先週は円高進行に関わらず日経平均はしっかり

先週の3連休明けの10月12日(火)の予測では、チャートは1万円を目指す形だが政府の介入がなければ失速もとし、この日の日経平均は▲200円の9,388円となったことで、10月5日の9,332円を守れるかどうかとしました。11月のFRBの追加金融緩和期待からドル安・円高が続いているものの、ここにきて金融相場の動きとなって日本株も円高にもかかわらずしっかりした動きとなってきました。

金融相場とは別名過剰流動性相場、俗に金余り相場ともいいます。アメリカを中心とする先進国の金融緩和で行き場のないお金が金先物や原油先物市場などの商品市場に流れ、さらに株式市場に流れ込んできます。そこでは、企業業績よりも需給関係が優先されることになり、不景気の株高を演出することになります。現在のアメリカ市場をみると、10月8日(金)の雇用統計の悪化がFRBの追加の金融緩和への期待を高め、低金利からのドル安で株式市場に資金が流れ、経済指標の相次ぐ悪化にもかかわらずNYダウは4月26日の11,258ドルという今年の高値に接近する動きとなっています。これに連動して欧州株式も上昇していますが、アメリカ株式にとってのプラス材料であるドル安が円高進行となることで、日本株だけがほとんど上昇できない形となっています。しかし、10月14日(木)は81円前半までの円高にもかかわらず、世界株高からみて日本株は出遅れとして買われ△180円の9,583円でした。ただし、逃げ足の早い短期資金ですので、いつでも換金できる流動性の高い大型株が買われることになります。そのため、時価総額の大きい大型株へ投資マネーが流れ、中小型株は冴えない動きとなり、この日は東証マザーズや日経ジャスダック平均は年初来安値更新となっています。先週末(10月15日)の日経平均は、アメリカで金融セクターが下落した流れから日本のメガバンクも売られ、昨日の大幅上昇の反動もあって利益確定売りから▲83円の9,500円となりました。

結局、世界的な金余りであっても、81円台の円高では輸出企業の業績は不透明であり、日本株を本格的に買うにはやはり多少なりとも円安方向へシフトしなければ難しいといえます。チャート的には、10月8日(金)のSQ値9,692円を超えて9月21の9,704円、10月7日の9,716円のダブル天井となっているところを突破できれば上放れとなるのですが、為替が現水準の81円台であれば無理があります。日本政府はG7が終わっても介入できないでいますが、放っておくと79円を切る動きとなってしまいます。来月初めにあるFRBの追加金融緩和策の発表(市場はかなり確実性が高いとみている)まで待っているのかもしれません。

日経平均が9,400円を守れば戻りを試す展開へ-日足の下げ方としてはそろそろ反発の形だが-

今週は為替が79円75銭を守れば日経平均は戻りを試す可能性も

先週末10月15日(金)のアメリカ市場では、差し押さえた住宅の売却停止が不良債権を抱えることになって収益の悪化に繋がるという見方から、大手銀行株が前日に引き続いて売られ、10月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想を下回ったことで、NYダウは一時▲83ドルの11,010ドルまで売られました。しかし、バーナンキ議長の講演での金融政策について一段の行動が必要となるとの発言で、11月のFOMCで金融緩和が実行されるという見方から、NYダウは下げ幅を縮小して▲31ドルの11,062ドル、ナスダックは△33Pの2,468Pとなりました。

先週FRBの追加金融緩和が先送りされるシナリオも考えてみましたが、週末のバーナンキ議長の発言をみる限り11月のFOMCで間違いなく実施されることなりそうです。市場関係者はかなり大規模な金融緩和が行われるという見方をしているようですが、そうなると材料出尽しとなって景気の悪化に歯止めがかからなかった場合、次の手が打ちにくくなります。次にまだ金融緩和ができる余地を残した金融緩和の実施であれば、アメリカ株式が失望売りで下落しても再度上昇することになります。どれくらいの規模の量的緩和になるのか注目するところです。

日本株式は円高抵抗力を試す展開となっています。先週の10月14日(木)は、1ドル=81円台前半の円高にもかかわらず、世界的な株高からの出遅れとして△180円の9,583円となりました。ただし、市場最高値の79円75銭を突破してくると、そうはいかなくなるでしょう。アメリカでは10年物国債の金利が急上昇しており、その背景に日本政府は為替介入できず円高が進むという見方が大勢を占めています。しかし、一方でインフレ期待率が急上昇してきており、大規模な量的金融緩和がやりにくいという面もあります。となると、ここからは一方的なドル安・円高にはなりにくく、ドル安のいったんの小休止も考えられます。当然11月のFOMCに向けてドル売がたまっていますので、どこかで買戻しが入ることになります。そのタイミングが79円75銭を突破して出てくるのか、突破できずに出てくるのかとなります。日経平均は、現在9,400~9,700円という狭いボックス圏の動きとなっていますが、79円75銭を突破すれば8,800円水準までの下げが想定され、79円75銭を守れば9,700円を上に抜けることになります。日足の形としては、9,400円を守って反発に転じる可能性が高いといえます。

