先週は4段の縮小型の上昇が一区切りとならず横もみへ…為替に注目

前週末12月10日(金)に、日経平均は寄り付きの10,373円が高値となり、その時の12月SQ清算値が10,420円となったことで、今週はいったんの一服場面もとし、戻りのあと下落となって、4段の縮小型の上げ方にはまるとすれば1万円前後くらいの押しがあるとしています。結果的には、12月13日(月)に△81円の10,293円、12月14日(火)に△22円の10,316円と反発し、12月16日(木)に10,347円まで上昇するものの、終値では10,300円前後のもみあいとなり、12月17日(金)も▲7円の10,303円となりました。

12月13日(月)と12月14日(火)と戻したあとは一服となっていますが、想定通り4段の縮小型の上げ方の一服となるかどうかはまだわかりません。それは、今回の日経平均の上昇が為替の円安にかかっており、もし一服しながらも1万円前後まで調整しない間に為替が1ドル=84円40銭水準を上に抜くドル高・円安となれば、1万円を試さず、そのまま上昇して4段の縮小型の上げ方を打ち消す可能性もあります。というのは、為替をみると、アメリカでのブッシュ減税延長で長期金利が急上昇してきており、本来ならば金利差拡大から、もっとドルが買われて円安が進んで、日経平均が一段高となってもおかしくありません。ところが、12月15日(水)はスペイン国債の格下げの見通しが強まり(12月16日にはギリシャも格下げ観測)、再び欧州の債務問題が絡み、ユーロ売り・ドル買いとなって、つれて円が買われ、アメリカの長期金利の急上昇を打ち消す形となっています。12月14日(火)のFOMCでもアメリカの景気の認識は上方修正されるものの、一方で雇用が不安定ということで金融緩和が維持され、ドル高への大きな転換点とはなりませんでした。しかし、為替のチャートをみると、最近では84円40銭水準を何度か試していますので、ここを明確に抜けてくるときには、日経平均は大きな上昇になると思われます。アメリカの経済指標は次々に強いものが出ていますので、正確には12月15日の84円48銭をいつ突破してくるのかのタイミング待ちともいえますが、それには欧州の落ち着きが前提となります。

日経平均は、テクニカルが一部過熱化している状況にありますが、今回のような日経平均の上げ方や新高値銘柄数をみると、まだ過熱化しておらず、相場は長く続くものとみています。しかし、上述したように、12月10日(金)の10,373円、その時の12月SQ清算値の10,420円がしこりになっており、先週は12月16日(木)の10,347円までの上昇で止まっています。

12月10日(金)のSQ清算値10,420円が目先は大きな上値のフシ

SQは毎月第2金曜日が清算日ですが、3カ月に1回は合同SQといって3カ月物と一緒にまとまって清算されるため、通常より出来高が大きく膨らみます。これが12月10日(金)にあたり、10,420円までの買い越しとなって清算値が決定され、そこから先物が急落し、日経平均も10,373円で寄り付いて10,194円まで下げ、終値は10,211円でとなって12月のSQ清算値を大きく下回って引けました。そのため、先週は12月16日(木)の戻りも10,347円がやっとで、10,420円を突破するには大きな支援材料があって出来高も一気に盛り上がるような状況になる必要があります。それにはドル/円での明確な円安というものがなければなりません。

為替のチャートからは1ドル=84円48銭を上に抜けるとドルの上放れ=日経平均の再上昇

為替のチャートをみると、この1カ月の動きは大まかには82円50銭~84円50銭のボックス相場を形成しており、この中で11月29日に84円39銭をつけたあと12月7日に82円33銭まで下げ、84円台まで戻したあと12月14日に82円83銭で二番底のような形となって12月15日に84円48銭まで反発してダブル天井に近い二山を形成しています。チャートの形からは、二山を形成して浅い押しのあと、この山を上に抜けると急騰という形になります(詳しくは柴田罫線のドル/円チャートを参照)。そうなると、1カ月近いボックスのもみあいをドルが上放れる形であり、エネルギーが溜まっているため9月17日の85円90銭水準(日銀の介入による円安)では止まらない可能性もあります。ただ、ユーロ売りが絡んでいるために円に対するドルの上昇が押さえられる面も考えると、まずは85円90銭を目指すところです。

合同SQ値の10,420円を突破できるには為替が1ドル=84円48銭をいつ抜くことができるかが基本であるとみてよいでしょう。今週も84円48銭を抜けなければ、4段の縮小型の一区切りとなるような調整か、先週と同じような横もみのどちらかとなります。

結局、先週の分析で指摘したように、本日は10,182円まで下落し、終値は▲87円10,216円となり、4段の縮小型の上昇の一区切りとなるような下げになってきました。前場は、アイルランドの格下げからの欧州財政危機への懸念と朝鮮半島の緊迫化から軟調な動きとなって▲32円の10,271円の前引けとなりました。その後、昼休みにハンセン当局が平安銀行とハンセン発展銀行の合併案を却下したことや、不動産引き締め、朝鮮問題などから上海株式が3%を超える大幅下落となったことで、日経平均も後場早々10,182円まで下落しました。その後、押し目買いが入ってやや下げ幅を縮小し、▲87円の10,216円で引けました。朝鮮半島問題は気掛かりですが、1万円水準まで下げれば、さらに下がる可能性も想定して買っていくところです。逆に、円安に振れて1万円水準まで下げなければ、買い損なうということもありますので、個別銘柄については直近の上昇幅の1月3押し~1月2押しが買ポイントになると考えられます。

