日本経済が直面する「不都合な真実」を軽視できるか
日経平均が最高値に迫った16日、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)は定例記者会見で、「この株価が日本の経済力だなんて思わない方がいい。ぬか喜びをしない方がいい」とくぎを刺しました。「街中の一般の人の気持ちは全然上向いていない中で株高が進んでいる、というのが正直な実態だと思う」と述べました。
実際、15日に内閣府が発表した2023年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の伸び(前期比年率換算)はマイナス0.4%と2四半期連続でマイナス成長となり、日本が景気後退(リセッション)に陥ったことを確認しました。
物価高が続く中で「実質賃金」の伸びは21カ月連続でマイナスを続け、GDPの約6割を占める民間最終消費は3四半期連続でマイナス成長を記録しました。「名目GDPが(591兆円に)増加したことが企業の売上や利益の増加に寄与する」との楽観論もあります。
ただ、為替の円安傾向で「基軸通貨」である米ドルベースでGDPが減退を続けている「不都合な真実」を軽視できません。図表2は、1980年以降の主要国のドル建て名目GDPの推移を示したものです。
実は昨年、日本はドル建て名目GDPでドイツに抜かれ世界3位から「世界4位」に後退しました(内閣府)。高度経済成長を続けるインドの名目GDPは「2027年までに日本とドイツを抜き世界3位に躍進する」と予想されていましたが、「2026年にインドがGDPで日本を抜く」との見方も浮上しています(IMF(国際通貨基金))。
そして注目は、米国の名目GDPが約26.9兆ドル(約4,000兆円)と日本の6.4倍に拡大し「世界最強」であり続けている状況です。一国の経済が一定期間に生み出す付加価値の総和(所得や購買力)を示すドル建ての経済規模と成長ペースを考慮した上で国際分散投資を検討したいと思います。