政府・日銀の経済政策期待で多少戻すもすぐに反落

先週は、FOMCの更なる追加の金融緩和策がなければ、アメリカ株式は上昇できず、日本市場は政府・日銀の円高対策(リップサービス)によっては多少戻りを試すことがあっても長続きしないので、更なる下げを期待して待つとしました。

NYダウは、8月9日(月)に10,698ドルと約3カ月ぶりの高値をつけましたが、出来高が伴っておらず、翌日から8月16日(月)の▲1ドルの10,302ドルまで5日続落となりました。8月9日(月)に10,698ドルまでの上昇過程で出来高が減少しながらの上昇であるため、いつ下落へ転じてもおかしくないところでした。その後、M&Aや好決算に支えられて8月17日(火)に△103ドルの10,405ドル、8月18日(水)の△9ドルの10,415ドルと2日連続上昇するものの、8月19日(木)は新規失業保険申請件数が大幅に増加し、8月フィラデルフィア連銀景況指数が予想の△7.0から2009年7月以来の▲7.7と大幅悪化したことで、▲144ドルの10,271ドルとなりました。週末の8月23日(月)は、景気回復の遅れの懸念から▲57ドルの10,213ドルで引けました。目先は、NYダウは10,120ドルを守れるかどうかとなります。

日経平均は、8月16日(月)に4-6月期の国内GDPが予想の年率△2.3%から△0.4%と大幅に下回り、8月13日(金)のSQ清算値9,188円を割り込んで寄り付きましたが、終値では▲56円の9,196円となりました。8月17日(火)は、日米金利差の縮小から85円台の円高進行となったことで9,084円まで下落し、ここからは翌週に菅首相と白川日銀総裁の会談予定が伝わると下げ幅を縮小し▲34円の9,161円で引けました。その後は、円高水準のままながら、アメリカ株式が反発となり、日銀・政府の経済政策期待もあり、さらに公的資金流入の観測もあって、8月18日(水)は△78円の9,240円、8月19日(木)は△122円の9,362円と反発しました。しかし、この日の引け後のアメリカ市場が経済指標の大幅悪化で、NYダウは▲144ドルの10,271ドルとなり、これを受けて8月20日(金)は▲183円の9,179円の大幅反落となりました。後場になると、菅首相と白川日銀総裁の会談は不透明という要人発言もあったことで下げ幅を拡大しました。

NYダウ、ナスダックの動きに注目

ここからの日経平均の行方は、アメリカ株式と政府・日銀の動きにかかっています。為替については、ユーロ対ドル・ユーロ対円でみると、ドル高・円高の方向ですが、それに対してドル/円は微妙な動きで85円台での横向きとなっています。アメリカ経済の回復が遅れる懸念からのドル売(円高)と、それを阻止するための政府・日銀の経済政策への期待で動けない状況となっています。結局、為替については、アメリカ経済への懸念が問題になっているわけですから、さらに悪化した経済指標が出てNYダウが大きく下落すれば、ドル売りの流れは政府・日銀がインパクトのある政策を出さない限り円高が進む可能性があります。そのNYダウのポイントは、これまで何度も言っていますように、10,120ドルを守れるかどうかとなります。ここを切ると、多分10,000ドルでは止まらず、1つ目の目先の下値ポイントである9,800ドルを試すことになります。ナスダックをみると、週末は△0.8Pの2,179Pの陽線となっており、これが連続の陽線で2,218Pを抜けなければ急落という形ができてきます(今日・明日のナスダックに注目)。そうなると、NYダウは10,120ドルを割ってくることになるでしょう。

日経平均については、非常に微妙といえます。9,000円台になると、信託経由での買いが入っており、公的資金による買い支えかもしれません。週足でみると、9,000円という水準は、昨年7月13日の9,050円からの長いもみあいの下限ですので、ここを切ると下放れとなって売りが売りを呼ぶ展開となるところです。しかし、今回は政府・日銀の経済政策が出てくるタイミングでもあるし、下げても8,500円水準と今のところはみています。9,000円を今のところ守っていますが、NYダウが10,120ドルを切ってくる展開になると守れなくなるでしょう。

本日(8月23日)は、先週末のアメリカ市場が前日の新規失業保険申請件数や8月のフィラデルフィア連銀景況指数などの経済指標の大幅悪化の流れを引き継いで、アメリカ経済への懸念から▲57ドルの10,213ドルの下落となりました。菅首相と白川日銀総裁の会談延期が報じられ、円が強含んでいることから▲32円の9,147円で寄り付いたあとジリ安となり、後場直後には9,090円まで下げるものの、押し目買いが入って下げ渋り▲62円の9,116円で引けました。9,000円台では、公的資金の買い支えが入っているのかもしれません。アメリカ株式が動くのが先か、政府・日銀の経済政策が先か様子を見るところです。

