日経平均は先週は戻りいっぱいもとしたが9,760円をつけて下落

先週は、日経平均はアメリカ株式の反発でサポートされるが一時的であり、その理由は大きな円安にはならない可能性が高いとしました。NYダウについて言えば、7月22日(木)に△201ドルの10,322ドルとなって短期の買転換となり、前週末の7月23日(金)は△102ドルの10,424ドルとなっていたものの、ここからは上値重く、6月21日の10,594ドルを超えることができなければ売りの形となってくるとしました(これはNYダウのチャート分析で10,594ドルに対するダブル天井の形をつくってくる可能性を示しました)。結局、NYダウは7月26日(月)の△100ドルの10,525ドル、7月27日(火)の△12ドルの10,537ドルと4日連続の上昇となり、7月28日(水)は▲39ドルの10,497ドル、7月29日(木)は企業の好決算から一時10,584ドルまで上昇するものの一転▲110ドルの10,387ドルとなり、終値では▲30ドルの10,467ドルでした。この日の10,584ドルが、目先は6月21日の10,594ドルに対するダブル天井のような形となりました。ただし、ダブル天井が確定するのは、7月21日の10,120ドルを終値で切ってからということになります。

日経平均は、為替の動きとNYダウ次第としたように、週末の7月23日(金)はアメリカ株高とストレステストの結果は悪くないとの見方から、6日ぶりの大幅反発となって△210円の9,430円となっていました。先週の7月26日(月)はストレステストの通過と円安基調、さらにアメリカ株式の上昇から△89円の9,520円で始まるものの25日移動平均線(この時点9,560円)にアタマを押さえられ△72円の9,503円でした。しかし、7月28日(水)は欧州で主要金融機関の4-6月期決算が好調だったことで、ユーロが大きく買われ(一時1ユーロ=114円台)、それにつれてドルに対しても円安が進んだことで(一時1ドル=88円台)9,760円まで上昇し、終値は△256円の9,753円となって25日移動平均線を突破しました。先週述べましたように円安は長く続かず、すぐに円高基調となり7月29日(木)利益確定売りから▲57円の9,696円となりました。週末は、寄前の6月の鉱工業生産指数が4カ月ぶりの低下となり、円高が対ドルで年初来高値(1ドル=86円台前半)近辺で進行したことで9,505円まで下落し、終値は▲158円の9,537円となりました。結局、7月29日(木)の9,732円まで反発するものの7月14日の9,807円まで届かず、NYダウの目先ダブル天井を作ってからの反落と1ドル=86円台の円高から戻りいっぱいとなって日経平均も反落となりました。ただ、好調な企業決算を受けて下値を売りたたく動きはありませんが円高がさらに進行するようならば要注意となります。先週末の7月30日(金)は、NY市場では一時1ドル=85円台をつけました。

今週はもみあいの中で何らかの売買シグナルが出てくるかどうか

前週末の7月30日(金)のアメリカ市場は、第2四半期GDPが前期比年率が△2.4%と市場予想の△2.6%をやや下回ったが1-3月期の△3.7%からすると減速が明らかになってきたことで、NYダウは一時▲120ドルの10,347ドルまで下落しました。それを受けて、1ドル=85.9円と昨年のドバイショック以来の円高となる場面もありました。その後は、シカゴ地区購買部協会景気指数が予想の56.0を大きく上回る62.3となったことでプラス圏へ浮上しましたが、終値では▲1ドルの10,465ドルとなり、ナスダックは△3Pの2,254Pでした。

一昨年9月のリーマンショック以降、世界の主要国は金融政策と財政政策に力を入れた結果(特にアメリカ政府の大型の財政投資、FRBによるゼロ金利政策)、その効果で4月までリバウンド相場が続きました。そこへギリシャの財政問題をきっかけに欧州全体の財政問題、さらに金融問題が噴出し相場に大きな亀裂が生まれました。現状は、政策効果の余波がまだ残っているため企業決算は好調(ただし、売上が伸びて利益も上がるということではなく、リストラとコスト削減による利益)で株価の下支えをしているものの、マクロ経済指標は次々と悪化してきており、年後半の景気減速懸念が出てきています。今は、ミクロの企業業績の好調さとマクロの経済指標の悪化との綱引きとなっているため、強弱感が対立して大きな上下動(もみあい)となっているということです。そのような状況の中で、今週末にアメリカで雇用統計が発表されるわけですが、もみあいの上放れか下放れかのきっかけとなる可能性もあります。その場合は予想以上の雇用の改善がなされていれば別ですが、NYダウのチャートをみるともみあいの中で売りの形ができ、さらに6月21日の10,594ドル、7月29日の10,584ドルとダブル天井の形を作っていますので、確率的には下の可能性が高いといえます。

雇用統計が発表される週は、経験的にはどちらかというと日米ともに大きく動きづらいというのがあります。大きなイベントですからどうしても様子見ムードとなりがちです。チャートの上げ方からは、NYダウが10,535ドルを超えない連続の陽線、ナスダックで2,295Pを超えない連続の陽線になると売りの形ができあがってしまいます。日経平均の場合は連続の陽線で9,755円以上になると一応売りの形の1つのパターンとなります。逆に、9,495円を下回る連続の陰線になると買いパターンの1つとなります。とにかく、現状では現在のもみあいの中で決定的な売り・買いの形ができていませんので、それができるのを待つことになります。

