先週はFOMCの金融緩和策の決定を受け世界株高

先週は、前週末(10月29日)にFOMCを控えてのポジション調整と円高進行で9,316~9,716円のボックス相場の下放れとなったことで、もう1~2日は下げてくる可能性が高いものの、これまでの下げ過程で買いの形も含んでいるためタイミング待ちともいえるとしました。ポイントはどこで目先ドル安に歯止めがかかるかということでしたが、一つの見方として、NYダウは大規模金融緩和を前提に上昇してきているため、FOMC通過で材料出尽しとなり、ドルがいったん買い戻されて円安に振れることを想定しました。想定通りの規模の国債買い入れであれば、材料出尽しとなってNY株式の急落も考えられるところですので、FRBがどのような方法で今後の株式市場に期待を持たせるかが注目になるとしました。結局、国債購入額を6,000億ドル(市場予想5,000億ドル)とし2011年6月までの8カ月間で買い入れるとしました。購入額は予想を超えたものの、購入期間は6カ月間が予想されていましたので、この部分はマイナスであり、NYダウは乱高下となって一時▲91ドルの11,097ドルまで下げて、引けにかけて△26ドルの11,215ドルとなりました。声明文の中に、経済状況によっては再び金融緩和の可能性を示唆した部分がありました。これによって、世界的な過剰流動性への期待が高まって世界株高となり、この流れから11月4日のNYダウは△219ドルの11,434ドルとなってリーマンショック前の水準を回復しました。日本市場も80円台の円高ながら、世界株高を受けて△141円の9,500円で寄り付き、大引けは△267の9,625円となってろあ買が出現し、先週末の短期の売転換を打消しました。オプションから見るとSQ(11月12日)1週前のコールとプットの攻防でコール(買い)有利で終わりました。

午後に行われた日銀の金融政策決定会合では、政策金利を据え置いただけで追加の緩和策は何も出ませんでした。株価が上昇していることで何もしなかったと思われますが、何か政策を出して日経平均が9,700円台を抜けて終われば相場つきが大きく変わる可能性がありましたが何もしませんでした。週末11月5日(金)の注目の10月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想の6万人を大きくこえる△15万1,000人と大幅改善したことで利益確定売りで一時▲41ドルまで下げたNYダウは△9ドルの11,444ドルと6日続伸となり、為替も81円台のドル高・円安となりました。

先週末はコール(買い)有利で終わっているため今週は買い方有利

先週末の11月5日(金)の日経平均は△267円の9,625円となって、柴田罫線でろあ買という買法則が出て前週末の売転換をいったん打ち消す形となりました。オプションからみると、SQ1週間前のコールとプットの有利・不利の攻防でコール(買い)有利と終わっていますので、アメリカ株式が大きく下げたり円高が進行したりしなければ戻りを試す形となります。特に10月のSQ清算値9,692円、そしてダブル天井(9月21日の9,704円、10月7日の9,716円)を終値で抜けると、今週は週末にSQ清算日を控え大きく動く可能性が高い週ですので、10,000円(手前の9,930円水準のフシがあります)を目指す動きも考えられるところです。

先週末は、アメリカでは注目の雇用統計が予想を大きく上回る改善となっており、目先の大きなイベントも通過しましたので、為替も目先は1ドル=79円75銭の史上最高値を試すのは回避されたといえます。NYダウは、上昇過程で日足では何度か売りの形が出てきてきましたが、これだけ大規模な金融緩和が実行されますので売りの形を無視して上昇しています。テクニカルな過熱感は、例えば乖離率などは大きくなると株価がいったん少し一服することで乖離率が縮小し、再び上昇するという形となっています。こうなってくると、なかなか本格的に相場が崩れにくくなりますので、利益確定から大きな下落があっても、再び上値を試す形になります。特に、FRBは追加の金融緩和を予想を超える規模で行ったものの、材料出尽しとはならないように、さらなる追加金融緩和策を示唆しましたので、ドル安トレンドは継続し、結果的にアメリカ株式は上値を追うことになります。日本株式は、アメリカ株式が上値を追うことを前提に、ドル安というものがありますので本格的な戻りはなかなか難しいといえます。日経平均を上昇させるには、少なくとも円高がせめて進行しないような対策を政府・日銀が出さなければならないということになります。

為替の動きのシナリオを考えてみると

FRBの金融政策に比べると、日銀の場合は随分見劣りがしますが、それでも日経平均のETFの購入を決定したのは評価できると思われます。あとは規模の問題ですが、この規模が小さければドル売り・円買いの流れをいくらかでも阻止するのに役立ちません。目先は82円を終値でクリアすると83円台までの可能性はあります。もしドルが82円をクリアできずに再び80円台に入り、その時に80円台前半を維持できれば11月1日の80.247円に対するダブル底となって、その場合は82円を上に抜ければ83円台では止まらず、政府が介入してドルが反発した9月17日の85.92円水準までのドル高・円安の可能性が出てきます。このシナリオになるとすれば、12月のFOMCでは金融緩和は見送る(経済指標に好調なものが出てきているため)でしょうから、その間に日銀が新設した資金買取基金で規模を大きくしたり対象資産を広げたりするなどの行動を機敏にとれば、少しは円高の流れを食い止めることができるかもしれません。それができるかどうかは別にしても、年末までに史上最高値を更新するような動きが出なければ、日本株は世界的株高からの出遅れとして水準訂正が続くことが想定されます。

