先週は5日連続の売買代金9,000億円割れという薄商いで上値追えず

先週の予測では、ボックスの上限近辺でのもみあいを想定し、どこまで戻りを試すのかはNYダウ次第のところがあるとしました。ただ、上値を追うには余りにも出来高・売買代金が少な過ぎるともしました。

結局、先週は、上値が10月17日(月)の8,911円までで、その後、欧州債務問題の不安と期待、アメリカの決算の結果からNYダウが上下動し、それに合わせて日経平均ももみあいとなりました。10月20日(木)は、前日のアメリカのベージュブックで企業の先行き不透明感が強まっているとの分析から、NYダウが下落し、これを受けて10月12日以来1週間ぶりに8,700円割れの▼90の8,682円となりました。週末も8,652円まで下げましたが、25日移動平均線にサポートされて▼3の8,678円で引けました。売買代金は5日連続で9,000億円を割れて上値を追えず、上値近辺でのもみあいとなりました。25日移動平均線を守っているということは、現在下値固めが続いており、売買ボリュームが増加してくると戻りを試す可能性が高いといえます。

出来高の減少は、10月21日(金)の日経新聞によると、欧州の投資家が日本株を売っており、欧州債務問題を受けてリスク回避のスタンスを余儀なくされているためとみられています。9月売り越し額は1年3カ月ぶりの水準に達しています。今週26日(水)のEU首脳会議の内容から一旦欧州債務問題が落ち着けば、売買ボリュームも増加して戻りを試してくる可能性があります。10月第2週の外国人の売買動向は12週間ぶりに買い越しとなっています。

NYダウは先週末10月21日(金)に三尊天井を上放れ

アメリカ株式は、NYダウ・ナスダック共に強力だと思われていた上値抵抗ラインを抜けてきました。ナスダックは、10月14日(金)に2667Pの終値となって9月20日の戻り高値2643Pを既に突破し、先週は10月20日(木)の安値2557Pまで調整して反発してきています。それに対して、NYダウは10月14日(金)に△166の11,644ドルとなって終値ベースで戻り高値を更新したものの、ザラ場での三尊天井のピークである8月31日の11,739ドルには届かず反落して調整していました。

NYダウに関しては、これまでの分析で、この三尊天井のピークである8月31日の11,739ドルを抜くには、QE3の具体的な実施方向が見えてこない限り難しく、QE3が具体化するのは、NYダウが大きく下げてきた時ではないかと想定していました。しかし、先週末10月21日(金)に、追加金融緩和策の一環として住宅市場のテコ入れ検討を開始すると報じられた上、FRB副議長がQE3を実施する可能性を明らかにしたことで一段高となり、8月31日の11739ドルを突破して△267の11,808ドルで引けました。チャートの形としては、11,739ドルを抜けると「三尊天井の崩れ型」といって一段高となることを既にコメントしておきました。

先週末10月21日(金)の時点では、QE3を実施する可能性を示す状況ではないようにみえますが、ここで上値抵抗ラインを一旦突破しておけば、今週10月26日(水)のEU首脳会議が不発に終わって大きく株価が下げても、下値は限定的になるという考え方があるのかもしれません。来年には大統領選挙を控えているため、どうしても株価を高く維持しておく必要があります。このまま高値圏でのもみあいが続きますと、これまで上値抵抗ラインであった11,500ドル水準が下値抵抗ラインへと変化してきますので、更なる戻りが期待できることになります。チャートからは、当面は12,000ドルくらいを目指す可能性がありますが、ファンタメンタルズからみると、欧州債務問題は先送りされただけであり、また、アメリカ経済も、実態はあまり改善されずQE3の可能性を示すことで金余りから再び上昇しているとみた方がよいでしょう。

今週は10月26日(水)のユーロ首脳会議の通過待ち

10月26日(水)のユーロ首脳会議で、ギリシャのデフォルト問題、銀行の支援策、欧州金融安定基金(EFSF)の拡充を巡る対応策がどうなるのかを市場は注目しており、期待を上回れば上昇、下回れば下落ということですが、ある程度玉虫色の決着のようになるのではないかと市場はみているようです。そうすると、10月26日を過ぎれば欧州債務懸念が目先落ち着いて、発表がヤマ場を迎えるアメリカ企業の7-9月期決算に日本市場は左右されることになります。

