先週は欧州信用不安と円高基調から下値模索へ

先週は、円高基調と欧州問題で上値重く、まずは11月2日の8,640円を上に抜けることができるかどうかとしました。結局、14日(月)こそ一時8,655円まで上昇したものの薄商いの中で上値を追う動きとならず、上げ幅を縮小して△89の8,603円で引けました。その後、イタリア国債の入札利回りが6.29%というユーロ導入以来の水準となり、つれてスペインの国債利回りも急上昇し、欧州信用不安拡大への懸念が高まって欧米株式が下落に転じたことで、日経平均も下値模索の動きとなりました。先週末18日(金)は、前日のフランス・スペインの10年債入札が不調に終わり、日経平均は一時終値ベースでの年初来安値8,374円を切り、終値ではその年初来安値と同値で引けました。

日本市場の引け後、アメリカ市場でECBがIMFに欧州救済基金を貸し付ける案を検討するということや10月の景気指数が予想を上回ったことで、NYダウは△25の11,796ドルと反発するものの、ナスダックは▼15の2572Pとマチマチの動きとなりました。

日経平均・トピックスのチャートは底入れに近付いている形。騰落レシオも80%水準へ

NYダウ、ナスダック共に先週の11月17日(木)に売転換の形となっています。NYダウは、10月27日に12,284ドルの戻り高値をつけ、11月8日に12,187ドル、11月11日に12,179ドルと順下げの三尊天井となって11月17日の11,770ドルで売転換となっています。より確実には、11月1日の11,630ドルを切ると、次の下値は11,400ドル台と考えられます。ナスダックは、戻りの高値で5つの天井を作って11月17日に2587Pで「いぬ型」という柴田法則の暴落型となっており、10月20日の2557Pを切ると2400P前半を試す可能性もあります。この背景には、イタリアに続いてスペインやフランスの国債利回りが急上昇していることで欧州信用不安が拡大する可能性があること、また、アメリカで23日に財政赤字削減策の与野党協議が期限を迎えるのにも拘らず交渉妥結が不透明になっていることがあります。

日経平均をみてみると、欧米株式が戻りを試す間も底値圏の動きから脱出できずもみあっていることで、値幅調整も日柄調整も十分であるとはいえるものの自律では上昇できないため、欧米株式が急落となればそれに連動して一旦下げ、そこから反発に転じる可能性が高いといえます。トピックスのチャートをみると、あと30P(日経平均は300円)ほど下げると底打ち水準の可能性が出てきます。日経平均でいうと8,000円くらいですので、これまで想定してきた8,227~8,000円のゾーンとなります。しかし、行き過ぎということも考えると、急落となって8,000円割れも想定しておく必要があります。現在のような閑散相場の中では買い手もいないので、一方的に売り圧力から大きく下げることもあるからです。

日経平均・トピックスのチャートをみると、底入れの形に近付いており、ここにきて騰落レシオもやっと80%まで下げてきました。売られ過ぎは70%以下ですので、このまま日経平均の軟調な動きが続けば70%を切ってくることになります。騰落レシオが120%を超えると買われ過ぎ(9月30日に119.5%まで上昇)、70%を切ると売られ過ぎという判断をすることになります。また、新安値銘柄が200~300銘柄出るようになると底値圏との判断もあります。11月17日(木)には118銘柄が新安値となっています。以上を考えると、底打ちに備えて買う銘柄を準備しておいてよいということになります。

今週は、日本市場は11月23日(水)が休場で、この日、米国は財政赤字削減の合意ができるかどうかの正念場であり、11月24日(木)は、アメリカ市場が休場で様子見が強まり、安値圏でのもみあい、悪材料が出ると急落ということが考えられます。チャンスを待つ場面となるのかどうかというところです。

(指標)日経平均

11月10日(木)に▼254の8,500円となって三角保ち合いを下放れすると同時に、下値抵抗ラインであった11月2日の8,640円を切りました。一気に8,000円を試す動きを想定しましたが、NYダウが反発したことで日経平均も多少戻りを試すことを想定し、その場合は11月2日の8,640円を上に抜けられるかどうかに注目しました。

しかし、11月14日(月)に△89の8,603円となったものの、ここまでが戻りいっぱいで、その後は欧州信用不安から欧米株式の下落が続き、為替も円高基調となったことで、11月15日(火)は▼61の8,541円、11月16日(水)は▼78の8,463円(トピックスはこの日▼6の724Pの年初来安値更新)となって追加のろく売が出現しました。11月17日(木)は△16の8,479円と一服したものの、11月18日(金)は、9月26日の終値ベースの年初来安値(8,374円)を前引けで切り、大引けは▼104の8,374円となりました。週明け11月21日(月)は、欧州不安・円高を嫌気して▼26の8,348円と終値ベースで年初来安値を更新しました。今年ザラ場での8,227円も視野に入ってきました。まずは8,000~8,227円の間で止まるのかどうかとなります。アメリカ株式が下放れの形となっていますので、欧州信用不安や米国の財政赤字削減策が妥結しなければ、急落というパターンで8,000円割れの可能性もあり、そうなれば大きな買チャンスとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

週明け11月14日(月)は、イタリア国債入札利回りがユーロ導入以来最高となったことで、スペインの国債利回りも6%を超す上昇となり、欧州信用不安から▼74の12,078ドルとなりました。11月16日(水)は、格付け会社フィッチのレポートを嫌気して金融株が売られ、▼190の11,905ドルと12,000ドルを割れ、11月17日(木)は、フランスとスペインの10年債入札が不調となり、共和党と民主党の合同委員会で財政赤字削減交渉が行き詰まったことで▼134の11,770ドルの大幅続落となりました。ここで順下げの三尊天井となって売転換の形となりました。11月1日の11,630ドルを終値で切ると、完全に下放れの形となってきます。今週も、欧州情勢や米国の財政赤字削減策が23日の期限までに妥結しなければ急落という可能性があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、76円台後半がドルの下値抵抗ゾーンとなるところですので、76.5~77.5円がもみあいの基本レンジとし、どこまで円高が進行するのか注目としました。

11月10日に77.66円でドルの追加の売法則が出現してジリジリと円高が進み、先週は11月14日(月)~16日(水)の3日間は、ザラ場で77円台を切るものの、引け値では77円台を守っていました。しかし、11月17日(木)は、引け値で76.985円となって追加の売りが加わりました。そして、週末11月18日(金)は、米国の財政赤字削減を巡って合意できるかどうかの不透明さからドルが売られ、76.570円まで円高が進みました。しかし、その後、ドルの買い戻しで76.933円で引けました。チャートをみると、76.5~76.8円が、8月から10月の始め頃のもみあいが長いところですので下値抵抗ゾーンとなります。ただし、11月18日の76.570円のザラ場安値を引け値で切ってくると、76円を試す動きが想定されるところです。

ドル/円