(指標)日経平均

先週は、8月16日(月)に4-6月期の国内GDPが予想の△2.3%を大きく下回る△0.4%となったことで9,095円まで売られ、その後下げ幅を縮小しましたが、翌日(8月17日)も9,084円をつけて、一時8月12日(木)の年初来安値9,065円に近付きました。ここで、菅首相と白川日銀総裁の週明け会談予定が流れると下げ幅を縮小して▲34円の9,161円となりました。その後は、85円台の円高基調は変わらないものの、アメリカ株式の反発と、日銀・政府の経済政策への期待から、8月18日(水)は△78円の9,240円、8月19日(木)は△122円の9,362円と2日連続の上昇となりました。しかし、8月19日(木)のアメリカ市場で経済指標が大幅悪化したことで、NYダウは▲144ドルの10,271ドルとなり、それを受けて週末の日経平均は▲183円の9,179円となりました。

柴田罫線をみると、三角保ち合いの下放れのあと、8月12日の9,065円からの反発は、7月6日の9,091円に対するダブル底のような形を形成しており、反発して9,382円を引線の終値で抜けると短期の買転換となりますので、ダブル底を確認した形となり、戻りを試すことになります。逆にこのまま下落して、引線の終値で8月12日の9,065円を終値で切ると、ろく売出現となって9,000円を切る可能性が高くなります。

本日8月23日(月)は、先週末のNYダウの下落や、菅首相と日銀総裁の会談延期を受けて9,090円まで下げて、終値は▲62円の9,116円となりました。NYダウは10,120ドルを切ると、日経平均も9,000円を切ってくる可能性が高いといえます。その場合の下値ポイントは8,700円台→8,500円台となりますが、どこで、どの程度の内容の政府・日銀の経済対策が出るのかによって違ってきます。

日経平均

(指標)NYダウ

8月9日に10,719ドルの約3カ月ぶりの戻り高値をつけましたが、ここまでの上昇過程で出来高が減少してきていますので、トレンドの転換を暗示していることになるとしました。当面は大きく下げても7月2日の9,614ドル水準としました。ただし、その前に7月21日の10,120ドルがフシとなります。8月9日(月)に3カ月ぶりの高値10,719ドルをつけたあと、8月16日(月)の▲1ドルの10,302ドルまで5日続落となりましたが、8月17日(火)は好決算とM&Aで△103ドルの10,405ドル、8月18日(水)は△9ドルの10,415ドルと続伸するものの、8月19日(木)は新規失業保険申請件数の大幅増加と8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の2009年7月以来のマイナスを受け、▲144ドルの10,271ドルとなりました。為替もドルが売られて一時84円92銭と8月11日の15年ぶりの安値84円72銭に接近しました。8月23日(月)は、景気回復についての持続性への懸念から▲57ドルの10,213ドルの続落となりました。ここからは7月12日の10,120ドルを守れるかどうかとなってきました。ここを守れれば、為替も84円72銭を守って、日経平均も同じく9,000円を守って目先反発ということになります。とりあえずは、為替については今週の菅首相と白川総裁の会談の結果待ちとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

8月11日(水)に海外で1ドル=84.72円と昨年11月27日の84.82円を切りましたが、8月12日(木)の菅首相の円高懸念発言で円高一服の局面となりました。先週は、政府・日銀の口先介入で狭い範囲の上下動を想定しました。上値のフシは87円としましたが、8月16日(月)の86.227円が高値で、8月18日(水)までは85円台の動きに終始しました。8月19日(木)には、アメリカの経済指標が悪化したことで株式が急落し、ドル売りとなって84.89円まで売られましたが、翌週に菅首相と白川日銀総裁の会談や日銀の追加の金融緩和策が期待され85.389円で引けました。

チャートを見ると、8月13日の86.368円の戻り高値から反落となって8月19日に84.89円をつけていますので、8月11日の84.723円に対するダブル底のような形となっており、8月13日の86.368円を終値で上に抜けるとダブル底を確認することになります。逆に、8月11日の85.313円を終値で下に抜けると、ろあ売出現となって8月11日の84.723円を試す動きとなり、ここを切ると目先下放れとなって82円台を試す可能性が高まります。

ドル/円