2024年上期決算は予想下振れ、通期売上見通しを「ほぼ前年並み」に下方修正

現地コード 銘柄名
02096

先声薬業集団

(シムシア・ファーマ・グループ)

株価 情報種類

5.24HKD
(8/23現在)

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 中国の製薬会社、先声薬業集団の2024年6月中間期の売上高は前年同期比7.9%減少し、BOCIの予想を下回った。神経系薬「Sanbexin(先必新)」や抗がん剤の低迷が響いた。営業利益率の改善で調整後純利益は36.5%増えた。経営陣は2024年通期の売上高予想を「前年比10-15%増」から「横ばいまたは微増」に下方修正する半面、調整後純利益に関する予想を30%増に据え置いた。BOCIは上期決算の下振れを受け、2024-26年の予想売上高を13-15%減額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく12カ月の目標株価を引き下げたが、株価の先行きへの強気見通しを継続した。

 上期の売上高は7.9%減の31億1,400万元。上期に行われた「Sanbexin」の32%の薬価引き下げによる影響を消化しきれず、中枢神経系の売上高が14%減少した。抗がん剤の売上高も21%減少したが、これは業績再編が進む中で一部主力製品の売れ行きが落ち込んだため。一方、自己免疫系の売上高は29%増加した。また、イノベーション薬の売上高は8.7%減の22億元で、売上高全体の70.7%だった。粗利益率は3ポイント改善して79%。売上高販管費率は横ばいの44%、研究開発費率は4.8ポイントダウンの18%。調整後純利益は36.5%増の5億3,800万元に達した。

 経営陣はイノベーション薬の売上比率について、2023年の72%から、2024年には75%、2025年には80%に上向くと予想する。2025年の「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)への収載を機に、「COSELA」と「ENLITUO」の大幅な販売増が見込めることが一因。さらに「Sanbexin舌下錠」(承認予定時期2024年10-12月期)、「ENZESHU」(抗VEGFモノクローナル抗体:2025年4-6月期)、QUVIVIQ(不眠症治療薬DORA:2025年下期)が相次ぎ承認される見通しが理由という。経営陣はまた、粗利益率が80%まで上昇するとの見方。研究開発費の対売上高比率は約20%を維持し、販売費率は36-37%になると予想。配当性向に関しては30-60%との見通しを示している。

 その他のパイプライン(製品候補群)ではアトピー性皮膚炎用のRademikibart、関節リウマチのLNK01001 小児用のDeunoxavir Marboxil、胸腹水のEndostarが、治験フェーズ3の患者登録を今後完了する見込み。BD(事業開発)の分野では、経営陣はSIN0500(GPRC5D、BCMA、CD3を標的とする三重特異的抗体)とADC(抗体薬物複合体)製品のライセンスアウト(特許権や独占販売権の他社への供与)の機会を強調している。

 BOCIは上期の売り上げ低迷と政府の反腐敗キャンペーンを背景としたイノベーション薬の立ち上げの遅れを理由に、2024-26年の予想売上高を13-15%減額修正。半面、粗利益率の改善を見込み、予想純利益率を微調整した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、主力製品の予想以上の価格引き下げや製品開発面の不確実性、商業化の遅れ、競争激化などの可能性を挙げている。