先週は想定通り10,200~10,400円のボックスの中の動きで終わる

12月27日(月)の予測では、この日は中国政府の利上げを受けたあとの上海株式が反発したことで、円高にもかかわらず先物主導で△76円の10,355円で引けましたが、超閑散相場の上昇ですので上値を試す状況ではなく10,200~10,400円のボックスの上限を試した動きに過ぎないとしました。12月30日(木)に向けて、掉尾(とうび)の一振とかいう市場関係者も多かったようですが、そのような強気な話にのると、すぐに高値掴みとなってしまいます。私は、25日移動平均線を下回るか4段の縮小型の上げ方の一区切りとなる下げを待つことをアドバイスしてきました。結局、中国の利上げや欧州の財政不安、アメリカの長期金利の上昇を受けて円高が進行し、大納会である12月30日(木)は10,209円まで下げて、終値は▲115円の10,228円で引けました。想定したボックス10,200~10,400円の中で、12月27日(月)の10,376円を高値、12月30日(木)の10,209円を安値として10,228円で引けました。

為替の動きをみると、12月28日(火)に日本の11月鉱工業生産指数が6カ月ぶりにプラスとなり、中国の利上げもあって、外国為替市場で円を買う動きが優勢となり、また欧州でスイス・フランが急伸して対ドルで過去最高をつけたこともドル売り材料となって、1ドル=81円台後半まで円が買われ、結局、12月7日の82.336円を下に切るドル安(円高)となりました。12月30日(木)のメッセージで、毎年為替は年末から年始にかけて大きく振れやすく、今回は82.50~84.50円のボックスの下限を下に切ったので、ドル安・円高へ振れるとしました。そして、12月31日(金)は80.938円と一時81円を割るドル安となり、終値は81.190円となりました。これで82.50~84.50円のボックス圏の想定はなくなり、次は11月1日の80.25円に対する二番底(もしくはダブル底)を確認することになりますので、80.41~84.50円の大きなボックスを想定することになります。

大発会はアメリカ株高を受けて大幅高スタート

本日1月4日(火)の大発会は、年末と年始めにかけて為替が80円台に入る場面もありましたが、昨日のアメリカ株式の大幅高と円高一服を受けて△169円の10,398円の大幅高となりました。NYダウがさらに大幅上昇となって年初来高値を更新したことで、出遅れ感がますます強まり、円高にもかかわらず反発で引けました。

昨年11月以降の日経平均は、アメリカの超金利緩和による日本株の出遅れ買いと円高との綱引きで、NYダウには追随していない形ですが、ドル換算の日経平均では、NYダウの上昇とほぼ同じ形となっており、これが円でみると出遅れということになっています。そのため、円高となっても大きな調整とはならず、目先円高のピークが確認できれば日経平均の本格的な上昇が始まることになります。

本日は、日米ともに御祝儀相場という側面がありますので、明日からどう動くかということになります。円安への方向性が確認できれば別ですが、そうでなければ今週も10,200~10,400円のボックス圏内の動きとみています。基本的には、今年6月までFRBの量的緩和によってNYダウが上昇し、これが世界的な株高を支え、中長期的には円高方向ながら、当面は日本にも出遅れ感という視点からのおこぼれがあって上昇することになると考えれれます。

(指標)日経平均

柴田罫線で読む中長期の日経平均

日経平均は、NYダウが2007年7月17日の14,022ドルをつける1カ月ほど前の6月20日に18,297円の高値をつけ(NYダウはその後10月11日の14,198ドルの史上最高値でピーク)、サブプライム問題からの世界同時株安を受けて暴落となり、この年の10月28日に6,994円で底打ち(一番底)となりました。ここから11月5日の9,521円まで自律反発するものの再下落となり、2009年3月10日の7,021円で二番底となり、ダブル底に近い形となって本格的な戻りに入りました。2009年3月10日の7,021円からの上昇の仕方をみると、まず6月12日の10,190円まで上昇したところで2007年6月20日の18,297円と2008年6月6日の14,601円を結ぶ下降ライン(A)にアタマを押さえられて7月13日の9,050円まで下落し、ここからの上昇では下降ライン(A)を上に抜いて2009年8月31日に10,767円の戻り高値((1))をつけました。ここで11月27日の9,076円まで下げて中段でのダブル底の形となって再上昇し、2010年1月15日に10,982円と戻り高値を更新((2))し、押し目をいれたあと4月5日には11,408円と再び戻り高値を更新((3))しました。これで、2009年3月10日の7,021円からの上昇の仕方は、上向きの先細三角形となり、その中で順次上値を切り上げる三尊天井((1)(2)(3))となって4月28日の10,924円で売転換となって下放れしました。

そして、今度は下向きの先細三角形(C)の下げ方となり、この中で(4)5月27日の9,395円、(5)7月6日の9,091円、(6)9月1日の8,796円と順次下値を切り下げる逆三尊天井の形となって、9月15日に9,516円で上放れとなりました。この9月15日の上放れの分析で、日経平均は本格的な戻りに入っていくことを予測しました。その後、上昇トレンド(D)となって、この中で11月2日の9,123円の安値をつけて、11月5日に9,625円で買転換となり、12月10日(金)の合同SQ算出日に10,373円の高値(12月SQ値10,420円)をつけてもみあいになっています。ザラ場では、12月22日に10,394円をつけて年初来高値を更新していますが、大きなフシは10,420円となっており、ここを抜くには1ドル=84.48円を上に抜くドル高・円安を必要としています。しかし、年末には82.50~84.50円としたボックス相場の下限である12月7日の82.33円を下に切るドル安・円高となっており、こうなるとドルの11月10日の80.24円に対するダブル底となるかどうかに注目となります。そうなることで円安へ反転すれば、10,420円を抜くには1ドル=84.48円ではなく83円台の円安でも可能となってきます。円高が進んでも(80円を切る円高だと状況は変わってきますが、今回は80円を切らないとみています)、日経平均は1万円前後くらいまでの下げとみています。NYダウに対する出遅れ感が強まっていますので、あまり下げないで10,420円を突破するかもしれません。

