先週は11月15日(月)に11月SQ値9,813円をすぐに突破したことで相場の強さを示す

先週は、11月12日(金)の終値が11月のSQ値9,813円を下回る▲136円の9,724円となったことで、少なくとも週前半は軟調な展開が予想されるところでした。しかし、週始めの11月15日(月)の大引けにかけて上げ幅を拡大し、△102円の9,827円となって11月SQ値を突破して引けましたので、当面の相場は強いことを示しました。そのため、為替も1ドル=82円台から83円台を目指す動きとなってきたことから、今週はNYダウ次第で1万円を試すことになるとしました。

結局、為替は想定通りこの日の海外市場で83円台乗せとなりましたが、NYダウは11月16日(火)に中国の利上げ懸念とアイルランドの財務問題、そして10月の生産者物価指数と鉱工業生産指数が予想を下回ったこと、さらにFRBの金融緩和策の規模縮小観測もあり、▲178ドルの11,023ドルの急落となりました。しかし、11月17日(木)の日経平均は寄り付きこそ▲103円の9,693円でしたが、為替が83円台の円安となっていることで銀行・自動車株などの主力株に買いが入り、後場になるとプラスに転じ△14円の9,811円となりました。NYダウの大幅下落に逆行する珍しいパターンとなりましたが、すでに述べていましたが、世界株高の中で日本だけが為替の円高によって上昇できていませんので、円安方向となれば当然出遅れ修正として買われるということです。11月18日(木)は、海外勢からの買いも入って出来高・売買代金共に膨らんで△201円の10,013円と6月22日以来の1万円台乗せとなりました。週末は、前日のNYダウがGMの再上場、アイルランドの財務問題の落ち着き、11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の予想5.0を大幅に上回る22.5という今年最高の伸びを受け△178ドルの11,181ドルと大幅反発したことから、日経平均は△111円の10,124円で寄り付きました。しかし、この水準は日足の上値抵抗ラインがあることから、上げ幅を縮小し△8円の10,022円で引けました。

今週は目標の1万円台乗せと休日を挟んでいることから一服場面もへ

為替は目先の1つのフシである83円70銭台にいったん乗る(11月18日に83円769銭)ものの、ここを超えていくことはできませんでした。しかし、ここまでは行き過ぎたドル売りによってFRBが内外からの批判を受け、同時にアメリカの経済指標に改善がみられるものがでてきたことで、これまでのような大規模な金融緩和の正当性が無くなり、規模縮小の見方も出てドルが買い戻されてきました。この水準までの戻りで、ドルはある程度買い戻されたという見方もあり83円70銭台を超えることができないでいるともいえます。日経平均は、日足で見ると10,120~10,150円は上値抵抗ゾーンであり、為替もすぐには83円70銭台突破できなければちょっとした調整があってもおかしくありません。別の見方をすれば、為替はまずは83円70銭台を試したという形であり、いずれここを突破してくるとみていますが、それまではまず主力の輸出関連株が上昇していますので、恐らく循環物色が活発となっていき、出遅れの総合電気や内需株にも波及していくと思われます。

ただし、日経平均がさらに一段高となるには、為替が83円70銭台を突破し、せめて85円台、86円台になってはじめて下期に慎重な見方をしていた輸出関連の上方修正が現実的になってくると思われます。いつ為替が83円70銭台を再び超えてくるのかに注目となります。それまでの間は、今年6月21日の10,251円を試すことは難しく、1万円台での値固め的な動きが想定されます。83円70銭台を超えることができなければ、再びアメリカの経済指標の多くが悪化して大規模な金融緩和を継続するという方向になり、再びドル売・円買いの展開になると考えることができます。そうなると、日経平均は10,251円を試すことができずに、円高を嫌気して再下落というシナリオも考えておかなければなりません。現時点では、私はいずれ83円70銭を突破していくのではとみています。

本日は、為替が83円台半ばの動きとなっており、先物主導で△111円の10,133円で寄り付き、10,091円まで下げたあとは切り返し、後場には10,157円まであって大引けは△92円の10,115円でした。薄商いの中の先物主導での上昇であり、高値圏での膠着状態といえます。目先は、一服感が出るところですので、新規の買いは押し目買いに徹することが重要です。

予想以上の円安で予想以上の日経平均上昇のシナリオも

11月1日(月)のメッセージで、テクニカル的には売られ過ぎのゾーンへとし、翌11月12日(火)にはリスクを取れる人は買っていく水準としました。そして、この日はトピックスが2009年4月1日以来1年7カ月ぶりの800Pを一時割り込み、日経平均も9,123円の安値をつけました。その後、すぐに反発となって11月8日には9,732円と、9,300円台~9,700円のボックスを上放れしました。しかし、ほとんどの市場関係者は為替の円高トレンド、NYダウの調整、欧州の財務問題を出して、日経平均の上昇は長続きしないとしていました。確かに筋道を立てて考えると、現在の日本市場を取り巻く背景にある理由を一所懸命考えますので買うのは難しいとなります。それは、私達には「常識」というものがあるからです。日本市場を取り巻く環境は、円高トレンド、欧州の財政問題、政局不安などマイナス要因が多く、世界的な出遅れといってもせいぜい1万円くらいなものであろうという見方が大半です。しかし、11月18日(木)は△201円の10,013円と6月22日以来の10,000円台乗せとなりました。あとはどこで6月21日の10,251円を突破できるかとなります。

