欧州債務問題の後退とアメリカ株式堅調で日経平均も反発

先週1月16日(月)は、ユーロ圏9カ国の格下げを受けてユーロ安・円高が進行したことで▼121の8,378円で引けました。16日の時点では、8,375円を下回って引けると、柴田罫線で売法則が出現して一段安となる形でしたが、踏み止まったことで、反発して8,500円を回復してくると短期の買転換が出現するとしました。結局、8,300~8,600円のボックスの動きになっており、目先9カ国の格下げを織り込んでアメリカ株式が反発すれば、この中での戻りを想定しました。

結局、18日(水)は、欧州債務問題に対する懸念がやや後退し、アメリカの1月NY連銀製造業景況指数が4カ月連続で改善したことで、NYダウが上昇し、日経平均は△84の8,550円となって買転換が出現しました。19日(木)になると、前日のIMFの財源拡大に動く方針や1月米住宅市場指数の大幅改善、さらに、GSの好決算を受けて、NYダウが△96の12,578ドルとなり、日経平均は△89の8,639円と12月12日以来の8,600円台回復となりました。週末20日(金)は、スペイン・フランスの国債入札の好調さや米雇用指標の改善を受けて主力株中心に強い動きとなり、市場心理が好転したことで売買代金・出来高ともに増加しながら上昇し、△126の8,766円と12月7日の高値8,729円を突破しました。引け後のアメリカ市場では、IBM、マイクロソフト、インテルなどの10-12月期決算を好感し、NYダウは△96の12,720ドルと昨年の高値5月2日の12,876ドルを試す動きとなっています。

外部環境はひとまず好転

今週は本格化する2011年4-12月期決算発表が焦点になりますが、輸出関連の主要企業は、円高進行による為替レート見直しで下方修正する企業が増えるとの見方が多いようです。ただ、一方で、下方修正は既に織り込み済みで市場全体への影響は限られているとの見方があります。

また、アメリカで24~25日に、FOMCで初めて政策金利見通しが公表されますが、失業率が高まり、欧州債務問題の懸念も残ることから、事実上ゼロ金利が長期化するとの見方を示す可能性が強まっています。そうなると、QE3という量的緩和を年前半にも実施するという見方もあり、例え円安方向へブレても限定的となってきます。当面は、FOMCの数年の政策金利見通しが予想以上に強ければ、円安・ドル高となって、日本株式にはプラスになります。

外部環境は、アメリカでの雇用改善の兆しや、クリスマス商戦を乗り切って個人消費の改善もみられ、また、住宅指標に順調な見通しが多いものの底入れ期待が出てきています。あとは、金融面でゼロ金利を長期化し、QE3の実施を考えているとなると、今年のアメリカ株式は上値を試す可能性が高いといえます。バブル的な上昇ともいえますので、高値をつけたあとの暴落は要注意となります。

中国は、インフレ抑制効果がある程度出てきたことで、株価底入れの兆しがみえますので、今後は失速しないうちに金融緩和策を実行していくことになり、株価の上昇にはプラスとなります。気掛かりなのは欧州債務問題の行方ですが、目先は国債入札が順調となり、ECBの緩和期待も強く、一時的に懸念が後退する可能性があります。しかし、3月までは国債の償還を控えており、何らかのキッカケで欧州債務問題が再燃する可能性は高いとみておくべきでしょう。

日経平均は、先週予想外の大きな上昇となりました。チャート的には、9,000円水準まではフシがありませんが、現時点の円高水準からみると、そこから上はどうなるのか、今はわかりにくいところです。ただし、日経平均の指数の上昇は限定的でも、膨大な震災復興需要から個別銘柄は買われてくることになります。また、欧米株式に比べて出遅れとして海外資金の流入があれば、予想外の上昇も考えられないことではありません。

(指標)日経平均

先週1月16日(月)の時点では、チャート的には戻りを試す形ですが、欧州債務問題や米金融機関の決算、イラン問題次第としました。1月16日こそ、ユーロ圏9カ国の格下げを受けて8,352円まで下げ、▼121の8,378円となったもののギリギリで下放れを免れ、翌日から反発しました。ユーロ圏9カ国の格下げは織り込み済みという見方から欧米株式が反発したことで、日経平均も戻りを試すことになり、ユーロ安・円高も一服して出来高・売買代金ともに増加し、18日(水)は△84の8,550円で短期の買転換が出現し、20日(金)は△126の8,766円と12月7日の高値8,729円を突破しました。

先週は、欧州債務問題の懸念がやや後退してユーロが買い戻され(円安へ)たことやNYダウの上昇から、自動車や銀行などの主力株が買い戻され、週間で266円(3.1%)の上昇でした。終値ベースで12月7日の8,729円を上回りましたので、チャートでは9,000円水準までフシらしいフシはありません。本日は、先週の大幅上昇の反動からマイナススタートとなり、8,744円まで下げました。そのあと、8,795円まで上昇するものの手掛かり材料に乏しく、前週末の終値近辺でもみあって▼0.4の8,765円で引けました。あとは、NYダウの上昇待ちとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の分析では、米主要企業決算が相次ぎ、その結果によっては投資家心理が悪化するものの、目先、欧州不安は根強いながらも欧州債務懸念の後退も想定されました。連休明けのNYダウは、欧州債務問題への懸念が後退したこと、また、銀行の好決算、経済指標の改善が続いたことから4日続伸し、週末1月20日(金)は△96の12,720ドルと半年ぶりの高値となりました。二番天井である昨年7月21日の12794ドルまであと僅かと迫り、2008年9月のリーマンショック後の高値5月2日の12,876ドル(終値では4月29日の12,810ドル)が視野に入ってきました。今週も、回復期待が続き、また、欧州債務問題を巡って大きな混乱がなければ、堅調に推移することが想定されます。昨年5月2日の12,876ドルを試せば、目標達成感から一旦の下落も考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、1月13日(金)に76.930円で買法則が出現したものの、あくまでも76.5~77.5円の中での買法則で、この中でドルの戻りを試す形としました。

1月16日(月)に77.035円までドルが買われるもののすぐに戻り売りとなり、17日(火)には76.554円まで下落して再び反発し、19日(木)は、米労働市場の先行きに楽観的な見方が出たことから長期金利が上昇し、日米金利差拡大から円が売られる形となり、77.298円をつけて77.097円で引けました。週末20日(金)は、77円を挟んだもみあいとなり、76.965円で引けました。結局、76.5~77.5円の中で1月17日に76.554円まで下げ、20日に77.298円まで上昇して76.965円で引けました。このまま上昇しても1月6日の77.322円は上値のフシとなり、ここを抜けても77.551円が大きなフシとなるところです。しばらくは、76.5~77.5円のボックス相場が想定されます。

ドル/円