先週は予想通り為替は円安(ドル高)、アメリカ株、日本株も戻りへ

7月5日(月)の予測では、“今週は為替も株もいったん戻る局面へ”としましたが、想定通りの動きとなりました。為替に関しては、ユーロは110円台から週末の7月9日(金)には112円台まで戻り、ドルは円に対しては、週前半は中国の日本国債購入拡大報道や輸出企業の円買いから87.50円をはさんだもみあいとなっていましたが、週後半はNYダウの10,000ドル台への上昇を受けて88円台半ばまでの円安方向となりました。NYダウの方は3連休明けの7月6日(火)にアジア株式、欧州株式の上昇を受けて買い先行で始まり、6月のISM非製造業景況指数が予想を上回ったことを受けて一時△171ドルの9,858ドルまで上昇しました。しかし、アメリカ景気の不透明感強く上げ幅縮小し△57ドルの9,743ドルでした。翌日7月7日(水)は、欧州ストレステストの懸念が後退し、金融機関の4-6月期の利益が予想を上回る可能性となったことで△274ドルの10,018ドルと10,000ドルを回復し、その後も上昇を続け7月8日(木)は△120ドルの10,138ドル、7月9日(金)は△59ドルの10,198ドルと4日連続の上昇となりました。そうなると、当然日経平均も連動して上昇し7月8日(木)にはNYダウの10,000ドルのせと、為替がドル、ユーロに対して円安が進行したことで△256円の9,535円となり、週末の7月9日(金)は△49円の9,585円となりました。しかし、この日はSQ清算日であり、SQ値は9,636円となりましたが、日経平均の終値は9,585円とSQ値を下回って引けました。非常な薄商い(SQ清算値に伴う出来高を入れても16.7億株、売買代金1兆2910億円と平日と変わらず)の中でSQ値が高くなるとSQ値になかなか届かないということがありますが、今のところあまり差がないのでなるべく早い段階で9,636円を超えてくる必要があります。

先週は想定通り為替、株式ともに戻りにはいりました。問題は、アメリカ株式(特にNYダウ)の戻りがどこまで続くかということになります。現時点では、ドル、NYダウともに戻りのあとは大きな下落を想定していますので、その戻りの程度によって保有株のキャッシュ化のタイミングがあるからです。NYダウを見ると、根底には欧州の財政問題からの世界的な景気減速懸念があり、アメリカ経済にも景気指標に景気回復のスピードが後退しているという状況が表れているわけですが、先週は金融機関の4-6月期の業績の予想を上回るという期待からそんなにアメリカの景気は悪くないのではないかとの見方から戻りを試しているといえます。

民主党の参議院選挙大敗の影響は? まずは9,636円を突破できるかに注目 2つのシナリオを考える

先週は想定していたように、ユーロ、ドルの戻りからの円安とNYダウの10,000ドル台回復で、日経平均も戻りを試す動きとなって、先週末(7月9日)は9,585円で引けました。しかし、SQ清算値9,636円を下回って引けたことで、早めにここを突破できないと上値抵抗ラインとなってしまうことになります。そこに、昨日の参議院選挙で民主党の大敗という悪材料が出現し、政局の況迷を嫌う外国人投資家の動きが気になってきます。

本日(7月12日)は、前場は政局不透明や先週の上昇のあとの利益確定売りから▲44円で始まりましたが、為替が1ドル=89円台の円安にはいってきたことが相場を下支えしプラス圏へ浮上し9,632円まで上昇するものの、SQ清算値の9,636円に接近すると売りが出て前引けは△6円の9,592円でした。後場になると、△23円の9,609円で始まり、再び9,636円を試す動きとなるものの突破できず下落となりマイナス圏へと沈み終値は▲37円の9,548円となりました。

NYダウ、ナスダックが順調に戻りにはいり、為替もつれにつれてドル高(円安)となってきていますが、今週もそのまま戻りをどこまで試せるかは4-6月期の企業決算次第となります。まずは7月13日(火)のインテル、そして週後半のシティバンクを始めとする大手銀行の決算発表があります。アメリカ株式は今のところは、先行き懸念はありますが、目先は思った程悪くないという見方からリバウンドを強めているといえます。

そのアメリカ株式の戻りの日柄は今のところまだわかりませんが、日本株式が素直にNYダウに連動しにくい障害(昨日の民主党の大敗)が生まれました。ただ、民主党の大敗は株式にとっては売り要因、逆に為替は円安要因で輸出企業にとってはプラスという非常に難しい局面となっています。外国人が民主党政権の大敗を悪材料視すれば、アメリカ株式は戻りを試しても、日本市場は戻りを試せず下落というパターンも考えられないことではありません。ここで、チャートからいくつかのパターンが考えられますが、戻りをさらに試すパターンと、戻りが弱く下落に転じていくパターンを考えてみましょう。

