2024年4-6月期は収益下押しも粗利益率改善、緩やかな業績回復に期待

現地コード 銘柄名
01347

華虹半導体

(フアホン・セミコンダクター)

株価 情報種類

19.28HKD
(8/9現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国のファウンドリー大手、華虹半導体の2024年4-6月期決算はまちまちの内容だった。平均販売価格の軟化で売上高と純利益は予想を下回ったが、設備稼働率がほぼ100%に改善し、粗利益率は経営陣のガイダンスの上限に達した。BOCIは消費者向け電子製品の需要ピーク期の到来や高水準の設備稼働率が販売価格を下支えするとみて、下期も段階的な回復傾向が続くと予想。2025年初めの無錫第9工場(Fab9)の立ち上げが新たな挑戦になるとしつつ、第7工場の経験を生かすことでラーニングカーブ(習熟曲線)が大きく改善すると予想した。また、国産半導体への切り替えという中国の長期トレンドを考慮すれば、同社株価は過小評価されていると指摘。予想PBR(株価純資産倍率)0.80倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 4-6月期の売上高は前年同期比24%減、前四半期比4%増の4億7,900万米ドルと、経営陣が事前に示したガイダンスの中央値だった。粗利益率は前四半期比で4ポイント高い10.5%と、ガイダンスの上限をさらに上回る数字。電子製品需要の改善に伴う設備稼働率の上昇が寄与した。純利益は700万米ドル(前年同期比91%減)。為替差損と新工場の操業に向けた一般管理費の増大が響き、BOCIと市場の予想から下振れた。

 経営陣が示した7-9月期の粗利益率見通しは10-12%と、市場予想の12%をやや下回る水準。ただ、下期に入ってからは家電、自動車、IoT製品需要が緩やかに改善しており、経営陣は価格調整さえ順調に進めば、実際には上振れの可能性があるとしている。平均販売価格に関しては、年末までに5-10%の引き上げを目指すとした。

 無錫第9工場は2024年10-12月期にリスク生産(顧客からの依頼を受けない半導体ファブ独自の先行試験)を開始し、2025年1-3月期に量産を開始する予定となっている。生産能力に関する最初の目標は2025年末までに2万Wpm(月産)と、BOCIの予想より鈍いペース。このため、2025年には設備稼働率と平均販売価格の下押し圧力が軽減するとみられる。半面、マクロ経済情勢が依然として不透明な中で、全国的に新規生産能力の立ち上げが続くことから、BOCIは同社業績の回復は緩やかなペースになるとの見方。無錫第7工場に関しては、習熟曲線に5年以上を要するとの予測を示している。

 同社は生成AI関連の収益比重が相対的に小さく、製品需要見通しは明確とはいえない。ただ、PBR0.67倍(現金込み)という現在株価のバリュエーションを考えれば、下値余地は限定的。家電需要回復と国産半導体への切り替え需要が追い風になる見通しという。

 BOCIは予想PBR0.8倍を当てはめ目標株価を引き上げた。新たな目標値は2024-26年の予想PER(株価収益率)で32倍、18倍、14倍に当たる水準。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、米中関係、成熟ノードの価格競争、予想以上に早期の先端ノードへの移行、マクロ経済動向と最終需要の変動を挙げている。