NYダウは再度の1万ドル割れを想定しておく

8月23日(月)の分析では、NYダウが10,120ドルを守れるかどうかに注目とし、政府・日銀の対応によっては失望売りともしました。NYダウが10,120ドルを切ると、1万ドルでは止まらず、1つ目の下値ポイント9,800ドルまで試すことを想定しました。日経平均は、NYダウが10,120ドルを切ると9,000円を切って、8,500円水準まで下げてくることを想定しました。

結果的には、日米の当局が株価の下落を止めるための対策を出してきたために、もう一歩のところで下値の目標値に届かず、いったんの自律反発となりました。NYダウは、8月24日(火)に▲133ドルの10,040ドルとなって、注目としていた10,120ドルを下に切り、為替も一時1ドル=83.58円と15年2カ月ぶりの83円台の円高となりました。これを受けて、8月25日(水)の日本市場は8,807円まで下落し、終値では▲149円の8,845円と9,000円を割り込んで引けました。この日の8,840円水準は1つ目の下値ポイントですが、下放れた形ですので8,500円水準まで下落すれば買うタイミングと考えメッセージを出しました。NYダウは、8月25日(水)は△19ドルの10,060ドルと小反発したものの、8月26日(木)は▲74ドルの9,985ドルと7月6日以来の1万ドル割れとなりました。これを受けて、8月27日(金)の日本市場は▲95円の9,811円で寄り付いたものの、この水準を守ろうとする公的資金の買いで下げ渋り、前引けは▲77円の8,829円でした。しかし、菅首相が円高への対応方針をこの日のうちに記者会見すると伝わると円安方向へ為替が動き、株式市場も期待感から主力の輸出関連株中心に買い戻しが入って△84円の8,991円の続伸となりました。そして、引け後のアメリカ市場では、バーナンキ議長が追加の金融緩和策実施の示唆をしたことで△164ドルの10,150ドルの大幅反発となりました。

NYダウは、チャートからみても、週の終値で10,120ドルを切ってくると、さらに一段安となる形ですので手を打ってきたとみるべきでしょう。日本では、この日に菅首相の円高対応発言もあり、タイミング的には日米の株価の下落阻止の暗黙の合意があったのかもしれません。しかし、日米共にこのまま戻りを試しても政策効果を織り込んでしまえば再び下落となります。特に日本市場についていうと、5月・6月に信用買い残が増加しており、まだそれ程減少してはいませんので、余程の大商いが続かない限り、戻り売りとなって、結局次の下げではさらに大きな下げの可能性が出てきます。

反発も上値は限定的。本日日銀の追加の金融緩和は材料出尽し

週末の8月27日(金)アメリカ市場は、GDPの改定値が下方修正されたものの、予想よりは上回ったことやFRBバーナンキ議長の追加の金融緩和の用意があるとの発言で、NYダウは△164ドルの10,150ドルの大幅高となり、為替も85円台の円安となりました。

本日8月30日(月)の日経平均は、午前9時に臨時の会合が開かれることが発表され、追加の金融緩和策への期待から△150円の9,141円で寄り付き、主力の輸出関連株中心に買い戻しで全面高となり、一時300円近い上昇となって9,280円をつけ、前引けは△274円の9,265円でした。午後の日銀の臨時の金融政策決定会合では、新型オペ6カ月の新設を柱とする追加金融緩和導入が決定されたものの想定の範囲内であり、材料出尽くしとなって為替も円高方向へブレ、日経平均は上げ幅を縮小して△158円の9,149円で引けました。市場は日銀の追加緩和策に失望し、いったん円安基調となっても再び円買いとなって、為替介入の催促相場となる見方が多いようです。元々ユーロ圏とアメリカは、当面は自国通貨が安いことによって輸出企業のGDPへの貢献を期待しているところがありますので、日本だけの円高対策は長続きしません。

NYダウをみると、先週末は△164ドルの10,150ドルの大幅高となりましたが、下値ポイントである9,800ドル近辺を試さないまま反発していますので中途半端な上昇といえます。このまま連続で1~2日陽線が出ると、再び売りの形となって1万ドルを割ってくる可能性が高いとみています。そうなると、日本市場が独自で動けない(結局、本日の日銀の対策もサプライズなし)以上、NYダウの動向次第となってきます。日米共にテクニカル的には、日柄からみても反発しておかしくないところですので、もう一度安値を試したあと、戻り相場がスタートするかもしれません。日本の場合ですと、民主党の党首選が14日ですので、その前に勝敗がハッキリしてくると期待感でスタートする可能性はあります。ただし、本格的な戻りになるには出来高を伴わないと10月の信用の高値期日となってきますので、戻り売り相場となってしまいます。

