サラリーマン個人投資家は決して不利ではないが

このコラムをご覧の個人投資家の皆さんの中には、会社勤めのサラリーマンの方も多いと思います。そこで今回は、サラリーマンの方が株式投資をするにあたって気をつけるべき点を考えていきます。

サラリーマンは勤務時間中は株式の売買注文を出すことはできません。勤務体系によっても異なるでしょうが、9時始業、12時~13時昼休みを前提とすれば、サラリーマンが株の売買注文を出すのは出社前の前場寄り付き(9時)の前、後場の寄り付き(12時30分)の前、もしくは12時30分~13時のいずれかになります。12時30分~13時を除いて、株式市場が開いている時間(東証の場合9時~11時30分、12時30分~15時)は株式の売買注文や保有株の株価をチェックすることは困難と思われます。

この点で、株式市場が開いている間ずっと株価をみて、いつでも売買注文を出すことができるプロの投資家やデイトレーダーに比べて、サラリーマン個人投資家は制約があることは事実です。

でも、だからといってサラリーマンは不利なのかといえば決してそんなことはありません。サラリーマンなりのやり方で株式投資をすればよいだけのことです。以下は筆者が考えるサラリーマン個人投資家へのアドバイスです。

株価の値動きの荒い銘柄には手を出さない

個別銘柄の中には、非常に値動きの激しいものもあります。名証セントレックスに上場している21LADY(3346)という銘柄の株価チャートをご覧下さい。

21LADY(3346)の日足チャート

5月から突然上昇をはじめ、4,000円台だった株価は6月8日に37,500円まで駆け上がりました。しかしその後株価は急落し、7月11日には13,300円と、わずか1カ月で3分の1にまで下がりました。

6月11日には、29,200円で寄り付いた後32,300円まで上昇したものの、終値は25,500円でした。翌12日はストップ安比例配分の20,500円まで下落しました。たった2営業日で約30%も下がってしまったことになります。

もしサラリーマンの方が6月11日の寄り付き前に成行で買い注文を出し、29,200円で買ったものがその日のうちに25,500円まで下がってしまった、これはまずいと思って翌12日に売り注文を出したもののストップ安比例配分で売るに売れずあっという間に買値から30%も下がってしまった……というのでは目も当てられません。

こうした値動きの激しい銘柄は取引時間中ずっと株価をウォッチすることができるデイトレーダー向けの銘柄といえます。サラリーマン個人投資家は、こうした値動きの激しい銘柄には手を出さないのが無難です。流動性が低い(=売買高が少ない)銘柄ほど値動きが荒くなる傾向にあるようですから流動性の面も考慮して銘柄を選ぶようにしてください。

株価が気になって仕方ないほどのポジションを持たない

サラリーマンの本業は勤め先での仕事ですから、持ち株の株価が気になって仕事に集中できないようなことは避けなければいけません。

筆者の感覚からすれば、株価が気になって仕方がなくなる時としては「持ち株の株価の値動きが荒い」「必要以上に大きな金額を株式に投資している」の2つが考えられます。

特に株式市場が軟調なときに、株価が大きく下がって持ち株の含み損が膨らんでしまうのではないかという恐怖にかられてしまうのです。

したがって、繰り返しになりますが株価の値動きが激しい銘柄はできるだけ避けること、そして多少株価が変動しても気にならない程度に投資金額を抑えておくことがポイントです。

忙しいサラリーマンのために(1) -逆指値注文の活用

どんなに自分の仕事が忙しく株価をみる余裕がないときであっても、株式市場は待ってはくれません。したがって、株価のチェックができなくとも適切なタイミングで売買ができるように準備しておきたいものです。そのために活用したいのが「逆指値注文」です。

「株価がこの節目を超えてきたら買い注文を入れよう」とか「株価がここまで下がったら持ち株を損切りしよう」という際に、あらかじめ逆指値注文を入れておくのです。そうすれば、条件が整った時に自動的に注文が発注されます。

筆者が株式投資で最も避けるべきと考えているのが「逃げ遅れ」、つまり売却・損切りするタイミングを逸して多額の含み損を抱え身動きが取れなくなってしまう状況です。サラリーマン個人投資家が最も陥りやすい失敗の1つです。

これを避けるために、あらかじめ損切り価格を設定し、その株価に達したら売り注文が発注されるよう逆指値注文を活用したいものです。

逆指値注文については、以下のコラムもご参考にしてください。

簡単・便利! 逆指値注文の活用でワンランク上の投資家を目指そう(その1)

簡単・便利! 逆指値注文の活用でワンランク上の投資家を目指そう(その2)

忙しいサラリーマンのために(2) -株価が下落しにくい銘柄へ投資する

株価の値動きは銘柄によって大きく異なります。デイトレーダーであれば長期的にみて株価が上昇しそうかどうかはあまり関係なく、日々の株価の変動が大きな銘柄が理想です。でも、日常の仕事で日々忙しいサラリーマン個人投資家にとっては、そうした銘柄に投資するのは好ましくありません。

できれば放っておいても長期的には株価が上昇し、株式市場全体が調整局面にあるときでも相対的に株価が下落しにくい銘柄を選びたいものです。

だとすれば、景気の変動や為替相場により業績が大きく変動し、ひいては株価も大きく動く銘柄より、業績が順調に伸びていて将来の株価上昇が期待でき、株価の下振れリスクの小さい銘柄を選ぶのがよいでしょう。

あるいは配当利回りが高く、かつ配当金の額が毎期増加ないしは安定している銘柄に投資して、株価の下振れリスクを抑えつつ配当金により投資元本を回収するという方法も悪くありません。

サラリーマン個人投資家は、あまり株式投資では無理をせず、株式投資を楽しみながら着実に資産を増やしていくスタイルが向いているのではないでしょうか。