本日10月24日(月)の日経平均は、先週末のNYダウの上昇と欧州債務問題の後退から、△86の8,764円で寄り付くと、先物主導の買戻しが続いて△165の8,843円とほぼ高値引けとなりました。しかし、出来高は13億3,938万株、売買代金は8,451億円と相変わらず低水準のままです。今日の上昇をみると、10月26日の独仏共同声明である程度期待したものが出てくるということを織り込んでいるようにも見え、市場が想定したレベルの内容であれば材料出尽しとなる可能性もあります。そうなっても、欧州債務問題が落ち着けば、欧州の投資家も日本株を買い直してくるかもしれません。このまま上昇して10月17日の8,911円を終値で上に抜き、8,943円以上で引けるとろく買という買法則が出て9,000円を試すことになりそうです。

日本でもこれから決算発表が本格化しますが、現在の円高や市場ボリュームから言うと、上値は余り期待できず上方修正銘柄などの個別株物色となるかもしれません。下値は、アメリカ株式が上値抵抗ラインを突破してきたことから限定的とみてよく、キッカケ次第では市場ボリュームも膨らんできて戻りを試すことになりそうです。

(指標)日経平均

先週10月17日(月)は、一時8,911円まで上昇して△131の8,879円で引けました。ここからどこまで戻りを試すのかはNYダウ次第ですが、日経平均が上値を追っていくには、あまりにも出来高・売買代金が少な過ぎるとしました。結局、NYダウはもみあいに入りましたので、日経平均も同じような動きになり、10月18日(火)は▼137の8,741円、10月19日(水)は△30の8,772円、10月20日(木)は▼90の8,682円、10月21日(金)は25日移動平均線(21日時点8,657円)水準まで下げて▼3の8,678円で引けました。売買代金は5日連続で9,000億円割れとなっています。そして、先週末のNYダウが、好決算やQE3の可能性が示されたことで△267の11,808ドルとなって三尊天井を突破したこともあり、本日10月24日(月)の日経平均は、△86で寄り付くと、後場は一段高となって△165の8,843円となりました。ただし、出来高・売買代金は相変わらず低水準であり、先物主導の買戻しによる上昇となっています。チャートからは、8,943円以上で引けるとろく買という買法則が出て9,000円を試すことになりそうです。逆に、10月21日の8,652円を終値で切ると下値を試す形となりそうです。

日経平均

(指標)NYダウ

10月14日(金)は△166の11,644ドルと終値ベースで戻り高値を更新するものの、8月31日の11,739ドルを抜くのは、QE3の具体的な実施方向が見えてこない限り難しいとしてきました。先週10月17日(月)に▼247の11,397ドルと大幅反落したものの、その後は欧州債務問題解決への期待と7-9月期の好決算に支えられ、戻りを試す動きとなりました。10月18日(火)は△180の11,577ドルと反発し、10月19日(水)は▼72の11,504ドルと反落しました。しかし、すぐに10月20日(木)に△37の11,541ドルとなり、週末10月21日(金)は△267の11,808ドルとなって8月31日の11,739ドルを上に抜け、追加の買法則が出現しました。

10月21日(金)は、10月23日・26日にEU首脳会議を控え、欧州債務問題対応や救済策拡大の期待から買いが先行し、当局が追加の金融緩和策の一環で住宅市場にテコ入れ検討を開始すると報じられ、さらに、FRB副議長がQE3を実施する可能性を明らかにしたことで三尊天井を突破し、三尊天井の崩れ型として一段高となりました。チャート上は、基本的に12,000ドル水準まで大きなフシはありません。ここで大きく上昇させたことは、来週期待されているEU首脳会議が不発に終わっても下値を探るような動きにしないためと思われます。このまましばらく高値圏でもみあえば、上値抵抗ゾーンであった11,500ドル水準が下値抵抗ゾーンとなってきます。そうなると、日経平均も当面域を吹き返すことも考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、10月10日の76.577円を引け値で切らない限り戻りを試す局面が続くことになるとし、76.5~78円のレンジを想定しました。

10月17日(月)~20日(木)の間は、10月17日の77.445円をドルの高値とし、10月18日(火)の76.631円を安値とする約1円幅のもみあいとなりました。しかし、週末10月21日(金)は、NY市場で、23日のEU首脳会議を前に債務問題の打開に向けたユーロ圏各国の調整が難航しているとの見方が広がり、円を買う動きが加速して8月19日につけた75.95円を約2カ月ぶりに更新する1ドル=75.78円をつけました。しかし、日本政府・日銀の介入への警戒感も出て76.214円で引けました。今週は、76~77円の間のもみあいとなりそうですが、10月26日の独仏共同声明が失望に終われば、再度最高値挑戦の可能性もあります。

ドル/円