本日(11月8日)は、先週末のアメリカ株式の堅調さと81円台の円安を受け△73円の9,699円で寄り付き、9,677円まで押しを入れるものの、戻り売りをこなしながら終値は△106円の9,732円となって、10月のSQ清算値9,692円、ダブル天井(9月21日の9,704円、10月7日の9,716円)を突破して引けました。本来ならば、本日と明日くらいちょっとした押しを入れて、そのあとダブル天井を抜けてくると一気に上放れとなるのですが、本日は高寄りしてそのままダブル天井を抜けて終わりました。NYダウの上昇がそのまま続けば別ですが、NYダウが下落すれば多少連動し、10,000円を目指すのはそのあとになるかもしれません。それにしても、1つ目の上値の関門を突破しましたので、多少時間はかかっても10,000円を目指す形と考えられます。

(指標)日経平均

前週末(10月29日)に、アメリカのFOMCを控え80円台半ばまでの円高進行となったことで、ボックス相場の下放れとなり9,000円を試す展開が想定されました。しかし、11月2日(月)に9,123円まで下げてFOMC待ちとなり、このFOMCで国債購入額が市場予想の5,000億ドルを上回る6,000億ドルとなり、追加の金融緩和にも含みを持たせたことで、世界的な過剰流動性への期待から世界株式が上昇し、11月4日(木)のNYダウは△219ドルの11,434ドルとなってリーマンショック前の水準を回復しました。これを受けて、11月5日(金)の日本市場は、為替が80円台の円高水準のままながら世界的に出遅れ感があるところから海外からの買いも観測され、日経平均は△267円の9,625円となってろあ買出現となりました。前週末に9,202円で短期の売転換となりましたが、世界株高に支えられて11月5日にすぐにろあ買が出現し中立状態になっています。チャートの形としては、上昇トレンド(C)を形成しつつありますが、本日(11月8日)は△106円の9,732円となって、当面の上値のフシになるところだったダブル天井を抜けて終わりました。大きな動きが出やすいSQ週ですので、NYダウに大きな下落がなければ、10,000円を試す動きも想定されます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、週始めから中間選挙の共和党優勢観測とFOMCの大規模量的緩和期待から上昇が続き、11月2日(火)は△64ドルの11,188ドルでした。結果として、中間選挙では共和党が下院で過半数、上院でも半数にあとわずかまで接近する圧倒的勝利となり、FOMCでは国債の買い入れ額が市場予想の5,000億を上回る6,000億となったことで(買い入れ期間が6カ月から8カ月に延びたマイナス面はあったものの)、△26ドルの11,215ドルとなって年初来高値を更新しました。さらに、経済状況によっては再び追加金融緩和の可能性を示したことや、世界的な株価上昇の流れとなっていることもあり、△219ドルの11,434ドルとなって5日続伸でリーマンショック以前の株価水準まで回復しました。チャート的にはいったん下落してもおかしくない形でしたが、FOMCの声明文を受け、4月26日につけた今年のザラ場最高値11,258ドルを一気に上に抜けて、再び2009年3月9日の6,440ドルからの上昇トレンドにのり、今年7月2日の9,614ドルからの短期上昇トレンド(B)を上放れする形となりました。これでみる限り、アメリカの専門家が心配していた二番底は当面なくなったといえます。10月12日の10,913ドルを終値で切らなければ、しばらくは高値圏での動きが続くことになります。先週末は、前日の大幅高から売り先行となるものの10月雇用統計が予想を上回り、NYダウは△9ドルの11,444ドルと6日続伸で引けました。目先はリーマンショック前のザラ場高値11,483ドルを抜けるかどうかとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、前週末の10月29日にFOMCを控えて円高が進行し、80.412円となってろあ売が出現しましたが、FOMC(11月2日~11月3日)のすぐあとに日銀金融政策決定会合(11月4日~11月5日)を開くことになったため、一方的なドル安・円高とはなりにくく、材料出尽し、もしくは失望によるドル買い戻しのどちらかが起こるとしました。11月1日(月)は80.247円の安値からスタートし、突然81.403円までドルが急騰したことで政府介入かと騒然となりましたが、結局ヘッジファンドのご発注といった見方から再び80円台前半となりました。11月3日(水)は、日本市場は休場でしたが、アメリカの経済指標の強い結果を受けてドルが81.581円まで買われました。11月4日(木)は、前日のFOMCの声明を受けたドル売り優勢や、新規失業保険申請件数が予想を上回ったことでドルが売られ80.582円まで急落しました。しかし、週末の11月5日(金)は注目の雇用統計が予想を上回る改善となったことで米国債金利が上昇してドル買いが強まり、一時81.445円まで買われて終値は81.250円となって買法則が出現しました。目先は10月27日の81.974円が上値ポイントとなり、ここを抜けると83円が上値抵抗ラインとなります。82円台を抜けずに再び円高となって80円台前半で止まって、11月1日の80.247円に対するドルのダブル底のような形となって反発できれば、83円を突破するようなドル高・円安の可能性が出てきます。

ドル/円