2024年中間期は10%増益、主力の通信塔の減収をDASや「両翼」がカバー
現地コード | 銘柄名 |
---|---|
00788 |
中国鉄塔 (チャイナ・タワー) |
株価 | 情報種類 |
0.96HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の3大通信キャリアが出資する通信塔インフラ運営会社、中国鉄塔の2024年6月中間期の純利益は前年同期比10.1%増の53億元。電力バックアップ業務に関する特別要因がエネルギー部門の収入を鈍化させたものの、ほぼBOCIの予想通りだった。BOCIは長期的に、ROIC(投下資本利益率)の改善が同社株価の再評価につながる可能性を指摘。2024-26年の利益見通しの下方修正に伴い目標株価を引き上げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
上期の純利益は前年同期比10.1%増の53億元。減価償却費が1.2%の小幅増にとどまり、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が3.2%増の330億元に達したことが背景。人件費と設備運営サポート費の増大で、EBITDAマージンは0.4ポイント低下した。
上期の売上高は前年同期比3.8%増の482億元と、ほぼBOCIの予想通りだった。TSP(通信サービスプロバイダー)向け事業の同3%の増収とスマートタワー事業の同17.6%の増収が後押しした。4-6月期に限ると、売上高は4.3%増と、1-3月期の3.3%増から小幅に加速。「屋内分散型アンテナシステム」(DAS:基地局の電波を光ケーブルで複数のアンテナに分配し、通信エリアを拡張するシステム)業務の増収率が19.8%から23.4%に上向いたことが寄与した。
事業部門別では、通信塔ビジネスの売上高が上期に前年同期比1.3%増の400億元。TSPテナントの1.3%の増加と入居率の改善がプラスに作用した。
設備投資は上期に前年同期比7.1%増の137億元。うち59%を新規施設の建設と拡充に振り向け、24%を設備の更新・改良に充当した。経営陣は2024年の設備投資について、前年並み(317億元)との計画を据え置いている。
キャッシュフローは上期に、前年比で大幅に改善した。全面的な商業価格契約の履行(実質的な料金値上げ)が背景。経営陣は売掛債権の管理強化により、今後も健全かつ安定的なキャッシュフローが続く見通しを示している。
全事業の質の高い発展を背景に、同社は1株当たり0.0109元の中間配当を実施する予定。決算会見では、2024年12月通期の配当性向を75%以上とする方針を明らかにした。
BOCIはエネルギー事業収入に関する予想を下方修正し、設備運営サポート費を増額修正。これに伴い、2024-2026年の予想純利益を1.1%増、2.5%減、1.9%減と小幅に調整した。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
一方、レーティング面の潜在リスク要因は、3大通信キャリアへの依存度の高さ。通信塔の賃料収入が収益の大半を占めるため、通信キャリアのネットワーク拡張計画が業績を左右すると指摘している。