共通テストの日はいつも雪が降る?

 1月12日(金)は大学入学共通テストの一日目の前日でした。この日、筆者は知人との会話の中で「センター試験の日はいつも雪が降る」という話を耳にしました。テスト本番の日に日本海側、関東地方などで降雪予報が出ていたことについての発言でした。会話のさなか、素通りしそうになったものの、「いつも」とはどういうことなのかと疑問に思い、後に詳しく調べました。

 1979年(昭和54年)、国公立大学を受験する際の一次試験として共通一次試験が始まりました。

 1990年(平成二年)にセンター試験(大学入学者選抜大学入試センター試験)となり、2021年(令和三年)に社会情勢の変化に対応すべく思考力、判断力、表現力などを量ることを重視した大学入学共通テストになりました。現在の同テストは一部の私立大学の入試の役割をも担っています。今も昔も、受験生にとって大変重要なテストです。(以降、共通テスト)

 共通テストの日に「いつも」雪が降るといわれています。冒頭で書いた彼の発言だけでなく、大手ポータルサイト内の降雪に警戒するよう呼びかけたニュース記事に対し、個人より「毎年共通テストの時に雪の予報が出る」という趣旨のコメントが寄せられていました。そしてこのコメントに「共感した」が1,000以上押されていました。

 以下の図は、共通テスト期間中の主要地域の降雪実績です。共通一次試験開始当初より、毎年1月のいずれかの土日に試験が行われてきました。気象庁のデータをもとに、この両日のいずれかあるいは両方で1センチ以上の降雪があったかどうかを確認しました。

 データを確認できた1961年から1978年までを期間(1)、1979年のテスト開始から2001年までを期間(2)、2002年から2024年までを期間(3)とし、それぞれの期間で降雪がみられた年がどの程度あったかを示しています。

図:大学入学共通テスト(共通一次試験・センター試験含む)期間中の降雪実績

出所:気象庁のデータおよび文部科学省の資料をもとに筆者作成

 豪雪地帯である札幌や新潟では毎年のように共通テスト期間中に降雪が確認されているものの、図内右に示した変化のとおり、全国的にみれば同テスト期間中の降雪は確認されにくくなっています。

 共通テスト開始前の期間(1)において、仙台では44%(2年に1回程度)、松江では39%(5年に2回程度)の頻度で同テスト期間中に降雪が確認されていましたが、期間(3)になると、ともに17%(10年に2回程度)まで頻度が低下しています。

 また、期間(1)(2)で降雪が確認された福岡では、期間(3)での降雪は確認されていません。大阪と高知では期間(2)で降雪が確認されたものの、期間(3)での降雪は確認されていません。

 東京の同テスト期間中の降雪頻度は上昇しましたが、それでも期間(3)の頻度は期間(2)よりも低く、かつ4.3%と25年に1度程度です。豪雪地帯を除けば、全国的には「いつも」からかけ離れているようにみえます。

 冒頭で述べた「いつも」とは、東京を中心とした地域で降雪予報が毎年のように出ることを指しており、かつ実際に雪が降るかどうかは想定していないのだと思われます。なぜそれでも、「いつも」が人の耳になじんでしまうのでしょうか。