先週の日経平均は想定通り10,400~10,800円の中での動き

先週の予測では、カダフィ政権の終わりを見据えて、株式市場はもみあい中とし、NYダウは12,000ドル水準でのもみあい、日経平均は10,400~10,800円のもみあいを想定しました。また、先週は合同オプションを3月11日(金)に控え、SQ1週前のオプションの攻防からは、週末高く終わるようだとコール(買い)有利となってSQに向けて堅調な動きの可能性が高まるところでした。

NYダウは、2月25日(金)に12,060ドルまで下げて△61ドルの12,130ドルと反発して終わり、週明けの月曜日は△95ドルの12,226ドルの続伸となりました。しかし、翌日3月1日(火)は中東情勢不安がサウジアラビアにも波及する懸念から原油が再び100ドル台のせとなり、NYダウは▲168ドルの12,058ドルと急反落しました。2月2日(水)は12,019ドルまで下げて△8ドルの12,066ドルと小反発し、3月3日(木)はベネズエラの和平案をリビアが受け入れたという報道や、2月ISM非製造業景況指数や新規失業保険申請件数の結果が予想を上回ったことで△191ドルの12,258ドルの急騰となって、3月1日(火)に12,058ドルで短期の売転換していたものが、この日の12,258ドルで再び買転換の状態に回復しました。現在の高値圏での動きは、2月18日の12,391ドル~2月24日の11,983ドルの間の動きであり、この中で売買法則が交互に出るということは、売り手と買い手の力関係が五分五分となって保ち合いの状態になっていることを示しています。週末の3月4日(金)も2月の雇用統計の中で失業率の9%→8.9%と9%割れを好感して上昇する場面もありましたが、再びリビアの反政府側への最大規模の攻撃で原油が高騰し(1バレル=104.42ドル)、NYダウは一時▲178ドルまで下げて▲88ドルの12,169ドルで引けました。

日経平均は、以上のNYダウや原油価格の動きに合わせ、2月28日(月)は△97円の10,624円で始まり、3月1日(火)は△129円の10,754円の高値引けとなって先週想定した10,400~10,800円の上限に接近しました。そして、週後半の3月3日(木)は△93円の10,586円、3月4日(金)の△107円の10,693円と高く引けてきました。本来ならば、今週はSQに向けて堅調となるところですが、原油の高騰からNYダウの荒い値動きもあり、為替は一時83円台から再び82円台前半となっていることで荒い動きとなるかもしれません。

今週も基本は10,400~10,800円

先週末3月4日(金)のアメリカ市場では、2月雇用統計で非農業部門雇用者数、失業率共に改善するものの、非農業部門雇用者数は予想ほどではなかったことで、前日(3月3日)のNYダウの△191ドルの12,258ドルの大幅高(2月雇用統計を大幅改善とみていた)の反動で利益確定売りとなりました。さらに、リビア情勢が一段と緊迫化して、原油先物が1バレル=104.42ドルと2年5カ月ぶりの高値をつけたことで、NYダウは一時▲178ドルの12,079ドルまで下げ、終値は▲88ドルの12,169ドルで引けました。

週末のアメリカ市場が堅調であれば、先週末の日経平均は△107円の10,693円と高く終わり、SQ1週前のオプションの動きとしてはコール(買い)有利となったことで、今週はSQ日の3月11日(金)に向けて堅調な動きとなるところでした。しかし、リビアの情勢から原油が100ドル台のせとなり、さらに上値を試すようであれば先物主導で乱高下となる可能性が高いといえます。本日の日本市場は前場は▲66円の10,626円で寄り付くと、日経先物に大口の売りが断続的に出て、前引けは▲141円の10,551円でした。後場になっても、先物主導による下値模索が続き、10,472円まで下げて終値は▲188円の10,505円となりました。今週は、SQを控えて先物主導で荒い動きとなりそうですが、10,400~10,800円の間での動きを想定しています。

ドル/円は三角保ち合いへ

日経平均は、今のところ為替が82円を挟んでせまい範囲での膠着状態となっていますので、どうしてもNYダウの動きに左右される展開となっています。前にも述べましたが、日経平均が11,000円を超えるような上昇になるためには、円安トレンドが明確にならない限り、難しいといえます。その為替ですが、先週末はECBのトリシエ総裁が、現在のような原油価格の上昇が続けばインフレ懸念が生じるため4月には利上げする可能性を示したことで、円は対ユーロで一気に115円台の円安となりました。ドル/円も83円までありましたが、NYダウの大幅下落でドル売りとなって82.30円近辺での動きとなっています。ドル/円をみると、当面は三角保ち合いを形成しているようにもみえます。というのは、原油価格の上昇でインフレ懸念がアメリカ・欧州で気にされており、金利引き上げ観測から円が売られやすく、一方で期末に向けては輸出業者による円買い需要がありますので、結局は三角保ち合いになるのではないかと思うわけです。

