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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
外国人の売りで、日経平均下落。当面、スピード調整?

日経平均下落、3万9,000円割れ、外国人が売り

 4月第1週(営業日4月1~5日)の日経平均株価は、1週間で1,377円下がって3万8,992円となりました。

 米景気が予想以上に堅調で、米利下げが遅れる可能性が高まったことを嫌気して、ダウ・ジョーンズ工業株平均株価(NYダウ)が下落し、それに伴って外国人投資家が日本株も売ったと考えられます。

NYダウと日経平均の日次推移:2023年末~2024年4月4日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均は、年初から外国人投資家の大量買いで大きく上昇してきましたが、3月の最終週(3月25~29日)に、外国人は日本株を現物と先物を合わせて約1兆1,700億円売り越しました。4月第1週(4月1~25日)の売買統計はまだ出ていませんが、外国人の売りが続いている可能性があります。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2024年4月4日(外国人売買は3月29日まで)

出所:東京証券取引所「投資部門別売買動向」より楽天証券経済研究所が作成  注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

悪材料にも好材料にもなる「米景気堅調」

 今年に入って、最大のサプライズ(驚き)は、米景気が想定以上に堅調で、インフレ収束が遅れていることです。それによって米金利が上昇、円安(ドル高)が進んだことが、日経平均の、以下二つの上昇ドライバーとなってきました。

【1】円安によって、日本の企業業績が押し上げられること
【2】円安によって、外国人投資家が日本株をより割安に買えるようになること

 ただし、米景気が想定以上で、米金利が上昇することは、日本株にとって弱材料ともなりえます。米金利が上昇することは、米国株にとって普通はマイナス材料です。米金利上昇によって米景気が悪化し、米国株が売られることが多いからです。

 ところが、2022年の急激な金利上昇を受けても、米景気が堅調を保っていることから、これまで米金利上昇への警戒が薄れている状態です。米金利が上昇しても、米国株は最高値更新が続いてきました。それが、先週、やっと米金利上昇を嫌気して、米国株の反落につながりました。しばらく、米国株も上値が重くなる可能性があります。

鍵を握るドル/円為替レート

 日本株に影響が大きいのは、ドル/円為替レートです。これまで、円安なら株高・円高なら株安の傾向がはっきり出ていました。足元、米景気堅調・米金利高止まりを受けて、為替は1ドル=150円台を維持しています。

 為替が円高に転じない限り、日経平均の下値は支えられると考えています。大幅に円高が進めば、調整が深くなる可能性もあります。為替に神経質な動きが続きそうです。

日経平均と、ドル/円為替レートの動き:2023年1月4日~2024年4月4日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

新年度の業績予想は控え目か

 これから3月期決算発表が本格化します。株式市場の注目は、マクロ(景気・金利・為替からミクロ(企業業績)に移る見込みです。株式市場の注目は、1-3月実績よりも、新年度(2025年3月期)の業績会社予想の方に集中しています。1-3月期の実績が好調でも、新年度の業績予想が低いと失望される可能性があります。

東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期予想

出所:予想は楽天証券経済研究所

 楽天証券経済研究所では、新年度(2025年3月期)も約7%の増益が続くと予想しています。ただし、例年見られることですが、日本企業は、期初に控えめ(低め)の予想を出して、後から上方修正していく傾向があります。

 今年は不透明要因がたくさんあるので、期初は低めの予想が出ると思います。期初の予想が低めであることが嫌気されるリスクについては、「決算リスク」として意識しておく必要があります。

 決算リスクも含めて、当面は、日経平均はスピード調整となると考えています。ただし、日本の景気・企業業績は良好なので、深押しはないと考えています。時間分散しながら、割安な日本株に投資していくことが、中長期の資産形成に寄与すると考えています。

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