先週はアメリカ債務問題・景気指標の悪化から急激な円高となって200日移動平均線を切る

先週の予測では、前週7月21日にNYダウに12,724ドル、また、7月22日に日経平均に10,132円でろく買という追加の買法則が出現したことで、アメリカ市場で債務問題が合意に向かい、企業決算が好調であれば、NYダウは年初来高値(終値ベースで4月29日の12,810ドル)、日経平均は7月SQ値10,225円を試す場面もあることを想定しました。

そのため、アメリカの債務問題の合意がハッキリするまでは、日経平均は200日移動平均線(この時点9,919円)と7月SQ値10,225円の間のもみあいかともしました。しかし、そのアメリカ債務問題が合意の方向とは逆に合意が不透明となってデフォルト懸念が生じ、NYダウが6日続落し、さらに、ドルが売られて円高が進み、日経平均も200日移動平均線を切る動きとなりました。特に、アメリカ市場では、債務問題の合意が先行き不透明となった上に7月27日(水)に6月耐久財受注が予想を下回り、さらに、ベージュブックで12地区中8地区で景気回復のペースが減速したことが確認され、アメリカの景気回復の遅れが鮮明になってきたことで▼198の12,302ドルの大幅安となりました。

これを受けて、7月28日(木)の日経平均は▼145の9,901円となって200日移動平均線(9,919円)を切って引け、週末7月29日(金)は78円を切る円高進行となったことで▼68の9,833円と1カ月ぶりの安値で引けました。また、週末7月29日のNYダウは、4-6月期のGDPが前期比△1.3%(予想△1.8%)と2期連続2%を切る低成長となったことで、一時▼156の12,083ドルまであって▼96の12143ドルで引けました。

今週は週末のアメリカの雇用統計に注目

今週は、明日8月2日(火)期限のアメリカの債務上限引き上げ問題がどういう決着になるか注目するところでした。アメリカ国債のデフォルトや格下げが起きた場合の世界の金融・資本市場に及ぼす影響に警戒感が強まっていました。しかし、先週のコメントで国債の動きからみるとデフォルトは想定されていないとしましたように、本日の日本市場の取り引き前に民主党と共和党の妥協案が可決されるとの見通しが報道され、日経平均は△74の9,907円で寄り付きました。その後、オバマ大統領がデフォルト回避での合意を発表したことで、前場は△180の10,013円と1万円台を回復しました。しかし、後場になると、為替が依然として77円台の円高のままであることや、アメリカ景気の不透明感が増していることが懸念となり、上げ幅を縮小して△131の9,965円で引けました。

明日8月2日(火)を待たず、オバマ大統領のデフォルト回避での合意のニュースで反発となりましたが、上値を追っていくことは出来ませんでした。それは、先週も書きましたように、NYダウの先週までの6日間の続落が債務問題の不透明さだけの理由ではなく、その背景にアメリカの景気回復の後退があるからです。今後は、経済指標をみながらアメリカの景気回復の現状を確認することになります。それによっては、QE3も話題にあがってくる可能性もあります。為替が円高水準を維持したままなのは、アメリカの超低金利政策がまだまだ続くとみているのかもしれません。今週末にはアメリカの雇用統計を控えており、それまでは1万円を挟んだもみあいが考えられます。そうなると、好決算銘柄と個別材料相場ということになります。

(指標)日経平均

7月22日に△121の10,132円となって、前日のNYダウに続いてろく買という買法則が出現したことで、NYダウが年初来高値を試せば、日経平均も先週は7月SQ値10225円を試すことも想定しました。しかし、高値圏で出現するろく買いは、そのまま大きな上昇ができずに直近の安値を切ると売転換しやすい形であることは今までにも説明してきました。今回は、アメリカの債務問題の合意が楽観的な見方から突然不透明となってデフォルト懸念が生じたことや、経済指標の悪化でアメリカの景気回復の遅れが鮮明となり、NYダウは6日続落となりました。

これを受けて、日経平均は7月26日(火)の10,130円をピークに下落に転じ、7月28日(木)は▼145の9,901円となって200日移動平均線(9,919円)を切り、前日のNYダウと同様に売転換となりました。そして、週末は、為替が77円台の円高進行となったことで▼68の9,833円で引けました。

本日は、明日にかけて1/2押しの9,768円くらいを想定していましたが、日本市場の寄り前にオバマ大統領の債務問題合意のニュースがあり、△74の9,907円で寄り付いて10,040円まで上昇しましたが、後場になると、上げ幅を縮小して△131の9,965円で引けました。次は、アメリカの景気後退懸念に焦点が移ってきており、週末の雇用統計までは1万円を挟んだもみあいが想定されます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、前週7月21日に追加の買法則が出現したことで、債務問題が合意に向かい、さらに、好決算が相次げば、4月29日の終値ベースでの年初来高値12,810ドルを更新する可能性があるとしました。しかし、合意への期待が高かった債務問題が逆に難航してデフォルト懸念まで出てきたことや、7月27日(水)は、6月耐久財受注の悪化や、ベージュブックで12地区中8地区で景気回復のペースが減速したことが確認されたことで▼198の12,302ドルとなり、一転売転換へと変わりました。その後、7月28日(木)は▼62の12,240ドル、週末7月29日(金)は下院での債務法案採決が延期され、4-6月期GDPが予想を下回ったことで▼96の12,143ドルで引けました。チャートをみると、1つ目の下値ポイント12,080ドルに接近する12,083ドルまでありました。6月16日の11821ドルを終値で切ると、ダブル天井が確定することになりますので調整に相当時間がかかることが考えられます。守ることができれば12,000~12,800ドルのボックス相場入りになると考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、当面1ドル=80円水準はドルの上値抵抗ラインとなったことで、アメリカ債務問題の合意までは78~79円を基本に下値は77円のボックス相場になりそうだとしました。

しかし、アメリカの債務問題への合意が不透明となり、デフォルト懸念が出てきたことでドル売り・円高が進み、さらに、経済指標の悪化からアメリカ経済の景気回復の遅れが鮮明となったこともあって、週末7月29日(金)は4-6月期のGDPが予想を下回ったことで1ドル=76.854円と3月17日につけた過去最高値76.825円に接近し、76.905円で引けました。

今週は、8月2日(火)が期限の債務問題がどうなるかに注目するところですが、決着がズレ込むようであれば3月17日の最高値76.825円を突破する可能性もあります。決着すれば、そこからはドルの買い戻しとなってきます。76~79円の中での荒い動きが想定されます。

ドル/円