天井の形となったあと、引け値は77.787円となりました。そして、週末27日(金)になると、月末を控えて国内輸出企業の外貨売り・円買い注文が入ったところに、アメリカの経済指標の結果を受けてドル売り優勢となったことで76.675円で引けました。下値は76.5円と堅いものの、上値は一時78.280円までドルが買われました。チャートからは、78.3円が強い上値抵抗ラインとなった形となり、ここを突破できればドル高・円安の流れができることになります。再び76.5~77.5円のボックス相場に戻った形となりそうです。

ドル/円