1月となりました。2023年のふるさと納税はすでに終わりました。新たに2024年のふるさと納税が始められます。今日のレポート前半では、ふるさと納税で1月に確認が必要なことをお伝えします。
レポート後半は、ふるさと納税の仕組み・始め方が分からない方のために、制度の概要を説明します。
2023年に行ったふるさと納税、寄付金控除に不備ありませんか
ふるさと納税をして寄付金控除の手続きをすると、税額控除の恩恵が受けられます(納税額が減少します)。ただし、よくある失敗談に「寄付金控除の手続きをしたつもりだったが、やり方を間違えていたために無効だった」があります。2023年のふるさと納税の寄付金控除手続きに不備がないか、1月に今一度、確認しておくと良いと思います。
ふるさと納税の寄付金控除手続きに2通りあります。どちらかを選ぶ必要があります。
【1】確定申告で、ふるさと納税「寄付金控除」手続きをする。
【2】「ワンストップ特例制度」を利用して「寄付金控除」手続きをする。
【1】確定申告の場合
2023年のふるさと納税について確定申告する場合、申告書を2024年2月16日(金)~3月15日(金)までに提出する必要があります。税務署に確定申告書を郵送する場合、自治体が発行するふるさと納税の「寄付金受領証明書」の添付が必要です。受領証明書が全てそろっているか、確認してください。
昨年12月に駆け込みで実施したふるさと納税では、まだ自治体から受領証明書が届いていない可能性もあります。確定申告を提出するまでに、全てそろっているように準備してください。
e-Taxで確定申告する場合は、受領書を提出する必要はありませんが、手元に保存する義務があります。
なお、確定申告書を提出するのが期限(2024年3月15日)に間に合わなかった場合でも、ふるさと納税の寄付金控除申請だけならば5年以内ならば提出することができます。
【2】ワンストップ特例利用の場合
確定申告しないで、寄付金控除を受ける方法もあります。確定申告をする義務のない給与所得者などで、ふるさと納税の寄付を行う自治体数が1年間に5つ以内ならば、「ワンストップ特例制度」を利用してふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。
2023年にふるさと納税を行った自治体数が5つ以内で、すでに、「ワンストップ特例申請書」を、提出期限(2024年1月10日)までに提出済みの方も多いと思います。2023年のふるさと納税について、「ワンストップ特例申請書」を漏れなく提出していれば、これからやることは何もありません。ただし、きちんとやったつもりでも、万一、不備がないか、確認した方が良いかもしれません。
「ワンストップ特例申請」に不備ないか、4つのチェックポイント
ワンストップ特例は便利ですが、気を付けないと不備で無効になることもあります。皆さまが昨年提出した申請に不備がないか、以下4つのチェックポイントで確認してください。
【要チェックポイント1】ワンストップ特例申請書を1年間で5つ以上の自治体に出してしまっていないか?
ワンストップ特例申請書を5つ以上の自治体に出すと、全てが無効となります。そのまま放置しておくと、税額控除がまったく受けられなくなります。
もし間違えて今年、5つ以上の自治体にワンストップ特例申請書を出してしまった場合、ふるさと納税の適用を受けるためには、2月16日~3月15日までの間に確定申告するしかありません。確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、ふるさと納税全額について、きちんと税額控除が受けられます。
1つの自治体に複数回ふるさと納税を行い、複数回返礼品を受け取る場合、ワンストップ特例の申請書は、寄付する都度、提出する必要があります。同じ自治体に寄付するならば、何回寄付しても自治体の数は1つと数えられます。紛らわしいので、以下、きちんと理解してください。
★5つ以上の自治体にワンストップ特例申請書を提出→全て無効
★4つの自治体に1回、別の1つの自治体に2回申請書を提出→提出した自治体は5つなので全て有効
【要チェックポイント2】一部の自治体にワンストップ特例申請書を出し忘れ
一番多い失敗は、申請書の出し忘れです。1年間に5つの市区町村にふるさと納税する場合、ワンストップ特例申請書を、5つの自治体全てに出す必要があります。4つの自治体には出したが、1つの自治体に出し忘れた場合、出し忘れた自治体への寄付では税額控除が得られません。
1つの自治体に2回ふるさと納税を行い、1回しかワンストップ特例申請書を出さなかった場合は、申請書を出さなかった寄付は税額控除の対象となりません。
今年、すでに5つの自治体にふるさと納税してワンストップ特例申請書を出したはずだが、「ひょっとして出し忘れたかも…」と思う時、どうしたら良いでしょう。自治体に確認する方法もありますが、それよりも簡単なのは確定申告することです。ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請すれば、確定申告が優先されます。
「ワンストップ特例申請書を出し忘れたかも」と思う人は、確定申告してしまうのが良いと思います。
【要チェックポイント3】ワンストップ特例申請書を出した後、住宅ローン税額控除(初年度)や医療費控除を受けるために確定申告した
ワンストップ特例申請書を出して、かつ確定申告をした場合、確定申告が優先されるので、ワンストップ特例申請は全て無効となります。確定申告しないつもりでワンストップ特例申請書を出していたのに、急に確定申告する場合は、注意が必要です。
例えば、急に医療費の金額が大きくなり、医療費控除を受けるために確定申告することになった場合、その確定申告書で、ふるさと納税「寄付金控除」もいっしょに申請する必要があります。そうしないと、ふるさと納税の税額控除が受けられなくなります。
確定申告するとワンストップ特例申請は無効になることを、覚えておいてください。
【要チェックポイント4】ワンストップ特例申請書の提出が期限に間に合わなかった
2023年のふるさと納税のワンストップ特例申請書は、2024年1月10日までに自治体へ提出(必着)しなければなりません。年末ぎりぎりにふるさと納税をすると、提出が間に合わなくなることもあります。提出が間に合わなくなると、その分、税額控除が受けられません。
もし間に合わなくなってしまった時は、「確定申告」するしかありません。確定申告をすることによって寄付金控除を受けることができます。
早めに一度、確定申告を経験した方が良い
主たる収入が給与所得だけの方、いわゆるサラリーマンの場合、確定申告したことがない人がほとんどです。税の申告は全て年末調整で済ませているのが普通であると思います。そういう方にとって、「ふるさと納税のために確定申告する」のは、とても骨の折れる仕事だと思います。
