悪材料にも好材料にもなる「米景気堅調」

 今年に入って、最大のサプライズ(驚き)は、米景気が想定以上に堅調で、インフレ収束が遅れていることです。それによって米金利が上昇、円安(ドル高)が進んだことが、日経平均の、以下二つの上昇ドライバーとなってきました。

【1】円安によって、日本の企業業績が押し上げられること
【2】円安によって、外国人投資家が日本株をより割安に買えるようになること

 ただし、米景気が想定以上で、米金利が上昇することは、日本株にとって弱材料ともなりえます。米金利が上昇することは、米国株にとって普通はマイナス材料です。米金利上昇によって米景気が悪化し、米国株が売られることが多いからです。

 ところが、2022年の急激な金利上昇を受けても、米景気が堅調を保っていることから、これまで米金利上昇への警戒が薄れている状態です。米金利が上昇しても、米国株は最高値更新が続いてきました。それが、先週、やっと米金利上昇を嫌気して、米国株の反落につながりました。しばらく、米国株も上値が重くなる可能性があります。

鍵を握るドル/円為替レート

 日本株に影響が大きいのは、ドル/円為替レートです。これまで、円安なら株高・円高なら株安の傾向がはっきり出ていました。足元、米景気堅調・米金利高止まりを受けて、為替は1ドル=150円台を維持しています。

 為替が円高に転じない限り、日経平均の下値は支えられると考えています。大幅に円高が進めば、調整が深くなる可能性もあります。為替に神経質な動きが続きそうです。

日経平均と、ドル/円為替レートの動き:2023年1月4日~2024年4月4日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成