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誤解している人多数!「借金してアパートを建てる」ことが節税にならない理由
足立 武志
知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン
難しくよくわからない「税金」。だれでもわかるように、知らないと損する情報を公認会計士・税理士かつ個人投資家がお届けします。

誤解している人多数!「借金してアパートを建てる」ことが節税にならない理由

2017/6/16
相続税対策として今や定番中の定番なのが、「借金をしてアパートを建てる」こと。その理由としてほとんどの人が口にするのが「節税になるから」。でも、借金をしてアパートを建てることが節税になるわけではありません。その理由を数値で説明していきます。
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相続税対策として今や定番中の定番なのが、「借金をしてアパートを建てる」こと。その理由としてほとんどの人が口にするのが「節税になるから」。でも、借金をしてアパートを建てることが節税になるわけではありません。その理由を数値で説明していきます。

「借金をしてアパートを建てる=節税」という永遠の誤解

私は公認会計士・税理士という仕事柄、相続対策の相談に乗ることが多いのですが、「借金してアパートを建てれば節税になるんですよね」と私に聞いてくる方が大勢いらっしゃいます。

借金をしてアパートを建てることが節税のための条件かといえば、決してそんなことはありません。

でもなぜか、「借金をする=節税につながる」という誤解が今でも大部分の方にあることに、筆者は驚きを隠せません。

節税につながるのはあくまでも「アパートを建てる」という行為のみ

「借金をしてアパートを建てる」というのは、2つの要素が混ざっています。ですから、これを1つずつばらして考えてみると、真実が見えてきます。

2つの要素というのは、「借金をすること」と「アパートを建てる」ということです。

このうち、アパートを建てるという行為は、確かに相続税を減らす効果があります。

例えば、相続税評価額1億円の土地と現金1億円を所有している人のケースで考えてみましょう。現状だと、相続税が課税される財産は1億円+1億円=2億円です。

ここで、1億円の現金を使ってアパートを建てると、まずアパートの相続税評価額が5,000万円ほどになります。さらに、貸家として7掛けで評価できますから、3,500万円の評価額になります。

また、土地も貸家建付地としての評価ができますから、借地権割合が70%とすると、21%の減額ができるので1億円の土地が7,900万円の評価額になります。

つまり、1億円+1億円=2億円の評価額だったものが、7,900万円+3,500万円=1億1,400万円の評価額となり、8,600万円の評価額減少につながります。税率が20%としても、これだけで1,600万円以上の節税となります。

借金をすれば本当に節税になるのか?

上記は、あくまでも「アパートを建てた」ことによる節税効果です。では、借金をすることによる節税効果はどうでしょうか。

話を分かりやすくするために、上の例に加え、1億円の借金をしたとして考えてみましょう。

1億円の借金により、現金も1億円増えますから、アパートを建てる前の相続財産は、土地1億円+現金2億円-借金1億円=2億円です。

借りた1億円を使ってアパートを建てると、上記と同様、土地が7,900万円、建物が3,500万円、それに現金1億円と借金1億円が残ります。

よって、相続財産は土地7,900万円+建物3,500万円+現金1億円-借金1億円=1億1,400万円です。これは先ほど求めた金額と全く同じであることにお気づきでしょうか。

このように、借金をしようがしまいが、相続財産の額は変わらないことがお分かりいただけたでしょうか。つまり、借金をしても、節税にはなりません。あくまでも「アパートを建てた」から節税につながる、というのが真実です。

借金をするのは、アパートを建てて節税するための現金が手元にないから

では、相続財産が土地1億円しかなく、そこに1億円の借入をしてアパートを建てるケースも見てみましょう。

当初の相続財産は、土地1億円です。これが、アパートを建てることで土地7,900万円+建物3,500万円-借金1億円=1,400万円になります。

ですから、手元にキャッシュがない方にとっては、借金をしてアパートを建てることで相続財産を減らすことができます。

でも、あくまでも相続財産を減らすことができたのは、「アパートを建てたから」であって、「借金をしたこと」は関係ありません。これは上の説明で明らかです。

「相続税を削減する効果を得るために必要な現金がなかったのでお金を借りた」、と表現すれば分かりやすいでしょうか。そのため、「アパートを建てたので相続税削減効果が生まれた」のと同時に、「1億円の借金を返済しなければならなくなった」という事実が生じる点に注目してください。

借金をした節税対策はキャッシュ・フローが回るかどうかのシミュレーションを入念に!

借金をしてアパートやマンションを建てた方に話を聞くと、「これで相続税の心配は当面必要なくなった」と喜んでいることが多いです。でも、本当にそれでよいのでしょうか。

もし、借金を完済すれば、その後は借入返済に回っていたキャッシュがたまり始めます。それは相続財産として加算されることになります。言葉は悪いですが、借金をしてアパートを建てることが「早死に対策」と呼ばれるゆえんです。対策をした後相続がしばらく起こらなければ、財産の蓄積により、再び相続財産が増えていってしまいます。

実は、それよりも大きな問題となるのが、借金をしてアパートを建てた方が「借金返済」に苦しんでしまう、ということなのです。

アパートを建てるとき、当然ながらシミュレーションをします。その結果、賃料収入で借入金を十分返済できると予測できたため、実行に移すはずです。

でも、当初のシミュレーションが甘かったり、精度が低いことが多いので、ふたを開けてみると賃料収入が予定通り入らず、借金の返済だけが膨らんでしまうのです。

すでに人口が減っている郊外では、こうした動きがとても増えているようです。厳しめのシミュレーションにより、実行するかどうかをシビアに判断するようにしましょう。

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