2010年1月8日提示の37カ月周期説1カ月遅れのスタートか

2010年1月8日(金)に(この時点で日経平均は10,798円)このコーナーで、2010年の相場を“37カ月周期説で考える”という分析を行いました。景気循環論として、日本の場合には3年週期(37カ月)のシナリオが考えられ、今回は2007年6月20日の18,297円のピークをつけてからの調整が37カ月で終了するとすれば、2010年7月がこの周期の終わりにあたり、8月を基点に今度は37カ月の上昇が始まるというものでした。この時の分析では、7月までの間に9,000~11,000円台を基本に、三山を形成して調整となり、安値をつけてから7月以降にこの三山を抜けると本格上昇というシナリオを考えました。その場合、7月の参議院選挙で民主党が勝利してネジレ国会が解消し、これをキッカケに8月くらいからの上昇を想定していました。ところが、7月の参議院選挙で民主党が大敗して政局不安となり、外国人投資家も減少しました。しかし、今振り返ってみますと、約1カ月のズレた形となっています。日経平均のチャートをみると、2009年8月31日の10,767円を一山目とすると2010年には1月15日の10,982円、4月5日の11,408円と二山が追加されて順上げの三尊天井となって本格調整し、9月1日の8,796円まで下落して底打ちとなり、ここを基点に上昇となりました。つまり、8月の上昇が9月からの上昇にズレ込んだ形となっています。8月の月足の終値が8,824円ですので、ここから37カ月周期スタートしたという見方もできます。何故1カ月ズレ込んだかというと、7月の民主党の大敗、代表選による菅首相の登場が日本株式の停滞に影響を与えた結果かもしれません。

この8月の8,824円を基点とする37カ月周期が始まったというのであれば、3年間は上昇が続くというシナリオになりますが、目に見える形で上昇していくには、もう少し時間がかかることになります。3年間上昇が続くというよりも、上昇が続く形になりやすいと解釈した方がよいでしょう。当面は大きな上下のもみあいになり、そのレンジが2010年4月5日の11,408円に対して11,300~11,500円くらいまでの戻りとなるのか、それともそれを突破して上が12,000円くらいまでなのか、今のところはまだわかりません。そういうレンジを形成してのもみあいがあって、そこを抜けるとさらに一段高となっていくというのが相場の上昇パターンです。37カ月間の上昇の日柄があるということは、日本政府・日銀が対応を間違えなければ予想外の大きな上昇(例えば14,000円)も想定されることになります。

以上は、1年前に想定した37カ月周期説ですが、1カ月のズレでシナリオ通りになっていることは興味深いことです。かといって、それなら3年間保有し続ければいいのではないかとなりますが、過去の延長線上に未来がいつもあるとは限りませんので、こういうシナリオもあるということを考えながら、着実に売買を実践して利益を積み重ねていくのがリスクの少ない投資だといえます。

私は、マネタリスト的な側面から考えると、どうしても円高が気になるところです。前回レポートしましたように、過去の大きな変動ではドルの高値から二分の一になっており、この経験則からみると1ドル=70円水準への円高が考えられるからです。特に、アメリカがドルをどんどん刷りまくっていますので、ドルの価値が下がるのは目に見えており、出口戦略としてアメリカがドルをうまくコントロールできなければ、ドル安は続くことになります。出口戦略がうまくいってアメリカの景気が回復し、欧州財政問題も落ち着き、さらに中国がバブルをうまくコントロールできれば、上のシナリオは現実のものとなります。しかし、それぞれが非常に不透明なことには間違いありません。

2010年1月8日(金)の分析との違い

  1. 三尊天井の形が順上げの三尊天井となって8月31日の11,408円がピーク。ここを抜けて本格上昇へ。
  2. 37カ月なら、2010年7月で調整終了だが、8月31日で調整終了。1カ月のズレ。
  3. 9,000~11,000円水準のボックス圏の動きとしたが、下値は9月1日の8,796円、上値は4月5日の11,408円と多少の上下のズレ。

