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ファーストリテイリング株からみえてくる4つの現実
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

ファーストリテイリング株からみえてくる4つの現実

2013/3/14
日本株の勢いはとどまることを知りません。しかしながら、個人投資家の運用成績は、人によりまちまちのようです。
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日本株の勢いはとどまることを知りません。しかしながら、個人投資家の運用成績は、人によりまちまちのようです。特に株価が大きく上昇した後に新規買いした方や、空売りをしている方はかなり苦戦しているのではないでしょうか。

今回のコラムは、ファーストリテイリング株(9983)を題材に、この銘柄から見えてくる現実を4つほど覗いてみたいと思います。ここからの投資の参考にしていただければ幸いです。

現実 1 :上昇トレンド初期の買いが圧倒的有利

まずはファーストリテイリング株の株価チャートをご覧ください。きれいな上昇トレンドが続いていることがお分かりいただけるでしょうか。

ファーストリテイリング(9983)の日足チャート

株価チャートをみると、11月19日ごろに上昇トレンド入り(株価が25日移動平均線の上方+移動平均線上向き)となっていることから、17,500円前後で新規買いすることが可能でした。

その後現在(3月8日)まで、上昇トレンドは続いていますから、もし11月下旬にファーストリテイリング株を新規買いして保有を続けていれば、70%ほどの含み益が生じている計算です。仮に今後株価が下落して上昇トレンドが終わり、売却することになっても、買値に対して50%程度の利益は十分確保できそうです。

筆者は本コラムで何度も「上昇トレンド初期段階は新規買いの格好のタイミング」と申し上げてきましたが、この株価チャートをみると、改めてその有効性が確認できます。

ただし、上昇トレンドにあるうちは新規買いをしてOKであるものの、やはり上昇が続くにつれて、反動安のリスクも高まってきます。特に株価と移動平均線のかい離が大きくなってからの新規買いは慎重を期すべきでしょう。

ファーストリテイリング株ではありませんが、例えばガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)は、半年で株価の上昇が20倍以上に達し、直近は上昇が加速して株価と移動平均線とのかい離が大きくなっていました。その結果、3月8日は高値484万円と安値350万5千円との差がなんと134万円にも達する乱高下をみせました。終値は391万円でしたから、もし3月8日に480万円で新規買いをしたならば、たった1日で約20%もの含み損を抱えてしまうことになります。

現実 2 :ファーストリテイリング株だけで日経平均株価の1割が動く

3月8日の日経平均株価は315円54銭もの大幅な値上がりでした。率にすると2.64%です。一方で、日経平均株価と並ぶ主要な株価指数であるTOPIXの上昇率は1.61%に過ぎませんでした。両者には1%もの差がついていますが、この要因となったのがファーストリテイリング株の上昇です。

実は、ファーストリテイリング1社だけで、3月8日の日経平均株価は112円51銭も上昇しているのです。この日の日経平均株価上昇の3分の1は、ファーストリテイリングただ1社により、もたらされたものなのです。

ちなみに、3月8日は積水ハウス株(1928)が14.96%もの急上昇をみせましたが、日経平均株価を6円49銭押し上げただけでした。ファーストリテイリング株は9.79%の上昇で日経平均株価を112円51銭も押し上げています。この差はなぜ生じているのでしょうか。

日経平均株価は単純平均で計算された株価のため、株価が高い銘柄の値動きに強く影響を受けます。実は、現在日経平均株価に影響を与える銘柄のトップは、ダントツでファーストリテイリング株なのです。

ファーストリテイリングの日経平均株価への寄与率は3月8日時点で10.27%です。つまり、ファーストリテイリング1社の値動きだけで、日経平均株価の10%分の影響を与えるということです。ファーストリテイリングを含めた上位10社の寄与率合計はなんと33%に達します。わずか10銘柄を売り買いするだけで、日経平均株価の3分の1の値動きはコントロールできてしまう、これが今の日本株の現実です。

このような特性から、日経平均株価は日本株全体の値動きを適切に表しているとはいえません。TOPIXの方が、日本株の実態に近い値動きになります。

日経平均株価が力強い上昇を見せていても、個別銘柄でみると全く上昇しない銘柄も結構あるのです。あくまでも買い時・売り時の判断は個別銘柄ベースで考えるようにしましょう。

現実 3 :ファンダメンタルを過信した空売りは禁物

近頃は信用取引の敷居も非常に低くなり、多くの個人投資家が信用取引を利用しているようです。しかし、信用売り(=空売り)をする際には十分な注意が必要です。

日経平均株価の上昇が続く中、ファーストリテイリング株を空売りしている個人投資家は逆に含み損の拡大に苦しんでいます。

実は、ファーストリテイリング株は、ファンダメンタル(業績)の面からみると明らかに割高になっています。例えば平成13年8月期の会社四季報予想で計算した予想PERは約39倍にまで達していて、今後業績の劇的な伸びは考えにくいファーストリテイリング株にしては非常に高い数値です。

また、ファーストリテイリングの時価総額はついに3兆円を突破しました。これは、三菱商事、JR東日本、日立製作所、野村証券、東京海上など日本を代表する大企業よりも大きいものです。果たしてこれが現実に即しているのかといえば、首をひねらざるをえません。

でも、株価は「割高だ」という声をあざ笑うかのように上昇を続けています。これが株式投資の難しさであり、面白さでもあるのです。

バブル相場や逆バブル相場のときは、企業実態とはかけ離れた株価がつくことが往々にしてあります。さらにファーストリテイリング株の場合は、1社だけで日経平均株価の10%が動くわけですから、今のような上昇相場では日経平均株価を上げたい投資家からの半ば仕掛け的な買いが業績に関係なく流入し続ける可能性が大いにあります。

株価がPERなど各種指標からみて割高だと思った時、新規買いを見送ったり、利食い売りをするのは問題ありません。しかし、割高だからといって空売りをするのは、特に上昇トレンドが続いている間は禁物であると考えます。

現実 4 :売り長銘柄への空売りは避けるのが無難

先日の日本写真印刷株(7915)の事例研究のコラムでも触れましたが、売り長(信用買い残高より信用売り残高の方が多い)である銘柄の空売りはできるだけ避けるのが無難です。

株価が明らかに割高だからという理由で空売りを仕掛け、意に反して株価が上昇しても損切りしないどころか追加で空売りを増やす…これが売り長の状況を作り出していきます。

ファーストリテイリング株は、従来より売り長の状況が続いているのですが、今回の上昇の起点である11月中旬以降の信用倍率の推移をご覧ください。

11月16日 0.55
11月22日 0.38
11月30日 0.13
12月7日 0.10
(途中省略)  
2月15日 0.10
2月22日 0.15
3月1日 0.15

(出典:ヤフーファイナンス)

このように、11月16日の0.55倍から、信用倍率はさらに低下していて、空売りが積みあがっていることが分かります。

売り長の状態でさらに株価が上昇すれば、最後に待っているのは空売りした投資家の損失覚悟の買い戻しによる「踏み上げ」です。3月8日のファーストリテイリング株の急激な上昇をみると、空売りの踏み上げが入り始めているのかも知れません。

筆者には、上昇トレンドが続く中、日経平均株価への影響が飛びぬけて大きく実態価値とかけはなれた株価をつけやすい、さらに売り長の状態が続いているファーストリテイリング株を空売りする投資家をどうしても理解できません。

もし空売りをするなら、信用買い残高が信用売り残高より圧倒的に多く、かつ下降トレンドである銘柄を選んだほうがリスクは格段に低いと筆者は思います。

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