先週は、前週のアメリカ株式の急落後、目先の下値ポイントに到達したところで、IMFのイタリア支援の報道やアメリカの年末商戦が過去最高の売上げを記録するスタートとなったことで欧米共に急反発し、日経平均も11月25日(金)の8,160円(ザラ場安値8,135円)という年初来安値から急反発しました。特に、11月30日(水)に、FRBを含む世界の主要6中央銀行がドルスワップ協定によりドル資金供給の合意をしたこと、また、中国が預金準備率を0.5%引き下げるという約3年ぶりの金融緩和を発表したことで、世界同時株高となり、12月1日(木)の日経平均は8,500円の上値抵抗ラインを上に抜けて△162の8,597円となりました。週末12月2日(金)も△46の8,643円の高値引けとなって8,600円台を約1カ月ぶりに回復しました。1週間の上げ幅が約5.9%の483円となり、2009年12月以来約2カ月ぶりの大きさとなります。ここまでくると、強気と弱気の強弱感が対立してくることになります。

弱気の理由

弱気の理由は、欧州債務問題が根本的な解決に向かって何らかの方向性が出ていないということです。今週8日に欧州中央銀行理事会、8・9日に欧州連合首脳会議が開催されるので、その内容にみるべきものがなければ再び下落するという見方があります。

強気の理由

アメリカで景気指標に良い数字が目立ってきています。また、中国が約3年ぶりに金融緩和への方向に舵を切り、ブラジルなどの新興国も利下げを実施してきました。ECBの利下げも予想されています。アメリカも欧州危機が高まればQE3の用意がありますので、世界的な金融緩和の流れにあり、欧州債務問題が落ち着けば、金融相場が活発化する可能性があります。

今週は8・9日の欧州連合首脳会議に注目

株式市場を取り巻く環境は、どちらかというと強気に向いている感じとなってきました。日経平均のチャートの形は、昨年9月1日の安値8,796円から今年11月25日の安値8,135円までの下値の下降ラインと、今年7月22日の10,149円と10月31日の9,152円を結ぶ上値の下降ラインをみると、下向き先細三角形となって煮詰まり、11月25日の8,135円からの反発で先週末の8,643円となって上放れできるかどうかのところになっています。過去の経験では、普通、安値圏での下向き三角形が煮詰まった場合は上放れる確率が高くなっています。つまり、11月14日の8,655円を確実に上に抜けて8,755円まで上昇できれば上放れの形となります。本日は△54の8,697円と高寄りし、8,704円まであって終値は△52の8,695円となりました。11月14日の8,655円を終値で抜けましたが、マドを空けての小さな陰線となっていますので、マド埋めで一旦下がる可能性もあります。このまま上昇して8,700円以上で引ければ、下向き先細三角形の上放れの形となります。

ただし、市場ボリューム(出来高と売買代金)が小さいため、上放れとなっても今のままでは上値は限定的といえます。そうなると、一気に上昇することなく上下動を繰り返しながら上値を試す可能性が高いといえます。一気に上昇する場合は、8・9日の欧州中央銀行理事会や欧州連合首脳会議で何か好材料が出て商いも増加するときでしょう。今週は、これまでの過度な不安が後退して上値は重いながらも戻りを試す展開が想定されます。

(指標)日経平均

先週は、前週末のアメリカの年末商戦が好スタートとなったことから、11月28日(月)に△127の8,287円と反発したことで一旦自律反発としました。翌日11月29日(火)も△190の8,477円と続伸し、10月31日の高値9,152円から11月25日の安値8,135円までの下げ幅の1/3戻し(8,474円)という自律反発の1つの目処に一気に到達しました。強力な材料が無ければここから上は難しいとしましたが、11月30日(水)に▼43の8,434円と一服したあと、引け後の海外市場で、日米欧の中央銀行がドル資金供給の協調対応策で合意したことで世界同時株高となり、12月1日(木)の日経平均は△162の8,597円となりました。週末12月2日(金)は△46の8,643円の高値引けで終わりました。

相場環境としては、世界的に利下げ方向で金融相場のようになりつつあります。しかし、欧州債務問題の根本的な解決への方向性が見えませんので、まず8日の欧州中央銀行理事会、8・9日の欧州連合首脳会議の内容が焦点となります。期待が持てるものであれば、日経平均は戻りを試す動きが続き、さらに、11月14日の8,655円を終値で突破できれば8,700円水準での動きとなってきます。不調に終わっても、日経平均はそんなに大きく下がらず(せいぜい8,300円台)8,500円水準でのもみあいが続く可能性が高いといえます。そうなれば、中小型株や材料株相場が続くことになります。本日は、△52の8,695円と11月14日の8,655円を終値で抜けましたので、8,700円以上の終値となれば、下向き先細三角形の上放れの形となります。

日経平均

(指標)NYダウ

10月27日の12,284ドル、11月8日の12,187ドル、11月11日の12,179ドルと順下げの三尊天井形成となって11月17日に11,770ドルで売転換が出現したことを受けて、先週は急落しました。週末11月25日(金)は11,231ドルまで下落して目先の下値抵抗ゾーンに到達しました。

そして、先週11月28日(月)は、アメリカの年末商戦が好調な出足となったことやIMFがイタリアへ金融支援するという報道から、NYダウは△291の11,523ドルと急反発しました。このまま終値で11,780ドルを超えることができなければ、戻りのあとの下落で10月4日の10,404ドルを目指す可能性がありましたが、11月30日(水)は、中国の預金準備率引き下げやFRBと世界の主要5中銀がドル資金供給に合意したことで、△490の12,045ドルと大幅上昇しました。12月1日(木)は、週末の雇用統計を控えて▼25の12,020ドルとなりました。週末の雇用統計では、非農業部門雇用者数が期待されたほどの数字ではなかったものの、失業率が8.6%と2年8カ月ぶりの改善となって一時△126の12,146ドルまで上昇しました。しかし、IMFによるスペイン・イタリアへの救済に対してアメリカの議員から中止を働きかける動きが出ていることを嫌気して▼0.6の12,019ドルで引けました。このまま上昇して10月27日の12,284ドルを突破できなければ11,600~12,000ドルの間のもみあいとなります。今週は8日の欧州中央銀行理事会と8・9日の欧州連合首脳会議の内容にかかっています。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、欧州債務問題からユーロ売り、アメリカの経済指標の好調さからユーロ売り・ドル買い基調が続き、円はドルに対しても売られやすい状況の中、77~78円のもみあいで78円が上値のフシになるとしました。

12月になって世界的なドル資金需要が高まる中、アメリカの経済指標に好調な数字が相次ぎ、ドルが戻りを試す展開となりました。ただし、1週間を通してザラ場で78円台を回復するものの、引け値では79円台後半となっていました。しかし、週末12月2日(金)は78.021円と78円台にのせて引けました。チャートをみると、このままドルが買われて11月29日のザラ場高値78.278円を超えると、78.86円水準を試す可能性があります。しかし、12月8日の欧州中央銀行理事会と12月8~9日の欧州連合首脳会議の内容次第となります。問題解決への期待からリスク回避が和らげば、円は売られやすくなってドルは78.278円を試す動きとなり、期待ハズレに終わればドル売り・円買いとなり、77.607円を引け値で切ってくると77円を試す動きとなりそうです。

ドル/円