※たぱぞうさんのインタビューは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
以下のリンクよりご視聴ください。
【たぱぞうさん】自由は何ものにも代え難い!大切なのは家族、お金、健康【わたしの一番ほしいもの】

成功者が語る「資産を築いた今、人生の満足度は?」

 あなたの一番ほしいものは何ですか?――。資産運用や投資において大事なことは、お金を増やす方法論ではなく、目的を明らかにすること。その答えは十人十色で、正解はありません。自分が大事にしたい価値観を見つめ直し、何のためにどのくらいの資産が必要なのかを考えることが、あなたにとって満足度の高い人生につながるはずです。

 実際に、投資で多くの資産を築いた個人投資家は自分の人生に満足しているのか? これから手に入れたいものは何か? 投資の成功者がたどり着いた人生観を知ることで、あなたにとって「一番ほしいもの」を探す手がかりが見つかるかもしれません。

たぱぞうさんプロフィール

2000年に株式投資を開始。2008年に起きたリーマン・ショック後、底値圏だった米国株投資を始め、2017年に資産1億円を突破。リタイア後は太陽光発電や不動産投資にも乗り出し、現在は株式など金融資産6億円(このほか不動産など固定資産4億円)に到達。ブログ「たぱぞうの米国株投資」やYouTube「たぱぞう投資大学」で米国株投資の基礎基本や資産形成の考え方を伝えている。

※取材は2024年7月25日に実施しました。

投資で十分な資産を手に入れたと実感できたのはいつですか?

 投資を始めて17年で資産1億円を達成したときですね。65歳から支給される年金の額も考えると、40歳過ぎで1億円貯めることができればFIRE(経済的自立と早期退職)できるという目安がありました。

 実際にFIREしたのは43歳でしたが、やはり自由というのは何物にも代え難いものなので、もう少し早くてもよかった、と今は思っています。

 よくX界隈では家族持ちがFIREするには2億円必要と言われたりしますが、日本人の生涯年収は大体1億9,000万円から2億円前後なんですよね。そう考えると、2億円も必要ない人も多いのではないのでしょうか。例えば配偶者も働いている場合は、夫婦で話し合って早く辞められるならその方がいいかもしれません。

 私がブログを始めた2016年以降に知り合った投資仲間で、堅実な運用をしていて資産を大きく減らした人は一人もいません。個別株で勝負をして資産を減らした人はいますが。堅実な運用をしていくのであれば、7,000万~8,000万円でもFIREするのに十分ではないかと思います。

 FIREというと、あたかも社会との関わりを絶って、毎日旅行やグルメに明け暮れるといったイメージがあるかもしれませんが、実際にFIREしている人はやりたいことがあって会社を辞めるケースが多いので、FIREしたからといって収入がゼロになることはない。だから生活が成り立つんだと思いますね。

十分な資産を得て、初めに行ったことは何ですか?

 少し分散しておいた方が良いかなと思い、銀行から融資を受けて、太陽光発電の設備に1億円を投資しました。仕事を辞めてからも安定したインカムが入るように、金融資産1億円と融資1億円で総投資額2億円、株以外にも太陽光発電で分散投資できるような設計にしました。

 まずまず利回りがよかったので、1億円の投資に対して1,100万円ぐらいの収入が入ることになりました。そこからローン返済をして手元に残るリターンがあってという感じです。

 分散投資というと株と債券に6:4というのが伝統的なポートフォリオといわれていますが、当時はゼロ金利で、本能的に債券を買わずに太陽光を買いました。それから不動産を分散投資の対象にして今に至ります。結果的には本能に従って大正解でした。ゼロ金利下で債券を買わなくて良かったと思います。

 生活面では、仕事を辞めてから大好きな昼寝が毎日できるようになりました。私は子供のころから寝るのが大好きなのでよく寝るようになりました。寝る子は育つと言いますが、おじさんになると大して育たないですね(笑)。

資産を得て、特に満足度や幸福度が高かったと思えることは何ですか?