(指標)日経平均

先週の7月26日(月)はアメリカ株式が週末1カ月ぶりの高値で引け、ストレステストの結果もとりあえず想定内であったことで続伸となりましたが、25日移動平均線(9,560円)にアタマを押さえられ△72円の9,503円でした。7月27日(火)は週明けのアメリカ株式は高かったものの1ドル=86円台となったことで円高警戒感から様子見となり▲6円の9,496円の小反落となりました。7月28日(水)は、欧州の主要金融機関の4-6月期決算が良好なことでユーロが大きく買い戻され1ユーロ=114円台の円安、それにつれてドルも一時88円まで買われて、日経平均は一段高となり△256円の9,753円となりました。しかし、その後はユーロの買戻しも一通り終わり、アメリカ経済への景気減速懸念が出てきたことで再び円高が進み、これを受けて日経平均は7月29日(木)は▲57円の9,696円、7月30日(金)は▲158円の9,537円となりました。NYダウが10,120ドルを守っている間為替の円高がこれ以上進行しなければ、目先は7月6日の9,091円を安値、7月14日の9,807円を高値とする三角保ち合い(A)を形成することも想定されます。この中でもみあって、7月14日の9,807円を抜ければ10,000円の期待もできますが、そのまま下げて9,278円(柴田罫線では引線の終値で9,258円)を切ると下放れとなっていきます。

本日8月2日(月)は、アメリカ景気の減速懸念と円高懸念は残るものの、円高一服感から好決算企業を中心に買い先行となり前引けは△118円の9,655円となり、後場はアジア株式の堅調さを受けて一時9,676円まで上昇するものの、上値抵抗線(一目均衡表の転換線、25日線、7月SQ値)などが意識され急速に上昇幅を縮小し、大引けは△33円の9,570円でした。アメリカの雇用統計発表の週は、日米ともに大きな動きは少なく、三角保ち合い(A)の中の動きが想定され、大きく動くとすれば雇用統計がきっかけとなるかどうかというところです。

日経平均

(指標)NYダウ

7月27日(火)の分析では、前日の週明けのNYダウが△100ドルの10,525ドルとなった時点で、6月21日の10,594ドルに対するダブル天井のパターンとなる可能性としました。この日の引け後のアメリカ市場でNYダウは10,578ドルをつけて△12ドルの10,537ドルと続伸したものの、7月28日(水)は6月の耐久財受注が予想を下回り、地区連銀経済報告で全12区中4区で製造業の拡大ペースの鈍化と頭打ちが見られることから▲39ドルの10,497ドルと5日ぶりの反落となりました。7月29日(木)は、好調な企業決算や新規失業保険申請件数の減少を受けて一時10,584ドルまで上昇するものの、セントルイス連銀総裁がアメリカが日本と同じように物価の下落と投資低迷に陥るリスクを述べたことで一転して▲110ドルの10,387ドルまで下落しましたが、終値は下げ幅を縮小して▲30ドルの10,467ドルでした。この日の高値10,584ドルで、目先は6月21日の10,594ドルに対するダブル天井のような形となりました。ただし、このダブル天井が確定して、下落に転じるには7月21日の10,120ドルを終値で切った場合となります。今のところは、右開きの末広がり三角形の保ち合いの中で、真ん中より上側で動いていることになります。好調な企業決算(ただしリストラや人員削減の結果の数字)を終えて、これからマクロの経済指標に目が向いてくることになります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の動きは、ストレステストが想定の範囲となり、NYダウが上昇してもユーロが買われ、ドルが買われての円安という動きは限定的となり、7月2日の87.82円を終値で抜けると7月13日の88.71円を試すことを想定しましたが、ドルの上値重く逆に円高基調となりました。

7月27日(火)は欧州でストレステストの通過や金融機関の4-6月期決算が好調なことでユーロ買いが進み、NY市場では6月新築住宅件数が強い結果になったことでドルが買われ87.954円となりました。7月28日(水)は円売りが進んで一時88.107円までがドルが上昇しましたが、アメリカの経済指標が悪化し87.483円で引けました。7月29日(木)になるとアメリカの10年債利回りの低下や株式市場の軟調さを背景に対ユーロや対ポンドでドル売りが加速し円も買われて86円台の年初来高値に接近しました。翌日の7月30日(金)は、アメリカのGDPが予想を下回ったことでドルがさらに売られ85.935円と一時86円を割る動きとなり終値は86.468円でした。

先週は、7月28日(水)に一時88.107円の円安となるものの、すぐに円高基調となり、7月29日(木)が86.84円となって再び売転換の状態となり、翌日85.935円まであって7月16日の終値86.65円を下に切って86.460円までドルが売られています。上下動を繰り返しながら下値を切り下げる動きとなっており、何かきっかけで昨年11月27日の84.769円を試す動きとなる可能性があります。

ドル月円