先週はドイツなどでの欧州金融安定基金機能拡充案の可決を好感し上昇

先週、NYダウは短期の三尊天井が確定した形となっており、戻りがあっても下げ相場が続くことになりますが、目先、日経平均は急落・大商いとならなくても、新しい材料が出れば反発する局面にあるとしました。ただし、チャート分析では、割安感から反発しても上値は限定的だと書いています。

週明け9月26日(月)は、前週の欧米株安の流れを受けて、年初来安値▼186の8,374円(ザラ場では8,359円)でのスタートとなりました。しかし、週明けの海外市場で、欧州中央銀行が利下げ検討との観測や欧州金融安定基金(EFSF)の規模拡大報道から欧米株式が反発し、9月27日(火)の日経平均は△235の8,609円と大幅反発しました。その後も、フィンランド議会やドイツ議会がEFSFの機能拡大法案を可決したことで、ギリシャのデフォルトリスクが後退して買い優勢となり、9月28日(水)の日経平均は△5の8,615円、9月29日(木)は△85の8,701円と3日続伸しました。週末9月30日(金)は、上期末特有のドレッシング買いが入ることが期待されましたが、中国の経済指標の悪化から上海株式が3日連続の年初来安値更新となり、前日比とほぼ変わらずの▼0.9の8,700円で引けました。 日経平均は、これまで超えられなかった25日移動平均線(9月30日時点で8,729円)に接近してきました。7月下旬に割り込んでから、2カ月以上25日移動平均線を超えていません。しかし、残念ながら終値では超えることができませんでした。

9月の月足は、7・8月に続いて3カ月連続の陰線となりました。リーマンショック時を除くと、過去の経験則では、短期か中期かは別にして、相場の反発ポイントが10月になる可能性があります。また、逆に、10月は陰線で終わることが多い月との経験則もありますので、結果をみる以外にはありません。7月から9月までは、ギリシャのデフォルト懸念からの欧州信用不安を材料にした相場でした。しかし、ここにきて、まだEU各国のバラつきはあるものの、具体的な政治的対応が必要であるというコンセンサスが取れつつあります。そのため、リーマンショックのような暴落は起こらないと思われます。この3カ月で欧米が35~40%下落したことは暴落といってもおかしくありませんので、かなりギリシャ問題は織り込んでいるものと思われます。もちろん、ギリシャがデフォルトすれば一時的急落はあるかもしれませんが、そこから悪材料出尽しの反発も想定されるところです。

しかし、ここにきて世界経済の現状に注意が移ってくることになります。アメリカは、すでに経済指標の悪化が続いており、景気後退懸念ではなく現実に景気後退しているようにみられています。9月29日(木)に、バーナンキ議長は、アメリカの景気が極度に悪化すれば、再び金融緩和の方向に舵を切るとしていますが、一方で、オバマ政権の財政再建策があるため効果は限定的という見方があります。このような状況の中で、中国の経済指標が悪化し続けており、「中国経済」もピークアウトして、これから景気後退に入るのではないかという見方が専門家の共通認識となっているようです。そうであれば、10月からは中国・アメリカの経済指標を受けて、神経質な展開になることが想定されます。今週は、欧州信用不安がやや後退して買い戻しが入りやすい一方で、対ユーロで円相場が高止まりし、上値は追いにくい環境と思われます。そうなると、アメリカで発表される経済指標が注目となります。

本日の日経平均は、先週末のNYダウの大幅下落を受け、世界の景気減速懸念も強まったことで、▼132の8,567円で寄付くとそのまま下げ幅を拡大しました。特に、朝方は円高一服だったものの、前引けにかけて円高が進んで一時下げ幅が240円超えの8,455円の安値をつけましたが、売り一巡後は下げ幅を縮小して▼154の8,545円となりました。今のところ、下値は3月15日の8,227~8,000円(ただし、現在わかっている悪材料が前提)、上値は9,000円というところですので、本日の終値8,545円は売りも買いも中途半端な位置といえます。8,800円を超えてくれば空売りを考え、8,200円台まで下がってくれば買いを考える投資スタンスになると考えられます。