(指標)日経平均

先週は、NYダウが10,120ドルを守れるかどうかに要注意とし、ここを切ると1万ドルでは止まらず、1つ目の下値ポイント9,800ドル近辺を試すことになるとしました。そのNYダウは、8月24日(火)に▲133ドルの10,040ドルとなって10,120ドルを切り、8月25日(水)は△19ドルの10,060ドルと小反発するものの、8月26日(木)は▲74ドルの9,985ドルと1万ドル割り込みました。しかし、8月27日(金)は、バーナンキ議長が追加の金融緩和を示唆したことから△164ドルの10,150ドルの大幅反発となりました。この反発は、下値ポイントの9,800ドルを試していないため、中途半端なところからの戻りであり、いずれ再び1万ドルを割ってくることを想定しています。

日経平均はNYダウの動向次第となっていますので、8月25日(水)には前日のNYダウの急落と為替の一時15年2カ月ぶりの1ドル=83.58円を受けて、8,807円まで下落し、終値は▲149円の8,845円となりました。その後は、政府・日銀による経済政策への期待から反発となり、8月27日(金)は△84円の8,991円で引けました。そして、本日(8月30日)は午後に日銀の臨時の金融政策決定会合が開かれることから前場は期待感で9,280円まで上昇し、前引けは△274円の9,265円でした。しかし、午後に発表された日銀の追加の金融緩和策は、サプライズがなく失望売り(材料出尽し)となって上げ幅を縮小し△158円の9,149円で引けました。目先は、8月19日の9,362円を20円上回る9,382円以上で引けると、もう少し戻りを試すことになりますが、そうでなければ上値は徐々に重くなり下落となってきます。現在の下げ方は、下向き先細三角形(B)となっており、これが安値圏で出て煮詰まると上放れする確率が高いといえます。まだ、煮詰まった状態からの反発ではないので、次に下げてきて、そのあとの上昇で上放れとなる形です。

日経平均

(指標)NYダウ

先週のNYダウの分析では、7月12日の10,120ドルを守れるかどうかとし、守れれば為替も1ドル=84円72銭を守り、日経平均も9,000円を守って目先反発ということになるとしました。結局、8月24日(火)のNYダウは7月の中古住宅販売件数の大幅悪化を受けて▲133ドルの10,040ドルとなって、7月12日の10,120ドルを一気に下に切りました。これを受けて、為替は1ドル=83.58円と15年2カ月ぶりの83円台の円高をつけました。当然、8月25日(水)は日経平均も9,000円を割って一時8,807円をつけ、終値では▲149円の8,845円となりました。NYダウは8月25日(水)は、値頃感から△19ドルの10,060ドルと小反発しましたが、8月26日(木)は翌日に4-6月期のGDP改定値の結果が大きな下方修正になるのではないかとの懸念から、▲74ドルの9,985ドルと7月6日以来の1万ドル割れとなりました。しかし、週末の8月27日(金)はGDPの結果が予想ほど大きな下方修正とならなかったことや、FRBのバーナンキ議長が追加の金融緩和策を示唆したことで△164ドルの10,150ドルの大幅高となって、いったん切った10,120ドルを回復して引けました。日足では、10,120ドルをいったん切ったものの、週の終値では何とか10,120ドルを守った形となりました。目先、自律反発となりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測のポイントとしては、8月11日の85.31円を終値で下に抜けるとろあ売出現となって、8月11日の84.72円を試す動きとなり、ここを切ると下放れとなって82円台を試す可能性があるとしました。まず、8月23日(月)は、ユーロが7月13日以来の安値水準となっていることで、ドルも売られ85.168円の終値となって8月11日の85.31円を下に切りました。そして、翌日の8月24日(火)は、日本政府の為替介入への期待ハズレとNYダウの急落でドルが売られ、一気に83.574円と15年2カ月ぶりに83円台をつけました。ここからは、政府の為替への介入期待が再び高まり、円高一服となって84円台の小動きとなってきました。

しかし、8月27日(金)は菅首相がこの日のうちに円高への対応の会見を開くとの報道で円売りが強まって84円台後半の動きとなり、NY市場ではFRBのバーナンキ議長が追加の金融緩和を示唆したことで、NYダウが急反発し、ドルが85.449円まで買われ、終値は85.22円となって短期の買転換となりました。目先は、86円が上値ポイントですが、日本単独の為替介入には限界があり、戻りのあとは再び円高方向となってきます。

ドル/円