日経平均

(指標)NYダウ

柴田罫線でNYダウの中長期のトレンドを読む

NYダウが2007年10月11日に14,198ドルの史上最高値をつけて、サブプライムローン問題から本格調整となり、この調整の過程で2008年9月19日に11,483ドルの高値をつけたあと、今度はリーマンショックが起こって大暴落となり、2009年3月9日に6,440ドルでやっと底打ちとなりました。その後、アメリカは大規模な財政投資とFRBによる低金利政策を行ったことでNYダウは急角度の上昇となり、2010年4月26日には11,258ドルまで上昇しましたが、リーマンショックの高値は超えられずいったんの下落となりました。企業業績は回復するものの、アメリカ経済の回復は遅く、7月2日には9,614ドルまで下げて二番底が懸念されましたが、ここでFRBは更なる金融緩和を打ち出し、2010年11月3日には、2011年6月までに6,000億ドルの量的緩和の第2弾を行うことを決定しました。これによって、さらに金利の過剰流動性相場が続くことになりますが、どこで出口戦略をとって平常状態に戻すことができるのかは不透明のままであり、当面(2011年6月まで)は、上昇相場が続く可能性がありますが、その後の展望は見えてきません。

チャートをみると、2009年3月9日の6,440ドルをつけたあとの長期の上昇の仕方としては、今のところ上向きの末広がり三角形(A)の上昇となっています。この中で、2010年4月26日の11,258ドルをつけたあと、7月2日の9,614ドルまで調整し、ここから中期の上昇トレンド(B)を形成しています。この上昇トレンド(B)の中の動きは8月27日の9,936ドルの安値から急角度の上昇となって11月5日に11,451ドルまで上昇し、ここで日柄調整となって10月18日の10,917ドル、11月29日の10,929ドルとダブル底の形を作ったあと、12月1日に11,255ドルで買転換となって上放れし、2008年9月19日の11,483ドルというリーマンショック直前の高値を突破して、12月29日には11,625ドルの年初来高値更新となりました。その後、12月30日(木)は12月の中国購買担当者景気指数が5カ月ぶりに拡大ペースが鈍ったことや、年末ということもあって利益確定売りから▲15ドルの11,569ドルで引けました。12月31日(金)は、終日閑散相場で小動きとなって△7ドルの11,577ドルで2010年を終えました。

チャートからみると、強気の上昇が続く形となっていますが、目先はリーマンショック前の水準で2008年8月11日の11,867ドル、9月2日の11,790ドルと二山形成していましたので、11,800ドル水準ではいったん止まるところです。この二山を上に抜けると、末広がりのチャートの形からは13,000ドルが目標となってきます。気掛かりは欧州財政問題と中国の利上げによる世界経済の影響です。しかし、基本はドルの過剰流動性相場ですので、年前半までは誰もが強いと予想しているような動きによる可能性がありますが、その中には売りの要因を育てているという考え方をしておく必要があります。全員が強気になったときは用心しなければなりません。新年明けの1月3日(月)のNYダウは、原油価格の上昇や12月ISM製造業景気指数の高水準を受けて11,711ドルまであって△93ドルの11,670ドルとなりました。

NYダウ

(指標)ドル/円

11月29日の84.394円、12月15日の84.481円とドルのダブル天井となったことで、82.50~84.50円の大まかなボックス圏の中で、12月7日の82.336円に対するダブル底の形をつけました。その後、12月15日の84.481円を上に抜けるドル高(円安)となれば、9月15日の政府の円安介入を受けた高値85.92円(9月17日)を試す動きとなり、その場合は日経平均も12月10日(金)のSQ清算値10,420円を突破して11,000円を目指す想定をしていました。12月20日(月)に84.117円のドル高・円安となったあとは、83円台でもみあっていましたが、ギリシャの財政問題が再燃してユーロが急落し、円が買われて12月24日(金)は82.870円で引けました。この時点では、12月7日の82.336円を終値で抜けると円の一段高の可能性があるとしながらも、12月7日の82.336円に対するダブル底の形を想定しました。しかし、12月28日(火)に中国の利上げと欧州財政不安から円が買われやすく、一時81.810円までありました。年末から年始にかけて毎年大きく振れやすいとしましたように、12月31日は80.938円まで円が買われ、終値は81.161円となりました。

82.50~84.50円のボックス圏(A)を想定していましたが、12月7日の82.336円をアッサリ突破して、12月31日には80.938円までの円高となったことで、80.40~84.50円のより大きなボックス圏を想定することになります。つまり、11月1日の80.25円に対するドルの二番底(もしくはダブル底)となって、12月15日の84.481円を上に突破できるのかどうかとなります。円高進行にもかかわらず、日経平均はそれは下げていないため、12月10日(金)のSQ値10,420円を抜くためには12月15日の84.481円以上の円安でなくても、NYダウが高値更新して出遅れ感がますます強くなっていますので、目先円高から円安への反転が明白になればいいかもしれません。

ドル/円