(指標)日経平均

先週9月26日(月)は、前週後半に欧米株式が急落となっていたことで▼186の8,374円と年初来安値を更新してスタートしました。この下げでは、急落・大商いとはなっておらず、割安感から反発しても上値は限定的だとしました。週明けの海外市場で、欧州金融安定基金(EFSF)の規模拡大報道から欧米株式が上昇し、その後、ドイツ連邦議会で機能拡充案が可決されたことで、日経平均は、9月27日(火)は△235の8,609円、9月28日(水)は△5の8,615円、9月29日(木)は△85の8,701円と3日続伸しました。しかし、ここからは上値重く、9月30日(金)は、25日移動平均線(9月30日時点8,729円)を前に▼0.9の8,700円で引けました。

本日は、先週末に、世界的な景気減速懸念からNYダウが11,000ドル割れとなっていたことで、▼132の8,567円で寄付き、午後になると、香港株式が3%を超す下落となったことやユーロに対して円高が進んだことで8455円まで下げましたが、徐々に下げ幅を縮小し、▼154の8,545円となりました。8,374~8,864円のボックスの中で、先に下値を試す動きとなっています。今週は、9月26日の8,359円を守れるかどうかになると思われます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡大報道や欧州中央銀行の利下げ検討観測から、9月26日(月)は△272の11,043ドル、9月27日(火)は△146の11,190ドルと2日連続の大幅上昇となりました。9月28日(水)は、ギリシャの債務問題を根本的に解決するのは難しいという見方が出て▼179の11,010ドルと反落しましたが、9月29日(木)は、ドイツ連邦議会下院で欧州金融安定基金(EFSF)の機能強化法案が可決されたことで△143の11,153ドルと反発しました。しかし、週末9月30日(金)は、欧州中央銀行の経営不安や中国経済指標の悪化を嫌気し、▼240の10,913ドルで引けました。

ただし、週間では△141と2週間ぶりの上昇となっています。今週は、ギリシャなど欧州の債務問題が引き続いて焦点になりますが、これに中国・アメリカの景気問題が加わってきます。チャートをみると、10,719~11,539ドルのボックス圏の中で、上値の重たい展開となっています。下げた場合は、10,719ドルを守れるかどうかとなると考えられますが、逆に、戻りを試す場合は、9月29日の高値11,271ドルを超えることができるかどうかとなると考えられます。超えても11,500ドルを試すくらいのものと思われます。基本的には、欧州問題を受けた中国・アメリカの景気後退からの世界景気悪化懸念を織り込む動きが出てきますので、いずれ下放れの形となってくるものと思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、前週末9月23日に76.652円で短期の買転換となったものの、このまま上昇しても77.5円がフシになるとしました。結局、9月26日(月)の76.230円を安値に9月27日(火)以降は引け値で76円台後半の動きとなり、週末9月30日(金)は、77.191円まであって77.091円で引けました。

9月26日(月)は、前週末のG20やIMF総会への失望売りから、リスク回避の円買いで76.230円まで円が買われ、76.357円で引けました。その後は、欧州金融安定基金の規模拡大報道からユーロ買い・ドル売りとなるものの、ギリシャ救済の意見が分かれていることが伝わると、対ユーロでドル買いとなって76.928円まで買われました。9月29日(木)まで76円台後半の動きでしたが、週末9月30日(金)は、日本の輸出企業の9月中間期末に伴う円買い・ドル売りが一巡すると、ドルが下値を切り上げる展開となり、アメリカ市場で9月シカゴPMIが予想を上回る結果となったことで買いが強まり、77.191円まで買われ、引けは77.091円となりました。今週は、市場は、米景気の減速をある程度織り込んでおり、週末の雇用統計が予想を上回れば、ドル高・円安の局面も出てくる可能性があります。76.5~77.5円のもみあいを想定。

ドル/円