※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「外国人の売りで、日経平均下落。当面、スピード調整?」
日経平均下落、3万9,000円割れ、外国人が売り
4月第1週(営業日4月1~5日)の日経平均株価は、1週間で1,377円下がって3万8,992円となりました。
米景気が予想以上に堅調で、米利下げが遅れる可能性が高まったことを嫌気して、ダウ・ジョーンズ工業株平均株価(NYダウ)が下落し、それに伴って外国人投資家が日本株も売ったと考えられます。
NYダウと日経平均の日次推移:2023年末~2024年4月4日
日経平均は、年初から外国人投資家の大量買いで大きく上昇してきましたが、3月の最終週(3月25~29日)に、外国人は日本株を現物と先物を合わせて約1兆1,700億円売り越しました。4月第1週(4月1~25日)の売買統計はまだ出ていませんが、外国人の売りが続いている可能性があります。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2024年4月4日(外国人売買は3月29日まで)
悪材料にも好材料にもなる「米景気堅調」
今年に入って、最大のサプライズ(驚き)は、米景気が想定以上に堅調で、インフレ収束が遅れていることです。それによって米金利が上昇、円安(ドル高)が進んだことが、日経平均の、以下二つの上昇ドライバーとなってきました。
【1】円安によって、日本の企業業績が押し上げられること
【2】円安によって、外国人投資家が日本株をより割安に買えるようになること
ただし、米景気が想定以上で、米金利が上昇することは、日本株にとって弱材料ともなりえます。米金利が上昇することは、米国株にとって普通はマイナス材料です。米金利上昇によって米景気が悪化し、米国株が売られることが多いからです。
ところが、2022年の急激な金利上昇を受けても、米景気が堅調を保っていることから、これまで米金利上昇への警戒が薄れている状態です。米金利が上昇しても、米国株は最高値更新が続いてきました。それが、先週、やっと米金利上昇を嫌気して、米国株の反落につながりました。しばらく、米国株も上値が重くなる可能性があります。
鍵を握るドル/円為替レート
日本株に影響が大きいのは、ドル/円為替レートです。これまで、円安なら株高・円高なら株安の傾向がはっきり出ていました。足元、米景気堅調・米金利高止まりを受けて、為替は1ドル=150円台を維持しています。
為替が円高に転じない限り、日経平均の下値は支えられると考えています。大幅に円高が進めば、調整が深くなる可能性もあります。為替に神経質な動きが続きそうです。
日経平均と、ドル/円為替レートの動き:2023年1月4日~2024年4月4日
新年度の業績予想は控え目か
これから3月期決算発表が本格化します。株式市場の注目は、マクロ(景気・金利・為替からミクロ(企業業績)に移る見込みです。株式市場の注目は、1-3月実績よりも、新年度(2025年3月期)の業績会社予想の方に集中しています。1-3月期の実績が好調でも、新年度の業績予想が低いと失望される可能性があります。
東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期予想
楽天証券経済研究所では、新年度(2025年3月期)も約7%の増益が続くと予想しています。ただし、例年見られることですが、日本企業は、期初に控えめ(低め)の予想を出して、後から上方修正していく傾向があります。
今年は不透明要因がたくさんあるので、期初は低めの予想が出ると思います。期初の予想が低めであることが嫌気されるリスクについては、「決算リスク」として意識しておく必要があります。
決算リスクも含めて、当面は、日経平均はスピード調整となると考えています。ただし、日本の景気・企業業績は良好なので、深押しはないと考えています。時間分散しながら、割安な日本株に投資していくことが、中長期の資産形成に寄与すると考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2024年4月1日:不動産の上昇目立つ!バリュー物色に新しい流れ?(窪田真之)
2024年3月26日:iDeCo(イデコ)加入条件、年齢70歳未満に引き上げへ(窪田真之)
2024年3月25日:平均利回り4.4%、日経平均が急騰する中、値下がりが続いてきたJリートを見直す。(窪田真之)
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。