3月相場入りとなった先週末1日(金)の日経平均株価は3万9,910円で取引を終えました。

 さらに3月4日の東京株式市場は、日経平均株価が続伸して始まり、取引時間中として史上初めて4万円の大台に乗せました。また、3月1日には、日経225先物が大阪取引所(大取)の夜間取引で4万190円まで上昇して終えており、こちらはすでに大台に乗せています。

 そこで、今回のレポートでは、前回も指摘したポイントについて、その後の状況のチェックと、日経平均4万円後の相場について考えて行きたいと思います。

日経平均は確かに「強い」が、上げ方はあまりうれしくない?

図1 日経平均(日足)とMACDの動き(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成 

 まずは、いつものように、足元の日経平均の状況を上の図1で確認していきます。

 先週の日経平均は、週初に一段高でスタートしたものの、その後はジリ安が続き、3万9,000円台割れの場面が見られたものの、3月4日(月)にはついに4万円を突破した展開で始まりました。

 図1を見ると、2月に入ってからの日経平均は、「足の短いローソク足」と、「一気に上昇する大きな陽線」の組み合わせで株価水準を切り上げる展開が続いています。

 チャート上では結果的に強い上昇を描いてはいるものの、複数の陽線が続くような上昇ではなく、かといって押し目を探るような株価の下落もなく、一本の陽線の出現で状況が変わるような格好で株価が上昇しているため、新たに相場に参入しようとするには売買のタイミングが難しく、すでにポジションを持っている投資家でなければ、「あまり嬉しくない」上昇かもしれません。

 しかも上昇のピッチが早く、下段の*RSI (相対力指数)を見ても、「買われ過ぎ」とされる80%ライン付近での推移が続いています。

*RSI…相対力指数。一定期間の値動きから、相場における相対的な価格変動の強弱(価格が上昇する勢いと下落する勢いのどちらが強いのか)を数値化したもの

 通常であれば、図の1月中旬から2月初旬にかけての場面のように、株価が伸び悩んでいる場面では、RSIが低下して相場の過熱感が修正されることが多いのですが、足元の伸び悩みの場面では、時間的にも値幅的にも調整として機能していません。頻繁に市場の動きをチェックできる環境にない限り、難易度が高い局面だったと言えます。

 とはいえ、日経平均の4万円台乗せがほぼ確実視されるなど、相場自体は強い状況が続いています。これまでのレポートでも紹介してきた、日経平均の目標値計算でも、またひとつ目標をクリアしました(下の図2)。

図2 日経平均(週足)と目標値計算(2024年3月1日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 残る目標値は、E計算値(2)の4万2,863円と、E計算値の4万5,070円のみとなっており、目先の4万円台をクリアした後は、残る目標値に向けてさらに上値を追っていけるかが焦点になりそうです。

今週は何かと材料が多い

 そんな中で迎える今週の株式市場ですが、何かとイベントが多い週となります。

 具体的に見て行くと、経済指標面では、週末の8日(金)に米2月雇用統計が控えていますが、この日は国内のメジャーSQ日でもあり、需給的な思惑も市場に影響を与える可能性があります。

 さらに、5日(火)には、中国で全人代(全国人民代表大会)が開幕するほか、米国では大統領選挙の予備選挙と党員集会が集中する「スーパーチューズデー」など、政治的なイベントも予定されています。

 このほか、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言(下院金融サービス委員会)や、ベージュブック(米地区連銀経済報告書)の公表などあり、市場の視点は、企業業績から米国の金融政策や景況感へと軸足が移っていくことになります。

 いずれにしても、「週末のSQ値をいくらで迎えるのか?」という意識の中、イベントを通じて、日経平均4万円を基準に株価が上下に振れる展開というのが今週のメインシナリオになりそうです。