 自由ですね、これに尽きます。何が幸福かは人によって違うでしょうが、私は裁量の自由が幸福度を左右すると思います。

 私がいた職場はすごく組織が大きくて安定している半面、自由があまりありませんでした。決められたマニュアル通りに実行する能力が求められていたので、ある程度達成できるようになると飽きてしまうんです。同じようにつまらないと感じている人は、私のようにFIREすると楽しいと思います。

 例えば、今はYouTubeで「うちの社長と対談しませんか」といったお話をいただくことがあります。FIREする前にいた組織では、その話を受けるために企画書に落とし込んで、会議に出て、対談内容まで一言一句決めることが少なくありませんでした。しかし、今はそのお話を受けるか受けないかを含めて自分の裁量で決められる。これが私の考えていた自由です。

 計画性の対極にある「その場力」というか、その場で考えて成果を出していくのが私には合っていたと思います。自由を得て、自分が挑戦したいことに挑戦できている今はとてもいいなと思います。

お金のことに迷わず、自分らしい人生、満足度の高い人生を実現するには何が必要ですか?

 世の中の動きを適切に見ていれば、かなり容易に自分らしい人生を達成できるのではないでしょうか。日本は伝統的にモノづくりが得意ですが、米国を見れば分かるように、先進国であり続けるためには製造業から利益率の高い非製造業にシフトすることにも妥当性があります。

 利益率が高いサービス業に携わることができれば、リモートでも仕事ができるので、地方に移住することでより経済的に自由な生活を達成できます。自分がどう生きたいかを軸に、仕事や住まいを最適化していくことが大切です。

人生は続きます。この先、あなたが手に入れたいものは何ですか?

 家族、お金、健康。この三つが、この先どのような状況になっても人生を貫く最も大切なことだと確信しています。お金はもう十分あるので、手に入れるというか、守るものですね。

 健康については、私は妻を病気で亡くしているので、今も健康な日常に感謝するという気持ちが強くあります。暴食するタイプではありませんが、たまに飲酒をする機会があります。気をつけないといけないです。家族については、喜怒哀楽ありつつ、やっぱりありがたいものですよね。

十分な資産を持っていなかった過去の自分にアドバイスするなら、どんなことを言いますか?

「今、考えていることは一つも間違っていないので、そのまま続けて」とアドバイスしますね。私が投資を始めた2000年ごろは、投資というのは怪しいと思われていて、職場でも語るにはばかられるようなところがありました。

 でも、それは違うと考え、初任給からほぼ全額株式投資に回していました。当時は、投機的なことをやるのが投資だと思われていましたが、私は堅実なバリュー投資に徹しました。

 職場も堅実なところで退職するまでの収入がはっきり見えるような仕事でしたから、少しリスクをとって投資することが、今考えると100%正しい行動でした。世の中では全くはやっていないけれど、自分がいいなと思って始めたことがその後、十何年かして認められるのはうれしいですね。

現在の自分の満足度を100点満点で表すなら、何点ですか?

 100点ですね。こんな人生になるとは思っていませんでしたし、二十歳(はたち)のころに戻って同じ人生を再現できるかどうかというと自信がないくらい、うまくいきました。本当に困難な時代も諦めずに自分の思いを貫けました。能力に比して上出来です。自分の人生に対する不満や足りない点は全くありません。

 

生涯を終えるまでに達成したいことを教えてください。

 私は、人生は3フェーズ(局面)に分かれていると思っていて「人生3フェーズ法」と自分では呼んでいます。25歳で転職しましたが、25歳まではインプット期。25歳から50歳まではインプット期に学んだことを還元していく社会貢献期。

 今後、第3のフェーズをどう過ごしていくか、今、自分自身に問い直しています。住む場所や仲良くしている友人たちと、こうした命題と向き合っていくのは楽しい作業です。自分の人生をどう完結させていくか、見極めているところです。人生二度なしとはそういうことで、吟味した計画や夢をささやかに実現していくところに醍醐味(だいごみ)がありますね。