図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

明暗分ける貴金属(2017年5月1日(月)掲載分より)

ゴールドは円建ては4,500円を大きく超えてGWに突入となりました。一週間でみるとゴールドがプラス42円、パラジウムはプラス140円と上昇、マイナスとなったシルバーそしてプラチナと大きく明暗を分ける結果となりました。シルバーはComexの巨大な投資家のロングポジションが、そしてプラチナには投資家の無関心と需給の緩み、そして南アランド安といった悪材料が脚を引っ張っている形です。世界情勢に対する投資家の不安からのsafe haven buyingが根強いゴールドと、需給のタイト感が圧倒的に強いパラジウムは逆に上がる材料しか目に付かないという、各メタルを巡る大きな環境の差がそのまま反映されています。この傾向まだまだ続きそうで、貴金属は「勝ち組」と「負け組」がはっきり分かれる相場となっています。金銀比価は広がり、ゴールド・プラチナスプレッドもゴールドのプレミアムはさらに大きくなり、プラチナ・パラジウムスプレッドは1対1に近づいていくのでしょう。少なくとも今年いっぱいは勝ち馬に乗る方がよい気がします。

シルバー続落、パラジウム続伸(2017年4月28日(金)掲載分より)

昨日のゴールドは静かなマーケットでした。ほとんど目立つ動きはなし。昨日と同じく、ゴールドよりもシルバー、そしてプラチナよりもパラジウムの動きに目が行きます。昨日と同じ動き。

シルバーは続落。やはりComexの巨大なロングからの売りが出ているのでしょう。その規模が大きいだけに、まだ下げ余地はありそうです。ちょっとシルバーきついですね。金銀比価もどんどん拡大しており、現在は73.6対1にまでその差が広がっています。そしてパラジウムは続伸。とうとう2015年3月以来2年以上ぶりの高値まで上昇しました。これでプラチナとの比価も1:1.15とまた一歩パラジウムがプラチナに近づきました。パラジウムが817ドル、プラチナが945ドルでその値差の絶対値は128ドルとなりました。

プラチナ不振、ゴールドとの値差拡大(2017年4月28日(金)掲載分より)

大きく明暗が分かれて、その暗の部分になっているのがシルバー、そしてプラチナです。プラチナはゴールドとの値差が320ドルを超えました。円建てでも1,100円となり、このところずっと書いているように、その差の拡大が止まりません。この価格差、少なくとも今年はまだまだ続き、さらなる拡大の可能性があると思います。Tocom プラチナスポットの上場以来、まだプラチナ買いゴールド売りには早すぎ、逆にスプレッドが広がるほうを予想しプラチナ売りゴールド買いをすすめていますが、まだそれは変わらずです。早々にプラチナ買いゴールド売りをしてしまった投資家にとっては逆風が続くと思われます。

トランプ税制改革案発表に失望感(2017年4月27日(木)掲載分より)

トランプ大統領の税制改革案が米国の午後に発表されました。それを受けてのマーケットの反応は、瞬間的にゴールドは1,260ドルまで下げましたが、その後大きく買い戻されて1,270ドルまで上昇しました。この税制改革案は、法人税は現在の35%を15%に。(これは当然日本や中国よりも低いレベルです。)個人所得税も最大39.6%を35%への減税というのがもっとも「売り」なポイントですが、問題はその財源。とりあえず公約に沿うように派手な考えだけを発表しただけで、市場は実際にこれが実行される可能性に関しては大いなる「疑い」を抱いているようで、「disappointment」というのが海外初のニュースで使われていた言葉でした。実際なにも具体的なロードマップはなにもなく、市場はより具体的なここからの道筋、方策を求めているのですが。

ドルは111.75レベルから111.00レベルまで売り戻され、株も売られ、ゴールドは逆に買い戻されるという反応がそれを素直に表しているといえます。

シルバーの下落止まらず(2017年4月27日(木)掲載分より)

