先週は日経平均もボックスの上限を目指すが、8,800円前後で足踏み

10月11日(火)の予測で、日米ともにボックスの上限を目指すとしましたが、想定通りの動きとなりました。特に、NYダウ・ナスダックは上限いっぱいのところまで上昇し、この上限を突破できるかどうかというところへきています。日経平均も9,000円水準の上限を目指すものの、薄商いでエネルギー不足のため8,800円台での上値重く、10月13日(木)には8,854円まで上昇して△84の8,823円と8,800円台にのせるものの、週末10月14日(金)は▼75の8,747円と再び8,800円を切って引けました。

先週は、週始めに独仏首脳が10月末までに銀行への公的資金注入強化や債務危機対策をまとめる方針を発表したことで、欧州債務不安が後退して欧米株式が反発となり、日経平均も連動する形となりました。ただし、スロバキア議会でEFSF機能拡充案の採決が遅れ、また、アメリカの決算発表に対する様子見ムードやタイの洪水による影響が輸出関連の重荷となり、日経平均は8,000~9,000円のボックスの上限を目指すものの、出来高・売買代金ともに薄商いで積極的に上値を追えず、8,800円前後で足踏みとなっていました。

欧州債務問題、アメリカ経済の景気後退、中国の経済成長の鈍化と、次々に出てくる悪材料を受けた世界景気の後退を織り込む動きとなって、10月にでも数年に1回の買チャンスとなることも想定しましたが、当面の動きとしてそうはなりませんでした。それは、ギリシャ問題の影響が他の債務国に広がった場合、それらの国の国債を買っている欧州の銀行が大幅な収益悪化に見舞われ、欧州信用不安へと拡大していくことが一番の懸念でしたが、政治的な動きによって銀行への公的資金注入が実行されることにより、当面は信用不安が遠のいたことになり、欧州債務問題の懸念も、スロバキアのEFSF機能拡充案の承認によって融資能力がほぼ倍増したことで一旦後退しているからです。その結果、格付け機関による欧州銀行の格下げが相次いでいますが、今のところ影響は出ていません。欧州債務問題は、いずれ再燃する可能性が高いものの、しばらく小康状態が続くものと思われます。

そうなると、日本市場の動きは、本格化するアメリカ企業の決算に関心が移ることになります。先週は、トップバッターのアルコアの決算が嫌気され、JPモルガンの減益決算で金融株への警戒感も出る一方、グリーの好決算が評価され、スマートフォン関連やハイテク関連が期待されています。また、経済指標は、9月の小売売上高など市場予想を上回るものが出てきており、過度のアメリカ景気減速懸念が和らいでいます。

NYダウ・ナスダックともにボックスの上限に到達しており、NYダウで8月31日の11,739ドルを終値で上に抜くことができるかどうか(10月14日時点11,644ドル)、ナスダックは、10月14日(金)に△47の2667Pとなって9月16日の2643Pをすでに突破し、次の上値ポイントは2687Pとなります。この水準でアメリカ株式がもみあって、日経平均が9月16日の8,864円を突破できれば、9,000円台を試すことになる可能性が高いといえます。

当面の投資をどう考えるのか

投資の考え方としては、当面、数年に1回という大チャンスは先送りとなり、一旦戻りを試す形となっていますが、現時点では、日本市場の売買代金・出来高をみる限り新規の買いはほとんどなく、買戻しによる戻り相場と考えられます。ただし、寄前の外国人投資家の売買状態は、先週3日連続の買い越しがみられたように、一方的な外国人投資家の売り越しは徐々に小さくなっているようにみえますので、需給が好転してきている可能性があります。

どこまで戻りを試すのかはNYダウ次第のところがありますが、戻りを試したあと横もみ相場に入ると、これまで下げ過ぎていた輸出関連銘柄の一部に水準訂正が起こってくる可能性がありますので、リスクを取れる人は、損切り価格を設定して水準訂正を狙うことになると思います。それができない人は、保有株が上昇してくるのを待ってキャッシュ化優先に徹し、次の下げを待つことになると思われます。

