米国市場では債券金利上昇で株式に調整モードの兆し
米国市場では、S&P500が節目とされていた5,000を2月9日に上回り(いったんの)到達感が広まった中、債券金利(利回り)が反転上昇。大手テック株を中心に利益確定売りが先行しやすい地合いが警戒されています。
前週に発表された1月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)の伸びが市場予想を上回ったことで、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)による早期利下げ期待は後退。市場が注目しているCME(シカゴ先物取引所)の「FEDウオッチ」が示す政策金利(FF金利)の先行き見通しでは、次回FOMC (米連邦公開市場委員会)(3月19~20日)での利下げ確率(予想)は6.50%に低下、5月FOMCでの利下げ確率も29.67%に低下しました。現時点では6月FOMCでの利下げ確率が69.89%と有力です(執筆時点)。
こうした流れを受け、政策金利の先行きに敏感とされる短期債金利(2年国債利回り)は4.61%に上昇し、長期債金利(10年国債利回り)は4.27%に上昇しました(図表3)。
昨年10月以降の米国株高をけん引してきた大手テック株の予想PER(株価収益率)は相対的に高く、利益成長期待を織り込む堅調を続けてきた分、債券金利の上昇が続けばバリュエーション(金利水準を加味した株価評価)悪化がグロース株の重しとなります。
特に年初来上昇率が一時49%を超え時価総額が3位に急浮上したAI向け半導体最大手エヌビディアの11-1月期決算発表を21日引け後(日本時間22日朝)に控え市場の期待と不安が交錯する状況となっています。生成AI(人工知能)ブームをけん引してきた同社の成長シナリオに焦点が注がれ、個別株オプション取引の建玉が膨らんでいます。
発表される決算や業績ガイダンス(売上や利益率を巡る見通し)次第で株価が乱高下しやすい需給状況である点には警戒を要します。ただ、その影響で米国株式が過度に下落する場面は、中期的な視点での押し目買いや積み増し買いが得策になると考えています。
<図表3>米国市場では債券金利上昇が株価調整のリスク要因に
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