2010年1月8日(金)の投資ワールドより

37カ月周期説で考えると、今年7月以降本格上昇のシナリオ -年前半に大きな調整あれば、中期保有の仕込み場-

2010年度の一般的な予測

2010年は、サブプライム問題をきっかけとした世界大暴落からの対応策として、世界各国が大型の景気対策と金利引下げを行い、その結果、世界の景気が持ち直し株価は日本を除いてリーマンショック以来の水準を回復してきました。特にアメリカはFRBが超低金利政策の長期間維持を打ち出したことでドルの過剰流動性(金余り)相場となって、金、原油などの商品が活況となりエネルギーや資源関連株も買われて株価も上昇するという形になりました。ドルは他国通貨との金利差やドルに対する不信感から売られ、又、アメリカ政府もドル安による輸出企業の回復から雇用を増やそうとする意図もあり、ドル安の結末としての円高トレンドが続いてきました。日本経済は輸出企業がけん引しているため円高は輸出企業の業績を悪化させ、それを織り込む形で日本株式は軟調な動きを続け、2010年の株価は世界の中で最も上昇率が低く終わりました。

今年の日本株式の国内、国外の各証券会社の共通した見方では、2010年の日本株式の低迷は日本企業の実力からいうと再評価されてくる可能性高く、民主党政権の政策効果もでてくると出遅れ解消となって堅調な動きが想定されています。ただし、今年は各国がこれまでの景気刺激策をどこで終了させるかの出口戦略を実行する段階では株安となりますので、それが年前半にでてくるのか後半にでるのかはアメリカの超低金利がいつまで続くかがポイントとなります。しかし、それが実行される動きになりますとドル買い・円安の動きになりますので為替は2010年の円高トレンドから円安トレンドへの動きとなり、輸出企業は業績を回復させて日本株式にとってはプラスとなってきます。アメリカの株価の上昇は過剰流動性によって支えられていますので超低金利政策が打ち止めになった時は注意が必要ですが、今の世界株高の背景は、中国を中心とする新興国市場の高成長が支えていますので、当面はアメリカ市場のマイナス分を補ってくれる状況にあります。日本株式の本格上昇はその間に民主党政権が日本の成長戦略を打ち出せるのかどうかという政治の問題となってきます。

3年周期(37カ月)のシナリオ

景気循環論としては、短期(数カ月単位)、中期(数年単位)、長期(数十年単位)と経済の変動のサイクルに応じていろいろ考えられそれに対応する形で株式市場も変動していきます。今回は2007年6月20日の18,297円のピークからの調整を約3年周期(37カ月)と考えてみると今年の7月がこの周期の終わりにあたります。7月は参議院選挙の月であり、民主党が衆議院に続いて大勝利になると連立も解消できスムーズな国会運営ができることになりますので、政治的不安定さを嫌う外国人が日本株式を見直すきっかけとなります。7月までは日経平均は9,000円~11,000円台を基本(上にも下にも行き過ぎはあります)とするボックス相場を想定し、この中で3山(もしくは2山)を形成して7月以降このボックスをぬけると本格上昇という1つのシナリオを考えています。もちろん、7月以前であっても、ボックス圏の中で3山又は2山を形成したあと、このボックス圏を上にぬければ同じことがいえます。

日経平均の37カ月周期説があてはまるかどうかは、為替の動向、アメリカ株式の動向、さらには民主党政権の政策実行能力、政局などもかかわってくるためなんともいえませんが、9,000円~11,000円のボックスの中で、3山もしくは2山をつくって6月か7月ぐらいにある程度下落していなければなりません。そういう形になってボックスを上にぬけると上放れとなって2,000円幅ぐらいの上昇となるのがふつうです。今回11,000円水準を試して下落すれば、それは2山目となります。これまでできていた日足での小さな三尊(8月10日の10,630円、8月31日の10,767円、9月11日の10,552円)を突破しましたので、これは8月31日の10,767円をピークとする大きな1山目となります。そして、今回の戻りのピークが2山目となって下落し、下げ止まったところから再上昇となって、今回の戻りのピークをこえずに3山目を形成して、6月~7月に向けて調整すれば、そこからの反発となってボックスを上にぬけると上放れという形で、予想外の上昇も想定されることになります。

