早めに一度、確定申告を経験した方が良い

 主たる収入が給与所得だけの方、いわゆるサラリーマンの場合、確定申告したことがない人がほとんどです。税の申告は全て年末調整で済ませているのが普通であると思います。そういう方にとって、「ふるさと納税のために確定申告する」のは、とても骨の折れる仕事だと思います。

 それでも私は、一度、思い切って確定申告を体験した方が良いと思います。2つ良いことがあります。

【1】将来確定申告の必要が生じた時、一度やったことがある経験が生きる

 サラリーマンでも確定申告の必要が生じる場合があります。住宅ローン税額控除を受ける初年度、医療費控除を受けるため、寄付金控除を受けるためなどです。

 また、上場株式の譲渡損失の繰越控除を受ける場合、年金受け取りが始まる場合などで確定申告が必要な場合もあります。

 副業を解禁する会社が増えています。副業の所得が大きくなる時も確定申告が必要になることがあります。

 一度、確定申告を経験しておくと、生涯にわたってその知識は有用になると思います。

【2】税に対しての意識が高まり、認められている節税をやりやすくなる

 確定申告することで、自分がどんな税金をどのような名目で取られているかよく分かるようになります。税に対する意識が変わります。

 医療費控除や寄付金控除などを、受けられるのに受けないで済ましてしまう人がたくさんいますが、一度確定申告を経験すると、認められている節税策はきちんと使う習慣が身につきます。

 確定申告を行っている人は、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの非課税投資制度を使う比率が高いこともアンケート調査などで分かっています。税に対する意識を高めて、必要な節税を面倒くさがらずにやる習慣をつけた方が良いと思います。

 以下、ふるさと納税の始め方や制度が分からない方に、制度の概要を説明します。

「ふるさと納税」とは

 ふるさと納税は、自分が応援したい市区町村に、実質2,000円の負担で、寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から、返礼品が贈られてくる魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ、ご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。

 例えば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、5万円を応援したい市区町村に寄付し、寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけ、ご自身が納めるべき税金が減ります。5万円寄付すると、4万8,000円分、納税額が減るわけですから、実質2,000円の負担で5万円の寄付を行ったことになります。

【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市区町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税、(2)都道府県民税、(3)市区町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。

 確定申告なしで、税額控除を受ける方法もあります。