2024年中間期に38%減益も民営銘柄としては良好、売上構成の優良化進む

現地コード 銘柄名
06098

碧桂園服務控股

(カントリー・ガーデン・サービシズ)

株価 情報種類

4.15HKD
(8/23現在)

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 中国の不動産管理サービス大手、碧桂園服務の2024年6月中間期の売上高は前年同期比1.5%増の210億元だった。不動産管理サービス、コミュニティー向けVAS(付加価値サービス)、水・電気・暖房供給サービスなど、経常性の高い中核業務の増収が寄与したが、その他は低調で、非コミュニティー向けVAS(不動産デベロッパー向けコンサルティングやメンテナンスサービスなど)は63.4%の大幅減収。売上高全体に占める比率がわずか1.7%に縮小し、結果的に、売上構成の優良化が進む形となった。粗利益率は21.2%と、前年同期比で3.7ポイント低下。純利益は38.7%減の14億4,000万元にとどまった。それでも、2023年下期の20億元の純損失から黒字に転じたことになる。BOCIは売上高と粗利益率見通しを引き下げ、2024-26年の予想コアEPS(1株当たり利益)を9.6-11.4%減額。目標株価を下方修正しながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 2024年上期には業務規模が大きく拡大し、不動産管理の対象面積が新たに4,900万平方メートル増加。BOCIの通期予想の7,100万平方メートルを上回るペースとなった。新規に取得したプロジェクトの48.7%は住宅物件。この割合は前年同期の35.6%から上昇し、本来の中核業務への回帰をうかがわせている。

 また、収益性の高いコミュニティーVAS業務の開拓においても、一部進展が見られた。その一例は近隣エリアの小売ビジネス。自社管理下のコミュニティーでビジネスを手掛けるメンバーらと組み、販売代理店として機能した。また、不動産管理会社としての強みを生かした充電業務もその一例。この分野の売上高は85.5%増を記録している。

 粗利益率は中間期に21.2%。2023年下期の16.3%から改善したとはいえ、前年同期比では3.7ポイント低下。主力事業の粗利益率がいずれも下げ、中でも非コミュニティーVASは前年同期比19.7ポイント下落した。ハイリスク顧客との取引を減らす半面、関連コストの削減が遅れたため。BOCIは現時点では、事業構造の最適化に向けた投資が必要とみて、2024年通期の粗利益率について19.7%を予想している。

 一方、営業キャッシュフローは前年同期の22億元から2億7,000万元に急減したが、これは現金回収率の低下や非コミュニティーVAS収入の激減などが原因。ただ、経営陣は下期に現金回収が進むとみて、キャッシュフローカバレッジレシオ(債務返済能力を示す指標)1倍との目標を維持している。

 BOCIは他の民営不動産管理会社に比べて力強いビジネスの発展や売上構成比の優良化、プラスの営業キャッシュフローを前向きに評価し、2025年予想PER(株価収益率)で4.3倍に当たる同社株価に割高感はないとした。予想PER6倍を当てはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、景気減速下で、現金回収が困難な状況が長引く可能性を指摘している。