逆に9,000円水準~11,000円水準のボックスの中で3山もしくは2山をつくって下落したものの、予想外の悪材料が出て9,000円水準を切った場合は、下放れとなり現在よくいわれている2番底というものが現実のものとなってきます。将来のことは誰にも分からない以上いくつかのシナリオをつくって予想することは必要ですが、そのシナリオを前提に現時点で中期投資をしないことが大切です。要するに大きく上昇したら(例えば11,000円水準に近づく)利益確定して様子を見るか、もしくは損切りポイントを設定してカラ売りすればよいのであり、大きく下落したら(例えば9,500円水準、9,000円水準)と買い下がり、もし終値で9,000円を切ってくるようであればいったん損切りすることも決意しておくことが必要です。そういう考え方で行動すると投資は気分的にずいぶん楽になります。さらにリスクを少なくする人は9,000円を割れてくるのを待ち9,000円割れなかったら今回の投資は諦めるという考え方もあります。これは1年に1回あるかないかの投資法かもしれませんが。

目先は下落しても、まずは10,900円を目指す展開へ
-先週は円安へと反転し、NYダウも高値更新で、10,420円を突破-

今年の大発会の1月4日(火)は、前日の新年明けのアメリカ市場での景気回復期待から増配や自社株買いが高まっている金融セクターに買いが先行し、12月ISM製造業景気指数が7カ月ぶりの改善となり、NYダウが△93ドルの11,670ドルと2年4カ月ぶりの高値更新となったことで、円高ながらも△169円の10,398円となりました。この日は、日米ともに新年を迎えての御祝儀相場という側面もありますので、このまま上昇するかどうかは円安次第とし、円安への方向が確認できなければ、今週も10,200~10,400円のボックス相場が続くとしました。

1月5日(水)は、前日の大幅高から利益確定優先となり、為替は1ドル=82円前半の円安となっているものの、方向性はまだ出ていないことで▲17円の10,380円となりました。この日は、12月SQ値10,420円が上値のフシとして意識されており、私もこれまでは12月15日の1ドル=84.48円を抜く円安になった時に10,420円を突破すると想定していました。しかし、年末年始にかけて一時80円台後半の円高になったにもかかわらず、NYダウが堅調な動きのため、日経平均は大して下がりませんでした。そのため、ドル月円のチャート分析で、12月10日(金)のSQ値10,420円を突破するためには、12月15日の84.48円以上の円安にならなくても、NYダウが高値更新となって、日経平均の出遅れ感がますます強まっているため、円高から円安への反転が明白になれば突破できるかもしれないとしました。

結局、1月5日(水)のアメリカ市場で週末の雇用統計を控えて、その前に発表された12月ADP全国雇用者数が予想を大きく上回り、12月ISM非製造業景況指数も2006年以降の高値水準となったことで、景気回復期待が高まり、ドルが買われて1ドル=83円の円安となり、NYダウも△31ドルの11,722ドルと2年5カ月ぶりの高値更新となりました。つまり、円安が明白になったと同時に、NYダウも上昇するという好環境となり、1月6日(木)の日経平均は寄り付きから△96円の10,477円と10,420円を軽くクリアし、そのためSQ清算値10,420円で売りポジションをたてていた側が、買戻しを急いで一段高となり△148円の10,529円となりました。いわゆるちょっとした踏み上げが起こったわけですが、その証拠に、出来高が前日の17.3億株から23.9億株と急増しています。この日の上げは、アメリカの週末1月7日(金)の雇用統計が改善されているということを織り込んだという側面もありますので、期待ハズレだと再びドルが売られて円安になってくると思われます。ドル月円相場は、12月31日の80.938円のドル高・円安が11月1日の80.25円に対する二番底となったかどうかはもう少し様子を見る必要があります。目先は、11,000円を目指す形ですが、週末のアメリカの雇用統計に注目となります。先月は、ADP雇用者数が予想を上回ったにもかかわらず、雇用統計は期待ハズレでした。