本日は、前場は目新しい材料が無い中、米国でのハイテク株高、金融株安の流れを受けて、ハイテク株の一角がしっかりして△47円の9,547円でした。後場になると、円が対ユーロで112円台の円高となったことで欧州の売上高比率の高い輸出関連株が値を消し、▲1円の9,498円、トピックスは△4Pの830Pとマチマチの動きとなりました。

(指標)日経平均

3連休明けの日本市場は、先週末10月8日(金)のアメリカの雇用統計が大幅悪化し、ドルが急落となって1ドル=82円を切る動きとなったことで、▲200円の9,388円の大幅下落となりました。10月5日の安値9,332円を終値で切ると、9月21日の9,704円、10月7日の9,716円が目先のダブル天井の形となって上昇方向が仕切り直しになるところでした。81円台での円高にもかかわらず、10月13日(水)は△14円の9,403円と反発し、10月14日(木)はNYダウの大幅上昇を受けて△180円の9,583円となりました。週末は前日の反動で▲83円の9,500円でした。ドル売りが一服し、またドル安から金、原油などの商品が買われ、株式市場にも資金が流れ、金融相場(金余り相場)という需給関係による相場が始まるという見方もあります。FOMCによる追加の金融緩和後には、ヘッジファンドの決算でドルが買い戻され円安へ振れるという見方もありますので、一方的に円高が進まない可能性もあります。週明けの10月18日(月)は、前場は目新しい材料が無い中、世界的に金融緩和に伴う資金流入の期待から△47円でしたが、後場になるとユーロに対して円高となったこともあり▲1円の9,498円で引けました。為替が79円75銭を突破しなければ、今週は日経平均は戻りを試す動きとなる可能性があります。

日経平均

(指標)NYダウ

3連休明けの10月12日(火)の分析では、NYダウは上昇の中で売りの形を含んでおり、11,000ドル前後には大きなフシがあることから11,000ドル台に乗せていくのは難しいとしていました。しかし、10月8日(金)の9月の雇用統計の大幅悪化から、11月始めのFRBによる追加の金融緩和が確実視され、ドル安となって大量の資金が金や原油など商品市場に流れ、株式市場でも素材・エネルギー関連の株が相場をサポートしする形で上昇し、10月13日(水)は△134ドルの11,155ドルまで上昇し、終値は△75ドルの11,096ドルとなりました。週末の10月15日(金)は、一時▲83ドルの11,010ドルまで下げるものの、バーナンキ議長の追加の金融緩和が11月のFOMCで実施されるような内容の発言で▲31ドルの11,062ドル、ナスダックは△33Pの24,68Pとなりました。今年のザラ場高値は4月26日の11,258ドル、終値では11,205ドルとなっていますが、そこへ接近してきました。もし、4月26日のザラ場高値11,258ドルを終値で抜くことができれば、これまでの上昇過程の中の売りの形は解消して、当面は業績とあまり関係のない需給関係による金融相場が始まる可能性があります。特に、4月26日の11,258ドルをつける過程では日足での三尊天井を作っての下落となっていましたので、11,258ドルを抜けると上放れという形になります。金融相場とは金余り相場ですので、需給関係が業績より優先し、そのあと業績相場へ移っていきます。そうなると、日本株も円高を多少無視しても戻りを試すことになります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、G7も終わり日本政府の円安介入への警戒感もあることから円高一服も考えられるところでした。しかし、10月8日(金)の「米雇用統計」の大幅悪化で一時81.720円を抜けて82円台まで戻したものの、10月12日(火)のFRB発表の9月21日開催分のFOMC議事録で追加の金融緩和が当面の方向性として確認されたことで、再び81円台のドル安(円高)となりました。さらに、10月15日(金)はバーナンキ議長発言で11月初めのFOMCで追加の金融緩和の実施を感じさせる内容だったことで、一時80.88円と81円を切るドル安となりました。日本の介入は、国会で菅首相が韓国の為替介入について批難したことで、ますます難しくなっているようにみえます。ただし、チャートを引き直してみると、今年の4月2日の94.69円、5月4日の94.97円とダブル天井をつけて三角保ち合い(A)を切って下落となっており、現在まで下降トレンド(B)の中の動きとなっています。この下落の形ですと、80円水準(1995年の79円78銭)は下降トレンド(B)の下値斜線にサポートされるところであり、一方的な円高にはなりにくいところといえます。また、FRBの追加金融緩和前にドル売りの買い戻しも入ってきますので、いったんドル売りの巻き戻しが起こってもおかしくありません。

ドル/円