この三角保ち合いの中で上下の幅が狭くなり、何か円安の材料(ドル買い材料)が出て円安方向へ放れ、その動きが加速して昨年11月29日の84.394円、12月1日の84.481円とドルのダブル天井となっているところを上に抜ければ、円安トレンド(ドル高トレンド)が明白になって、日経平均は11,000円を超えて、まずは昨年4月5日の11,408円を試す動きとなることができます。1カ月前までは、このシナリオを実現性は早いと思っていましたが、中東の民衆による革命という状況になり、原油価格の暴騰という事態になりましたので、このシナリオの実現に黄色信号がともったというところです。

(指標)日経平均

先週の予測としては、10,400~10,800円のもみあいを想定し、SQ(3月11日)1週前のオプションの攻防で、週末に向けて高く終わればコール(買い)有利となって3月11日に向けて堅調な動きを想定しました。アメリカ株高を受けて2月28日(月)は△97円の10,624円、3月1日(火)は△129円の10,754円と続伸し、10,400~10,800円の上限に接近したところで、3月2日(水)は前日のNYダウの▲168ドルの12,058ドルという急落を受けて▲261円の10,492円の大幅安となりました。しかし、今度は10,400~10,800円の下限に近付いていたところで、2月3日(木)にNYダウが△191ドルの12,258ドルの急騰となったことで、3月4日(金)は10,768円まであって△107円の10,693円で引けました。結局、10,400~10,800円の間を大きく上下動したことになります。

今週は、本来ならばSQ(3月11日)に向けて堅調な動きとなるところですが、週末にリビアの緊張が一段と高まり、原油が104.42ドルまで上昇してきたことで、週末のNYダウは一時▲178ドルまで下げて、終値は▲88ドルの12,169ドルと荒い動きとなっていたことで、本日の日経平均は一時10,472円まで下げて▲188円の10,505円で引けました。今週は、SQを控えて先物主導で荒い動きになりそうですが、基本は10,400~10,800円の中の動きとみています。ただし、柴田罫線では三角保ち合いの形となっており、これだと3月24日の10,428円を終値で切ると10,200円台までの下落、逆に10,800円を上に抜けると2月17日の10,891円を突破して11,000円を試す動きが考えられます。今週は、原油先物の行方によって日経平均先物に左右される展開となりそうです。

日経平均

チャート分析では、2月24日の11,983ドルを切ると売転換が出現して調整が長引くことになるとし、柴田罫線では、3月1日(火)に▲168ドルの12,058ドルとなって短期の売転換が出現しました。しかし、より確実な売転換となるためには、直近の安値2月24日の11,983ドルを切るかどうかであり、ナスダックも2,725Pを切ると売転換となって両指数が売転換出現となれば調整が確実になるところでした。

ところが3月3日(木)に、石油価格上昇の関連で一番心配だったリビアがベネズエラの和平案を受け入れたとの報道で原油価格が一服し、アメリカの経済指標の改善が続いたことで、NYダウは一時△216ドルの12,283ドルまであり、終値は△191ドルの12,258ドルとなってろあ買が出現しました。売転換のあと、すぐに買法則が出現したことは、高値圏でのもみあいとなっていることを示しています。これが確実な買転換となるには、2月18日の高値12,391ドルを終値で超えた場合となります。週末3月4日(金)は2月の雇用統計で失業率の改善から買い先行で始まるものの、リビア情勢の緊張から原油価格が高騰したことで、NYダウは一時▲178ドルまで下落し、終値は▲88ドルの12,169ドルでした。

結局、2月18日の12,391ドル~2月24日の11,983ドルの間での大きなもみあいとなっており、どちらに放れるか注目となります。

NYダウ

(指標)ドル/円

2月16日の83.953円までドルが買われたものの、2月17日に83.304円で売転換となり、2月25日(金)は「米GDP改定値」が下方修正となったことで81.641円までのドル安・円高となりました。そのため、先週の予測では、1月3日の80.927円、2月4日の81.128円に対する三点底のような形となって反発することを想定しました。

結局、2月28日(月)~3月2日(水)まではリビアの緊張からリスク回避の円買いの動きが強く、81円台後半の動きとなり、3月2日(水)には81.574円まで下げ(少し下げ足りず)で、3月3日(木)はアメリカでの経済指標の改善を受けて長期金利が上昇してドル買いが強まり、ECB総裁が4月の利上げの可能性に言及したことでユーロが急騰して円が売られ、82.503円となりました。週末3月4日(金)は「米雇用統計」で失業率が改善したことで、ドルが83.056円まで買われましたが、リビア情勢から原油が高騰したことでNYダウが急落し、82.206円まで売られて引けは82.259円となりました。三点底となることが確認できるためには、2月16日の83.953円を終値で抜ける必要があります。原油価格の上昇次第では、再度81円前後を試してくる可能性がありますが、落ち着いていれば82~83円台のもみあいをしながらドルがさらに戻りを試す材料待ちとなります。これをチャートの形でみると、三角保ち合いになりつつある可能性もあり、そうなると、上値・下値が縮まって、そのあと円安に向かう確率が高いと思われます。

ドル/円