今日のポイント

  • 先週発表された日米景気指標は好調。6月日銀短観の大企業製造業・非製造DIは好調。6月の米ISM製造業・非製造業景況指数も好調。6月の米雇用統計も強い内容。
  • 日経平均は目先2万円のボックス圏。日米政治不安、米金利上昇による米ナスダック指数の調整が警戒される。ボックスを上へ抜けるのは7月後半以降か?

 

(1)6月の米雇用統計は強く、円安(ドル高)進む

7日に発表された6月の米雇用統計は、予想以上に強く、7日のドル円は、一時1ドル114.17円まで円安が進み、その後、113.90円となりました。

黒田日銀総裁が金融緩和を維持する姿勢を強調する中、イエレン米FRB議長がタカ派(金融引き締めに積極的)姿勢をとっていることから、日米金利差の拡大→円安(ドル高)進行が予想される状況になっています。

ところが、最近、米景気指標がやや軟化していたため、米金融政策の引き締め継続が可能か、市場は懐疑的になっていました。先週、発表された6月の米景気指標は強く、とりあえず、米FRBのタカ派姿勢を正当化する内容だったといえます。

 

<米雇用統計:非農業部門の雇用者増加数(前月比):2014年1月―2017年6月>

 
(出所:米労働省)

雇用統計で一番注目されているのは、非農業部門の雇用者増加数(前月比)です。20万人以上の増加となれば、米景気は強いと見なされます。2月以降、20万人割れが続いていたことから、米景気減速を疑う声もありました。6月は、前月比22万2千人増となり、米景気は強いとの見方を裏付けました。同時に、4月・5月の雇用者増加数も、以下の通り、上方修正されました。

4月の雇用者増加数:【修正前】17万4千人→【修正後】20万7千人

5月の雇用者増加数:【修正前】13万8千人→【修正後】15万2千人

 

6月の完全失業率は、4.4%と、前月(4.3%)から、0.1%ポイント上昇しました。ただし、この水準は、実質完全雇用に近く、米雇用情勢が強いとの見方に変わりはありません。

 

<米完全失業率:2014年1月―2017年6月>

 

(出所:米労働省)

 

(2)日米で景況指数が改善

先週発表になった、製造業・非製造業の景況指数は、以下の通り、日米ともに、強い内容でした。

 

<米ISM製造業・非製造業景況指数: 2014年1月―2017年6月>

 
(出所:米ISM供給公社)

 

<日銀短観、大企業DI(業況判断指数):2012年3月―2017年6月>

 
(出所:日本銀行)

 

(3)日米景気は好調で、ドル円は円安に進んでいるが、日経平均はボックス圏

<日経平均週足:2016年1月4日―2017年7月7日>

 
(注:楽天証券マーケット・スピードより作成)

 

日米景気が好調で、円安が進んでいるにもかかわらず、日経平均の上値が重いのは、以下の2つが原因と考えられます。

  • 米金利上昇による、米国株の調整懸念

これまで、米金利上昇は、米景気好調の証であるとして、米国株は好感してきました。ただし、最近、米金利上昇を懸念して、米ナスダック総合指数のIT・ハイテク関連株が売られるなど、米金利上昇のマイナスの側面も意識され始めました。

  • 日米で政治不安

米国でトランプ大統領の支持率が、日本では安倍首相の支持率が、急低下しています。支持率が下がると、政権の運営に支障をきたす懸念が生じます。

7月10日の日経平均は、米雇用統計が強く、円安が進んだことを好感して、上昇すると考えられます。ただし、政治不安が残る中、一気に上値をとっていくのは難しいと考えています。

日経平均がボックス圏を上へ抜けるのは、4-6月決算が本格化する7月後半以降と見ています。それまでに、世界中で、政治面で予期しない悪材料が飛び出さないことが前提となります。

以上