昨日、ヨーロッパの財政問題再燃で円高となったが基本は円安方向へ

先週末の注目のアメリカ雇用統計は、2010年12月の失業率が前月の9.8%から9.4%へと、2009年5月以来の大幅改善となりましたが、非農業部門就業者数は前月比△103,000人となったものの、多くのエコノミストの予想よりも下回ったことで、利益確定売りに押され、NYダウは▲22ドルの11,674ドルで引けました。

1月5日(水)発表のADP全国雇用者数が予想を大幅に超える上昇となったことで雇用統計も大幅な改善が期待されていましたが、それほどではなかったということでした。雇用統計の発表直前には、改善期待からドルが買われ83.767円のドル高・円安となりましたが、発表後は83円前後までの円高となりました。雇用統計が予想を上回っていれば円安となって、今週は一気に11,000円を目指すところでしたが、多少もたつきながら徐々に上値を目指すという展開になるかもしれません。昨日のヨーロッパで財政問題が再燃し、ユーロが大きく売られたことでNYダウは一時100ドル近い下げとなりましたが、売り一巡後は下げ幅を縮小し、▲37ドルの11,637ドルで引けました。為替は1ドル=83円を切る円高となり、シカゴ先物は10,455円となっています。目先下げても10,900円を目指す展開を想定しています。

(指標)日経平均

日経平均_1

 

日経平均_2

(指標)NYダウ

新年明けの1月3日(月)のNYダウは、原油価格の上昇や12月ISM製造業景況指数の7カ月ぶりの高値水準を受けて△93ドルの11,670ドルとなりました。目先は、上値のフシが11,700~11,800ドルとなるところですが、1月4日(火)は△20ドルの11,691ドル、さらに1月5日(水)は12月ADP全国雇用者数の大幅増を受けて11,742ドルまであって、△31ドルの11,722ドルと2年5カ月ぶりの高値更新となりました。1月6日(木)は▲25ドルの11,697ドルと一服し、1月7日(金)も雇用統計の結果が予想ほどではなかったことで▲22ドルの11,674ドルの続落で引けました。昨日のNYダウは先週末の雇用統計で非農業部門雇用者数が期待ほどでなかったことやヨーロッパの財政問題再燃からNYダウは一時▲100ドルの11,573ドルまで売られましたが終値は▲37ドルの11,637ドルでした。

NYダウは、目先の上値ポイントが2008年8月11日の11,867ドル、9月2日の11,790ドルであり、ここを一気に抜くのは難しく、ちょっとした調整が高値圏でのもみあいに入ると思われます。その場合、長期金利が上昇してドル買い・円売りとなれば、日経平均の方は一段上を目指すことも考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

2010年12月27日(月)時点の予測では、ドルは82.50~84.50円のボックスの中で下限を試しているとし、12月7日の82.336円に対する二番底のような形となってドルが円安へ反転するとしていました。しかし、年末年始の参加者が少ない時に、欧州の財務問題が再燃してユーロ売り・円買いとなり、12月31日(金)には一時80.938円の円高となりました。これで、82.50~84.50円のボックス相場とはならず、11月1日の80.25円に対する二番底を試す動きとなりました。1月3日に再度80.927円の円高となりましたが、そのあとはアメリカの経済指標の改善でドルが買われ、1月5日(水)にはNYダウも2年5カ月ぶりに高値を更新する動きとなって、ドルが83.362円まで買われました。週末1月7日(金)は、雇用統計に対する期待から83.676円まで買われましたが、失業率は大幅改善したものの非農業部門雇用者数が予想より弱く、長期金利の利回りが低下したことでドルの利食い売りに押されて83.071円で引けました。先週は今年1月3日(月)の80.927円から1月7日(金)の83.676円までのドルの戻り(円安)となって、雇用統計が期待ほどでもなかったことで、今週は83円を挟んだもみあいが続くことになりそうです。そのあとは、2010年12月15日の84.481円を試す動きを想定しています。

ドル/円