注目の欧米債務問題の好転により一段高となって追加の買法則出現

連休明け7月19日(火)の日本市場は、前日のNYダウが、欧州ストレステストの結果を嫌気し、同時にアメリカの債務上限引き上げ問題が依然として進展しないことで▼94の12,385ドルとなっていたことを受け、▼84の9,889円と200日移動平均線を切って引けました。そのため、7月21日(木)のユーロ圏首脳会議でギリシャへの第2次支援が合意できなかった場合には、25日移動平均線(7月19日時点9,771円)も視野に入れる必要があるが、日米企業決算が期待されているため下支えとなる可能性が高いとしました。

結局、7月19日(火)のNYダウは、好調な企業決算や大統領の「債務上限問題は進展」との発言から△202の12,587ドルと今年最大の上げ幅となり、これを受けて7月20日(水)の日経平均は△116の10,005円となりました。7月21日(木)は△4の10,010円と小幅続伸し、この日の引け後のNYダウは、欧州首脳会合でギリシャへの第2次支援の合意がなされ、また、アメリカの債務上限問題も進展が期待されたことで△152の12,724ドルとなり、柴田罫線ではろく買いが出現して引けました。

先週末7月22日(金)のNYダウは、上院で下院共和党の債務上限措置案が否決され、また、キャタピラーの決算が予想を下回ったことで一時▼80の12,644ドルまで下落しましたが、ハイテク関連の決算は好調だったことから▼43の12,681ドルとなりました。一方、ナスダックは△24の2,858Pとマチマチの動きでした。また、シカゴ先物は前日比変わらずの10,135円となっていました。

先週末の日経平均は△121の10,132円の終値となり、上方にあった2つの窓である10,057円と10,126円をアッサリ埋めて、柴田罫線ではろく買いという追加の買法則が出現しました。チャート上、次の上値は7月のSQ値10,225円となります。今週は、200日移動平均線(9,900円台)が下値、7月のSQ値10,225円が上値とみておくとよいでしょう。8月2日のアメリカの債務上限問題が合意され、さらに、企業決算の好調さが続けば、NYダウは年初来高値4月29日の12,810ドル(ザラ場では5月2日の12,876ドル)を更新する可能性もあります。その場合は、日経平均も7月のSQ値10,225円を突破する可能性があります。

日本市場も、今週は、決算発表の前半のピークが7月29日(金)であり、全銘柄の40%が発表済みとなります。サプライチェーンの復旧も想定以上に進んで生産活動も前倒しとなってきていますので、通期の発表を控えていたところも良い数字が出てくる可能性があります。ただし、銘柄によっては、すでに先取りして上昇しているものが多く見受けられますので、決算発表で材料出尽しという場合もあります。そのため、すでに上昇して高値圏にある銘柄の買いは要注意といえます。出遅れているか、先に上昇して調整している銘柄を選ぶことが基本となります。逆に、決算発表で予想を下回れば大きく売られることになりますので、基本的には決算発表を確認しての押し目買いがリスクは少ないと考えられます。

下値は200日移動平均線がサポート

ただし、チャートの形が良くなっているといっても、外部環境やファンダメンタルズの視点からみると必ずしも楽観的にはなれません。欧州債務問題は、とりあえずギリシャに関しての追加支援の合意でひとまず懸念は後退しましたが、同じような債務国(イタリア、スペインなど)の問題がいつ飛び出てくるかわかりません。そういう意味では、投資は短期売買に徹して確実に利益確定していくスタンスが必要といえます。また、1ドル=80円をこれまで最大の円高と想定してきた輸出企業にとって、1ドル=80円以下(現在78円台)の円高が定着してしまうと企業業績の見直しが必要になってきます。

また、目先的にはアメリカの債務はすでに現行の法定上限に達し、来週8月2日(火)までに上限引き上げが合意できなければデフォルト(債務不履行)となって世界的な金融パニックとなります。協議は難航していますが、相場はデフォルトという最悪のシナリオを想定せずに「合意できること」を前提に動いているようです。しかし、協議が難航していることでドル売り・円買いとなっていますので、8月2日の債務上限引き上げ協議の合意待ちという状態だといえます。それを上回るような好決算が相次げば、アメリカ株高となって日経平均も7月SQ値の10,225円を試す動きとなります。

