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バリュー始動?金融株上昇 北朝鮮リスク再燃(窪田)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

バリュー始動?金融株上昇 北朝鮮リスク再燃(窪田)

2017/7/5
日米欧で同時に景況改善、欧米で長期金利上昇。これを受け、日米で成長株が売られバリュー株が買われる。3メガ銀行や大手損保は長期投資対象として魅力高いと判断。北朝鮮がICBM発射実験に成功と発表。北朝鮮リスク再燃で、4日の日経平均は小反落。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日米欧で同時に景況改善、欧米で長期金利上昇。これを受け、日米で成長株が売られバリュー株が買われる。3メガ銀行や大手損保は長期投資対象として魅力高いと判断。
  • 北朝鮮がICBM発射実験に成功と発表。北朝鮮リスク再燃で、4日の日経平均は小反落。

(1)日米で製造業の景況が改善

米国と日本で、製造業の景況が改善しています。

米ISM景況指数:2014年1月―2017年6月
(製造業は6月まで、非製造業は5月まで)

(出所:米ISM供給公社)

3日、ISM供給公社が発表した6月の製造業景況指数は57.8と前月比で大きく(+2.9)上昇しました。景況感の分かれ目である50を大きく上回っており、米国の製造業は好調と言えます。3―4月に製造業の景況指数が前月比で低下した時、米景気の息切れが懸念されましたが、6月にかけて再び景況が強くなっていることが確認されました。

非製造業の景況指数は、元より50を大きく上回って推移しており、米景気が好調であることがわかります。

日本については、昨日のレポートでご報告した通り、製造業・非製造業とも景況が改善していることが、6月の日銀短観で確認できました。

日銀短観、大企業DI(業況判断指数)推移:2012年3月―2017年6月

(出所:日本銀行)

(2)世界的に長期金利が上昇、金融株が買われる

日米欧で、同時に景況が改善する中、FRB(米国の中央銀行)・ECB(欧州中央銀行)が、最近タカ派(金融引き締めに積極的)姿勢を鮮明にしていることから、欧米で長期金利が上昇しています。

米英独日の長期金利(10年国債利回り)推移:2016年1月4日―2017年7月4日

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

長期金利の上昇は、米国株の物色動向に変化をもたらしました。低金利が長期化するという見通しの中で買われていた米ナスダック市場上場の大型成長株(IT関連株)が売られ、代わって、長期金利上昇で恩恵を受ける銀行株などバリュー(割安)株が買われました。

日本の長期金利はほとんど上がっていませんが、それでも、日本株にも米国と同じ物色動向の転換がありました。これまで買われていた成長株が売られ、金融・素材などの割安株が買われ始めています。

銀行株は、日米欧の株式市場で「金利連動株」と見なされています。長期金利が上がると株価が上がり、金利が下がると株価が下がります。長期金利が下がると、銀行の預貸金利ざやが縮小する懸念が強まり、長期金利が上がると、銀行の利ざやが改善する期待が出るので、それに単純に銀行株が反応しています。

足元、WTI原油先物が反発していることを受け、金融株だけでなく、素材株や資源関連株などのバリュー株も、反発しています。

(3)長期金利上昇・バリュー(割安)株物色が続くか現時点で不透明

FRBおよびECBがタカ派姿勢を示していることを受けて、欧米で長期金利が上がりましたが、上昇幅はまだ大きくはありません。現時点で、長期金利が上昇トレンドに入ったと判断することはできません。

長期金利上昇によって欧米で株式が大きく下がると、FRBもECBも、金融引き締めを続けることが難しくなります。長期金利が上昇しても株が崩れないほど、欧米の景気・企業業績が力強く拡大する必要がありますが、世界の政治・経済には不透明要因が多く、そこまでの力強い回復は、現時点で見込みがたいところです。

(4)バリュー相場が長続きしなくても、日本の3メガ銀行は長期投資対象として魅力的

3メガ銀行の利益は、長期金利が低下すると、どんどん減るわけではありません。実際、日本の長期金利が一時マイナスまで落ち込んだにもかかわらず、安定的に数千億円の純利益を稼ぎ続けています。

3メガ銀行の連結純利益推移:2014年3月期(実績)―2018年3月期(会社予想)

(単位:億円)

コード 銘柄名 2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期予想
8306 三菱UFJ FG 9,848 1兆337【最高益】 9,514 9,264 9,500
8316 三井住友 FG 8,353【最高益】 7,536 6,466 7,065 6,300
8411 みずほFG 6,884【最高益】 6,119 6,709 6,035 5,500

(出所:2018年3月期予想は会社予想、三菱UFJは会社目標。各社資料より楽天証券経済研究所が作成)

3メガ銀行は、長期金利がゼロになった現在でも、年間数千億円の純利益を稼ぐ力があります。金利が低下すると株式市場で銀行株が投げ売りされますが、3メガ銀行に限っていうと、それは投資家の誤ったイメージによるものと考えています。

3つの多角化によって、3メガ銀行は、マイナス金利下でも高収益を維持しています。

  • ユニバーサル・バンク(証券・信託などの併営)
    3メガ銀行は、商業銀行業務だけでなく、投資銀行業務、証券・信託・リース・消費者金融などに、収益基盤を広げています。
  • 与信先の多角化(大企業だけでなく、中小企業・個人に与信を拡大)
    3メガ銀行は、預貸金スプレッドが相対的に大きい中小企業・個人向けの与信を拡大することで、長期金利がゼロでも、利ザヤ確保を目指しています。
  • 海外業務の拡大
    3メガ銀行は、利ザヤの厚い海外での与信を拡大することで、利ザヤを維持しています。

3メガ銀行株は、世界の長期金利上昇が続かず、バリュー相場が長続きしなければ、株価の上昇は見込めなくなります。ただ、株価は割安で、4日時点の予想配当利回りは、三菱UFJ FGが2.4%、三井住友FGおよびみずほFGは3.6%あります。好配当利回り株として、長期投資していく価値があると考えています。

(5)海外展開の進んでいる金融株は魅力的だが、国内に留まる金融株は投資魅力低い

近年、小売り・食品・金融など、かつて内需株と見られていた業種で、海外に進出する企業が増えています。小売り・食品では、海外展開で成功し、海外で成長するビジネスモデルを確立すると、投資家の評価が高まり、株価がPERなどの株価指標で高い水準まで買われるようになります。

金融株については、海外進出していても、していなくても関係なく、全般に株価は割安水準に放置されています。3メガ銀行については、海外での利益拡大が軌道に乗りつつあることが投資家に理解されるようになると、株価評価がもっと高まると予想しています。

同様に、東京海上HD(8766)オリックス(8591)など、海外展開が進んでいる損害保険・ノンバンク株にも見直し余地があると考えています。

(6)4日の日経平均は北朝鮮リスクが嫌気され反落

4日の日経平均は、日米の製造業景況改善を好感して上昇して始まりましたが、場中に「北朝鮮が今日、重大発表をする」というニュースが流れてから下落に転じ、前日比23円安の20,032円で引けました。同日、北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に成功したと発表しました。真偽は不明ながら、米国まで届くミサイルを保有した可能性もあります。4日は米国は独立記念日で休場ですが、あえて米国の記念日に、挑発的な発表を出したと考えられます。

米国が北朝鮮に対し、すぐに軍事行動を起こす可能性は低いと考えられますが、東アジアの地政学リスクは今後もくすぶり続け、日本株の上値を抑える要因となる可能性があります。

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