シルバーが下げ止まりません。この結果、金銀比価(Gold Silver Ratio)は72.8:1と昨年の11月後半以来のレベルまで上げてきています。(ゴールド割高、シルバー割安)Comexに積み上がった史上最大のロングが重しになっているようです。このポジションがある程度解消されないとシルバーの大きな上昇は難しく、ロング解消の途上では大きな下押しの可能性もありますね。

パラジウムが続伸、4月5日以来の高値(2017年4月27日(木)掲載分より)

やはりパラジウムは全く別物の需給相場になっていますね。他のメタルがリスクオン相場で軒並み価格を下げる中、パラジウムだけは上昇に勢いがでてきつつあります。やはりavailableなものが少ないのでしょう。ただMetals Focusによると地上在庫の総量は相当ある(326トン=16ヶ月の需要をカバーできる量)ようなので、それがどんな形であって、どれくらいになればマーケットに出てくるか、がこれ以上の高値を追うのか、そしてそれが持続可能なのか、ということの鍵になりそうです。

一方対照的にプラチナがぱっとしない結果、プラチナ・パラジウム比価は1:1.17と2001年以来のレベルまで縮小してきています。このトレンド続きそうです。パラジウムがプラチナの価格に近づいていきます。ちなみにゴールド・プラチナスプレッドもまた一段拡大して、ドル建てで1,093ドル、円建てで1,130円もゴールドがプラチナよりも高い状況になっています。Tocomプラチナスポット上場当初に書きましたが、やはり現状ではゴールド買い、プラチナ売りが有利です。

Bitcoinがふたたびゴールドを超える(2017年4月27日(木)掲載分より)

Bitcoinがまたゴールドを超えました。まあ特に相関関係が認められるわけではなく、しかしBitcoinの値動きとゴールドを一緒にしてみると、ゴールドはほとんど動いていないことになります。それだけBitcoinの値動きは激しいということになります。これで決済なんてやると毎日すべてのものが変動相場制のような感じになりますね。

リスクオン相場続く(2017年4月26日(水)掲載分より)

リスクオンの継続による株価の上昇、ドルの上昇でゴールドはその分下落、そして円建てゴールドはほぼ変わらず、というパターンが続いています。Nasdaqは初の6,000台、恐怖指数Vixも月曜日にいきなり26%も下げ、過去6年間で一日の下げとしては最大のものとなりました。ちょっと安心しすぎのような気がしますが。笑。NYダウは232ドルとまた大きく上昇、日経平均も19,000円回復でまるですべての不安がなくなったような上がり方をしています。トランプ大統領による税制改革の公約実現期待とか言われてますが、また期待先行しすぎではと思います。

リスクオン相場でもゴールドはしっかり(2017年4月25日(火)掲載分より)

昨日は週末のフランス大統領選挙の結果を受けて、早朝のドル1円以上のドル高円安でオープンしましたが、それから2時間以上遅れてオープンしたゴールド(Globex月曜日朝7時)は、やはり予想通り、その分下がって1,270ドルを割り込んで始まりました。(金曜日NY引けは1,284ドル)。なぜそういう予想をしたかというと、円建てにして変わらないレベルだと110.50で計算するとちょうどそれくらいになるからです。その後ドルは売られ気味に対してゴールドは戻り気味となりました。世界の株価はアジアから欧州、ニューヨークまで大きな上げとなり、フランスでの極右大統領の可能性が小さくなったことで市場は安心、一挙にリスクオンに傾きました。そしてその割にはゴールドはさほど下がっていない、というのが僕の印象です。やっぱりしっかり。フランスが大丈夫そうというのはまだまだ問題のほんの一片に過ぎません。まだこんなことで投資家の不安は一掃というわけにはね、行きませんね。

パラジウムのリースレートが急騰中(2017年4月25日(火)掲載分より)

貴金属四品の中でパラジウムだけがBackwardation(現物よりも先物が安いこと)、これはリースレート(金利)が上昇していることを表します。非常に単純にいうと、現物のほうが先物をよりも価値がある、つまり現物が不足しているということです。みんな先物よりも今手元に現物が欲しいということです。やはりパラジウムだけは、需給に余裕がない状況であり、それが今回800ドルから大きく下がらない最大の理由であると思われます。