本日の日本市場は、円高基調の上、昨日の中国での高速鉄道事故による中国国内の景気鈍化を嫌気して上海株式が2%以上も急落したことを受けて▼82の10,050円で引けました。余程の悪材料が出ない限り200日移動平均線(9,900円水準)が下値サポートラインとなります。

(指標)日経平均

先週の連休明け7月19日(火)は、前日のNYダウの大幅下落を受けて▼84の9889円と200日移動平均線(9903円)を下回って引けました。しかし、引け後のアメリカ市場で、企業の好決算や大統領の「債務上限問題に進展があった」との発言から、NYダウが△202の12587ドルの今年最大の上昇幅となったことを受けて、7月20日(水)の日経平均は10042円まであって△116の10005円と1万円台を回復しました。翌日7月21日(木)は△4.4の10010円と小幅続伸したあと、この日の引け後のNYダウは、ギリシャ支援の合意を受けたことを好感して△152の12724ドルと5月10日以来の高値となりました。そのため、円がドルに対して4カ月ぶりの高値となったにもかかわらず、先週末の日経平均は△121の10132円となって、上方にあった2つの窓10057円と10126円を埋めて、柴田罫線ではろく買という買法則が出現しました。

本日は、先週末のNYダウが▼43の12681ドルと反落し、債務上限引き上げ問題が難航し、さらに、中国での高速鉄道事故による景気鈍化懸念から上海株式が急落していることを受けて▼82の10050円で引けました。チャート上は、下値は200日移動平均線のある9900円水準、上値は7月のSQ値10225円が目先想定されるところですので、引線の終値で9900円を切らない限り押し目買いの形と考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週7月18日(月)は、前週末発表の欧州ストレステストの結果が信頼性に欠けるとの見方やアメリカの債務上限引き上げ問題が進まないことを嫌気し、▼94の12385ドルと反落スタートとなりました。しかし、7月19日(火)は、企業の好決算やオバマ大統領が「債務上限問題は進展している」と発言したことで△202の12587ドルと大幅反発しました。7月20日(水)は、翌日にユーロ圏首脳会議でギリシャの第2次金融支援の合意ができるかどうかの様子見で▼15の12571ドルと小反落となりましたが、7月21日(木)のユーロ圏首脳会議でギリシャ支援が合意され、さらに景気指数の改善や企業の好決算が相次ぎ△152の12724ドルとなってろく買という追加の買法則が出現しました。先週末7月22日(金)は、上院で下院共和党の債務上限措置案が否決されたことや、キャタピラーの決算が失望されて一時△80の12644ドルまで下落しましたが、ハイテク株の決算が予想上回ったことで下げ幅を縮小して▼43の12681ドルとなりました。ナスダックは△24の2858Pと上昇しました。今週は、ピークを迎える4-6月期決算で好材料が相次ぎ、8月2日の債務上限問題が合意に向かえば、年初来高値4月29日の12810ドル(終値ベース)を更新する可能性も考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

チャートをみると、5月19日の82.238円、5月24日の82.208円とダブル天井となって6月8日の79.694円まで下落し、ここから短期の上昇トレンドを形成しました。この上昇トレンドの中で、順上げの三尊天井の形となって7月8日81.471円の高値をつけ、同日80.596円で売転換が出現して急落しました。欧米債務問題の懸念が高まり、特にユーロが大幅下落し、リスク回避の円買いとなり、先週末7月22日は78.256円と4カ月ぶりの円高となりました。

今週も、8月2日のアメリカ債務上限引き上げ問題の決着がハッキリするまでは、円高・ドル安圧力が強いといえます。チャートをみると、5月5日の79.561円、6月8日の79.694円とダブル底となっていたところを切りましたので、80円水準は上値抵抗ラインとなり、輸出企業は80円近辺でドル売りを出してきていますので、78~79円を基本に上は80円、下は77円というボックス相場になりそうです。

ドル/円