(指標)日経平均

前週末12月10日(金)は、12月SQ清算値が10,420円と決まったあと先物が急落し、同じ様に日経平均は10,373円で寄りついて10,194円まで急落し、終値は▲73円の10,211円となりました。週末の終値が10,211円となってSQ清算値を下回って引けたので、10,373円(さらに10,420円)が上値のしこりとなるため、今週は軟調な動きが想定され、戻りを試したあとは4段の縮小型の一区切りとなって1万円水準までの調整を想定しました。

想定通り、12月13日(月)に△81円の10,293円、12月14日(火)に△22円の10,316円と反発しましたが、その後は10,300円を挟んだもみあいとなり、上値は12月16日(木)に10,347円までとなり、12月10日(金)の10,373円に上値を押さえられ、先週末の12月17日(金)は▲7円の10,303円となりました。戻りを試したあと一服となりましたが、4段の縮小型の一区切りとなるかどうかは円の動向次第です。アメリカの経済指標に強いものが出てドル買いが進み、早めに12月15日の84円80銭を上に抜いてくると、円安を好感して日経平均が上昇することになり、その場合は10,200~10,350円のもみあいを抜け出ることになります。そして、10,420円を突破してくると一段高となって、4段の縮小型の一区切りは消滅することになります。どちらになるにしろ、調整の程度はしれていますので、欧州不安が気掛かりではありますが、当面の強気スタンスとなります。本日12月20日(月)の日経平均は▲87円の10,216円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

2008年後半から現在までのチャートをみてみると、2008年8月11日の11,867ドル、9月2日の11,790ドルと二山を形成して下落し、9月18日に11,483ドルまで戻したあとリーマンショックで暴落となって、急角度の下降トレンドライン(A)を形成して2009年3月9日の6,440ドルで底打ちとなりました。ここからは、政府とFRBによる大型の財政政策と金利ゼロ政策によって急回復し、チャートは上向きの末広がり三角形の上昇となっています。

この中で、今年4月26日の11,258ドルまで上昇するものの、リーマンショック直前の株価を超えられず、調整となって7月2日の9,614ドルまで下落しました。しかし、引き続くFRBの金融緩和政策によってドル安・円高が進行し、過剰流動性相場となって8月27日の9,936ドルを二番底に大幅上昇となり、11月5日に11,451ドルと終値ベースでのリーマンショック直前の高値を突破しました。その後、いったん調整となってもみあい、10月19日の10,917ドル、11月29日の10,929ドルと日足でザラ場でのダブル底を形成して、12月1日に11,255ドルで上放れとなり、12月14日(火)は一時11,514ドルとなってリーマンショック直前のザラ場高値である2008年9月18日の11,483ドルを上に抜けましたが、終値は△47ドルの11,476ドルでした。12月15日(水)も、ザラ場では11,519ドルと年初来高値を更新しましたが、終値は▲19ドルの11,457ドルでした。12月16日(木)は、堅調な経済指標から△41ドルの11,499ドルと終値での年初来高値を更新し、週末の12月17日(金)は売り先行となりましたが、ハイテク株の好決算と11月の景気先行指数が下支えとなり、▲7ドルの11,491ドルの小反落で引けました。

ここからはリーマンショック前に2カ月ほど11,600ドルを挟んだもみあいが続いていますので、上値は重くなります。当面は上昇しても11,800ドルはフシとなりますが、その後2008年8月11日の11,867ドルを突破すると、さらに上昇が続くことになります。それとも、その前に10月19日の10,917ドルを割る調整が起こるのかどうかは、アメリカの景気回復後のスピードと欧州の債務問題にかかってきます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測としては、下値が83円台半ばくらいまで下げて、ドルがじりじりと戻りを試す展開を想定し、83円台後半を固めて84円台へとしました。

12月13日(月)は、上海株式の大幅上昇や米金利の上昇から84.340円までドルが買われましたが、ムーディーズが今後2年で米国の格付けの見通しをネガティブに変更する可能性を報じたことでドル売りとなり、83.118円まで下落しました。この流れから、翌日の12月14日(火)は一時82.838円まで売られるものの、米国の強い経済指標を受けて金利が上昇し、ドルが買われて83.771円まで上昇し、さらに12月15日(水)はユーロの信用不安でドル買いが進み、長期金利の一段の上昇でドル買いが加速して11月29日の84.394円を上抜けして84.481円まで上昇しました。その後は、84円を挟んだもみあいとなり、週末の12月17日(金)はアイルランドの5段階格下げもあって84.001円で引けました。

チャートをみると、11月以降は大体82円50銭~84円50銭のボックス相場となっています。この中で、11月29日の84.394円、12月15日の84.481円と二山を形成して、押し目を入れた形となっており、このまま83.38円を終値で割らない浅い押しのあと、12月15日の84.481円を突破できればドルの上放れとなって、まずは9月17日の85.92円を試すことになります。最大下げても、12月3日の82.59円を終値で守って12月15日の84.481円を突破すればボックスの上放れとなりますが、この場合は時間がかかると思われます。形としては、二山形成後の浅い押しの上放れの確率が高いのではないかとみています。

ドル/円