1 戻りが続く場合

アメリカの企業決算がそれほど悪くなくNYダウの戻りが続く場合は、日経平均も連動するのが普通ですが、民主党大敗からの政局不透明さを嫌気して日経平均が下げる場合でも、7月6日(火)の9,351円の高値と7月8日(木)の安値9,456円の間に窓をあけていますので、下げても9,351円の窓を埋めないで切り返せばNYダウに連動して上昇できることになります。もしくは、早めに先週末のSQ値9,636円を終値で突破することができればリバウンドが続くことになります。この場合でもNYダウのリバウンドが終われば再び下落する可能性が高いということを頭に入れておく必要があります。

2 戻り弱く下落に転じる場合

SQ清算値の9,636円を終値で突破できずに9,351円の窓を埋めてしまうと、次の下値ポイントは7月1日の9,191円となり、ここを切ると7月6日(火)の前場に出た9,091円の長い下ヒゲを実体で埋める動きとなり、さらに下げて9,000円割れという局面が出てくる可能性が高くなります。

現時点では(1)(2)どちらに動くかはアメリカの4-6月期の決算発表や民主党の大敗をどう消化するかわかりませんので方向がでたら改めて分析してお知らせします。

(指標)日経平均

前々週末の7月2日(金)の雇用統計が予想を下回ったことでNYダウは一時▲118ドルの9,614ドルまで下落したものの、終値では▲46ドルの9,686ドルと下げ幅を縮小し悪材料を織り込んだ形となりました。7月5日(月)の予測では、ユーロがすでに戻りを試していることでドルもNYダウも戻りを試し、つれて日経平均も戻りを試す週になるとしました。アメリカ株式は、欧州の財政懸念のいったんの落ち着きと、4-6月期の決算への期待から3連休明けの7月6日(火)から反発に転じて7月7日(水)のNYダウは10,000ドルを回復し、週末の7月9日(金)までの4日続伸となって10,198ドルで引けました。

これに連動して、ユーロ・ドルに対して円安基調となったことで輸出関連の主力株中心に戻りにはいり、7月6日(火)の前場の9,091円をザラ場安値に、週末の7月9日(金)は9,610円まであって終値は9,585円でした。しかし、SQ清算値の9,636円を下回って引けましたので、ここを早めに突破できなければ上値のフシとなってしまいます。また、7月6日(火)の前場の9,091円までの長い下ヒゲの小さな陽線となっており、これはいずれ実体で埋めにくる可能性が高い形ですので、戻りのあとの下落には注意が必要です。

本日の7月12日(月)は、民主党の大敗を受けるものの円安基調が下支えし、一時は前場・後場に9,630円台をつけてSQ値突破を試みましたが、成功せず▲37の9,548円で引けました。あとは、NYダウが4-6月期の決算発表を受けて、どの程度まで戻れるのかに左右されることになります。9,636円を終値で抜ければ、さらに戻りを試し、逆に9,351円の窓を埋めてしまうと戻りは期待できなくなる可能性が高くなります。

日経平均

(指標)NYダウ

前々週末の7月2日(金)は、注目の雇用統計が予想を下回ったものの、9,614ドルまで下げて終値は▲46ドルの9,686ドルとなって目先悪材料を織り込んだ可能性高く、先週の動きはユーロが戻りにはいっており、ドルも円に対して戻り、NYダウも反発するところと想定しました。3連休明けの7月6日(火)のNYダウは一時△171ドルの9,853ドルまで上昇したものの終値は△57ドルの9,743ドルとなりましたが、7月7日(水)は欧州銀行のストレステストへの懸念が後退したことや4-6月期の金融機関の利益が市場を上回る可能性となったことで△27ドルの10,018ドルと6日ぶりの10,000ドル台のせとなりました。その後も、堅調な動きとなって7月9日(金)は△59ドルの10,198ドルと週の終値となりました。ここからは4-6月期の企業業績次第ですが、10,300ドル台からは上値が重くなるところであり、戻りを試したあとの大きな下落を想定しておく必要があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

7月1日(木)には、3月4日の88.131円を切って一気に86.961円まで下落して終値は84.600円となり、週末の7月2日(金)は注目の雇用統計は予想を下回りましたが、すでに悪材料織り込み済みで87.815円となりました。そのため先週の動きの予測としては、目先はドルの売られ過ぎであり、まずは89円を目指し、その上は90円ぐらいのものだと想定しました。

7月5日(月)-7月7日(水)までの週前半は、中国の日本国債購入拡大報道や輸出企業の円買い圧力が強いもののNYダウの上昇からのドル買いもあって87円台での狭い動きに終始しました。

7月8日(木)になると、アメリカ株式の一段の上昇を受けて88.622円までのドル買い・円売りとなり、終値では88.330円となって短期のドルの買転換出現となりました。週末(7月9日)は参院選の不透明さからの円売りもあって88.579円となりました。想定しましたように、まずは89円を目指す動きとなりましたが、ドルの上値は重いものの今週も円安が継続する可能性が高いといえます。その戻りのあとは、7月1日の安値86.961円を試す動きが出てくることになり、ここを切ると昨年11月27日の84.769円を試す動きとなります。

ドル/円