為替で円がドルに対して82円台から83円台の動きになってきました。これまでのアメリカの株高、商品高、ドル安という流れの巻き返しが起こってきているようにもみえます。それが、これから商品安、円安、日本株高という流れになるシナリオも考えることにつながります。為替の円高進行で上昇できなかった日本株式が、為替の円安方向でこれまでと逆に上昇というパターンになる可能性があります。そのためには為替の円安進行が必要ですが、83円70銭を超えると84円70銭に小さなフシがあり、ここを抜けると為替介入でつけた86円まではフシらしいフシはありません。そうなってくると、輸出企業は下期が1ドル=80円を想定した業績予想になっていますので、上方修正が現実味を帯び、輸出企業主導で予想外の日経平均の上昇のシナリオが出てきます。本格的なドルキャリーの巻き戻しが起これば、この86円を突破するドル高(円安)も考えれないことではありません。11月17日(水)の日経新聞のトップの見出しに「円高・ドル安転換の兆し」という記事が載りました。まだ半信半疑ですが、本当に転換したとほとんどの人が感じた時には、今度は当面ドルの戻りのピークというパターンになるのが普通です。その時、日経平均もかなり大きく上昇していて強気になっているかもしれません。目先は6月21日のザラ場高値10,251円を試すことになりますが、ここを終値で超えてくると予想外の上昇となる可能性があります。

(指標)日経平均

前週末の11月12日(金)は▲136円の9,724円となってSQ清算値9,813円を下回って引けたので、週前半は軟調な動きを想定していました。しかし、為替が1ドル=82円台後半の動きとなり△102円の9,827円となって1日でSQ値を上回ったことで、相場が強いということが見て取れました。11月16日(火)のNYダウが▲178ドルの11,023ドルと急落になったにもかかわらず、円が1ドル=83円台の動きとなっていることで、11月17日(水)は寄り付きこそ9,693円をつけたもののプラスに転じて△14円の9,811円で引けました。そして、11月18日(木)はNYダウの小幅続落にもかかわらず海外勢の買い観測から上げ幅を拡大し、出来高・売買代金ともに膨らみ△201円の10,013円となって、6月22日以来の1万円台を回復しました。一言メッセージでは、11月2日(火)にリスクをとれる人は買っていく水準とし、11月8日(月)にはSQの週は大きく買われる場面があり、11月15日(月)は「早くも先週末のSQ値を突破したことで1万円を試す動きへ」としましたが、11月18日(木)には△201円の10,013円と1万円台のせとなり、週末は△8円の10,022円となりました。目先は、今年の戻り高値6月21日の10,251円に接近してきており、1万円という目標達成感もありますので、目先一服あってもおかしくないところです。本日(11月22日)は、薄商いの中先物主導で10,157円まであり、終値は△92円の10,115円でした。10,120~10,150円ゾーンはフシにあたるところですので、ここから上値は重たくなると考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

前週末11月12日(金)は、中国の利上げ懸念とアイルランドの財政問題から▲90ドルの11,192ドルで引けたことで、先週は反発なければ11,000ドルを試す動きになるとしました。11月15日(月)は、10月小売売上高が予想を上回ったことで△9ドルの11,201ドルと反発しましたが、11月16日(火)は再び中国の利上げ懸念とアイルランドの財政問題が再燃し、FRBの金融緩和の規模縮小の見方もあって一時10,978ドルと11,000ドルを割り込み、引けは▲178ドルの11,023ドルとなりました。11月17日(水)は▲17ドルの11,007ドルと小幅続落となりましたが、11月18日(木)はGMの再上場で市場のセンチメンタルが改善し、中国の引き締め観測後退とアイルランドの財政問題懸念が後退したことで△173ドルの11,181ドルの大幅反発となりました。さらに大きく上昇すれば問題は無いのですが、この水準でもみあうか、戻り弱く11,000ドル(確実には11月16日の10,978ドル)を終値で切ってくると売転換が出現する形となって、さらに一段安が想定されるところです。週末の11月19日(金)は、一時▲61ドルの11,119ドルまであって、終値は△22ドルの11,203ドルと切り返して引けました。目先はアイルランド問題や中国の金融引き締めが重荷となる一方で、企業業績や経済指標の改善も見られ高値圏での不安定な動きとなりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、基本的にはアメリカの景況感に少し変化が出てきている(改善傾向)ことで、82円台でもみあっているが、次の83円台を目指す動きとしました。11月15日(月)は、「FRBが金融緩和の規模を縮小する可能性がある」との見方から金利が上昇し、83.085円で引けました。その後も、83円台を維持し、11月18日(木)には米経済指標が強い結果となり、10年債利回りが上げ幅を拡大したことで83.769円まで買われ、引けは83.520円でした。週末(11月19日)は83.635円まであって83.530円で引けました。83.7円台は上値のフシですので、いったん下落となっています。次にここを抜けてくると84.7円台がフシですが、ここを抜けると、日銀が介入してドルが急騰した9月7日の85.92円を試す可能性もあります。まずは、11月18日(木)の高値83.769円を終値でいつ突破できるかに注目となります。今年5月4日の高値94.97円からの下降トレンド(A)を上に抜きましたので、下げても82円台で当面は止まり、上値を目指していく(ドル高方向)可能性が高いと思われます。

ドル月円