ただ、上値を追っていくには、あまりにも出来高・売買代金が少なすぎると思われます。本日10月17日(月)は、△131の8,879円となって1つ目の関門8,864円を終値で突破しました。しかし、出来高は14億5,314万株と少なく、売買代金に至っては8,916億円と2010年12月29日以来の9,000億円割れとなっています。ここからは9,000円台にのせられるかどうかに注目となりますが、のせても9,000円台は、売り物が多く、出来高・売買代金が増加するかどうかにかかっています。

(指標)日経平均

連休明け10月11日(火)は、独仏首脳による銀行への公的資金注入や10月末までに債務危機対策をまとめる方針が発表されたことで欧米株式が反発し、△168の8,773円となりました。その後、スロバキアのEFSF機能拡充案の採決を巡って混乱したことやアメリカの決算発表に対する様子見、さらに、タイの洪水からの輸出関連の売りもあり、戻りを試すものの上値の重い展開となりました。10月12日(水)は▼34の8,738円、10月13日(木)は、約1カ月ぶりに△84の8,823円と8,800円台にのせたものの、週末10月14日(金)は再び8,800円を割って▼75の8,747円となりました。

テクニカル的には、10月11日(火)の8,773円以来、25日移動平均線を上回って推移しており、この状態が続けば下向きであった25日移動平均線が上向きに変わり、25日移動平均線(10月14日時点8,644円)が下値サポートラインとなって戻りを試す形となります。週明け10月17日(月)は、先週末の欧米株式が上昇し、また、為替が円高一服となっていたことで△133の8,881円で寄付き、8,911円まで上昇するもののエネルギー不足(出来高・売買代金)から上値追えず、高値圏で膠着状態となって△131の8,879円で引けました。131円高となったものの、売買代金は8,916億円と今年最低となりました。売り物が少ない中、買戻しで上昇していることになります。しかし、チャート上は、目先の1つ目の関門8,864円を突破したので、次は9,000円台にのせられるかどうかというところです。

日経平均

(指標)NYダウ

先週10月10日(月)は、独のメルケル首相と仏のサルコジ大統領が10月末までに銀行への公的資金注入と債務危機対策をまとめることで一致したことで、NYダウは△330の11,433ドルで短期の買転換となりました。10月11日(火)は▼16の11,416ドルとなりしたが、10月12日(水)は、欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充策について、17カ国の最後の1つであるスロバキアが再可決される見通しとなり、また、FOMC議事録で2名の地区連銀総裁が一層の金融緩和を支持したことがわかり、QE3への期待もあって一時△209の11,625ドルまで上昇し、終値は△102の11,518ドルでした。

チャートをみると、三尊天井の最も高い8月31日の11,739ドルに近い11,625ドルをつけました。11,739ドルを終値で上に抜くことができれば12,000ドルまでの可能性はありますが、現在の欧州債務問題への懸念後退だけでは難しいと思われました。しかし、週末10月14日(金)は、足元の9月小売売上高が前期比△1%と改善し、また、グーグルも予想を上回る好決算となったことで、景気後退懸念が思った程のものではないという見方から△166の11,644ドルとなりました。8月31日の高値11,739ドルまであと少しとなりましたが、ここを終値で上に抜けてくると、「三尊天井の崩れ型」となって一段高となる形になります。抜けなければ10,700~11,700ドルの大きなボックス圏の中で当面は11,000ドルを下値とする横もみとなりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、下値抵抗ラインが76円前後となっており、基本は76.5~77.5円の動きで、76.5円を下に切ると76.21円を試すとしました。

10月10日(月)、11日(火)は、76円台後半の狭い動きとなっていましたが、10月12日(水)は、EUが銀行への公的資金注入の動きを加速させると、ユーロ買い・ドル売りとなり、円が9月27日以来の76.325円まで買われした。しかし、スロバキア議会1回目では否決されたEFSF拡充案が、2回目には成立する見通しとなったことで、77.463円までのドル買い・円売りとなりました。そして、10月13日(木)に一服したあと、10月14日(金)は、アメリカの小売売上高が改善し、NYダウが大きく上昇すると77.421円までドルが買われ、引けは77.214円となりました。結局、引け値が77.214円となり、76.5~77.5円の動きとなりました。今週は、10月12日の77.463円を引け値で上回れば9月9日の77.847円を試す動きとなると思われます。下値は10月10日の76.577円で、これを引け値で切らない限り戻りを試す局面が続くことになると思われます。

ドル/円