それでも私は、一度、思い切って確定申告を体験した方が良いと思います。2つ良いことがあります。
【1】将来確定申告の必要が生じた時、一度やったことがある経験が生きる
サラリーマンでも確定申告の必要が生じる場合があります。住宅ローン税額控除を受ける初年度、医療費控除を受けるため、寄付金控除を受けるためなどです。
また、上場株式の譲渡損失の繰越控除を受ける場合、年金受け取りが始まる場合などで確定申告が必要な場合もあります。
副業を解禁する会社が増えています。副業の所得が大きくなる時も確定申告が必要になることがあります。
一度、確定申告を経験しておくと、生涯にわたってその知識は有用になると思います。
【2】税に対しての意識が高まり、認められている節税をやりやすくなる
確定申告することで、自分がどんな税金をどのような名目で取られているかよく分かるようになります。税に対する意識が変わります。
医療費控除や寄付金控除などを、受けられるのに受けないで済ましてしまう人がたくさんいますが、一度確定申告を経験すると、認められている節税策はきちんと使う習慣が身につきます。
確定申告を行っている人は、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの非課税投資制度を使う比率が高いこともアンケート調査などで分かっています。税に対する意識を高めて、必要な節税を面倒くさがらずにやる習慣をつけた方が良いと思います。
以下、ふるさと納税の始め方や制度が分からない方に、制度の概要を説明します。
「ふるさと納税」とは
ふるさと納税は、自分が応援したい市区町村に、実質2,000円の負担で、寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から、返礼品が贈られてくる魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ、ご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。
例えば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、5万円を応援したい市区町村に寄付し、寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけ、ご自身が納めるべき税金が減ります。5万円寄付すると、4万8,000円分、納税額が減るわけですから、実質2,000円の負担で5万円の寄付を行ったことになります。
【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市区町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税、(2)都道府県民税、(3)市区町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。
確定申告なしで、税額控除を受ける方法もあります。
ふるさと納税で寄付を行う自治体の数が5つ以内ならば、ワンストップ特例制度が使える
「確定申告で寄付金控除の手続きをしてください」と言われても、確定申告した経験のない方には、とてもハードルが高いことです。しかし、確定申告しなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法があるからです。それが、「ワンストップ特例制度」です。
1年間に「ふるさと納税」で寄付する自治体の数が5つ以内ならば、確定申告をしないでも、ふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。それが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。ふるさと納税を行う際に、寄付を行う自治体に、「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出する必要があります。
ワンストップ特例を使う場合は、所得税は減りません。住民税だけで、「ふるさと納税額−2,000円」分、納税額が減ります。先に例に挙げた、5万円まで実質2,000円負担で寄付できる方の場合、5万円をワンストップ特例で寄付すると、確定申告しないでも、4万8,000円だけ、ご自身が納める住民税が減ることになります。
「楽天ふるさと納税サイト」などを通じて、ふるさと納税(寄付)を行う際、「ワンストップ特例申請書の送付」について、「希望する」を選択すれば、後で、寄付をした自治体から、申請書が送付されてきます。
送付方法は、自治体により異なります。封筒に入れて送ってくることが多いですが、返礼品の中に一緒に入っていることもあります。送られてきた申請書に必要事項を書き込み、「マイナンバー」関連の必要書類を添付して返送すれば手続き完了です。
返送用封筒は、入っている場合と入っていない場合があります(それも自治体により異なります)。入っていない場合は、自分で返送用封筒を作成して、返送してください。
寄付した翌年の1月10日までに、申請書が自治体に着かなければならないことに注意してください。2023年のふるさと納税ならば、2024年1月10日(昨日)までに提出する必要があります。本日時点でまだ手続きができていない方は、まず寄付する自治体に相談してください。
2024年のふるさと納税ならば、2025年1月10日までに提出する必要があります。ワンストップ特例申請書が届いたら、必ず必要事項を書き込み、すぐ返送するようにしましょう。
締め切りに間に合わなかったときは、「確定申告」すれば寄付金控除を受けることができます。「ワンストップ特例申請書」の提出が間に合わなかったとき、忘れたときは、「確定申告」しましょう。
確定申告で寄付金控除を受けるときは、寄付する自治体が何件でも(5件を超えても)問題ありません。
「ふるさと納税」最初の一歩!何はともあれ、まず、ご自身の「寄付上限額」を知ろう
年収、家族構成、扶養家族の人数などの条件により、ふるさと納税で自己負担額が2,000円を超えずに寄付できる「寄付上限額」が決まります。その上限額を知らないことには、ふるさと納税は始められません。
まず、以下の楽天ふるさと納税サイトの「かんたんシミュレーター」から、ご自身がふるさと納税の寄付金控除を受けられる「寄付上限額」の目安を、調べる必要があります。
ここで、「年収(2024年の見込み額)」「家族構成」「扶養家族」に関する情報を入力していただくと、寄付上限額(目安)が表示されます。
そこで表示される金額の範囲内で、毎月少しずつふるさと納税をやっていくのが良いと思います。
確定申告する予定ならば、何件に寄付してもOKです。ワンストップ特例制度を使うならば、寄付する自治体の数が年間で5件以内となるように考えて、1自治体への寄付額を決める必要があります。
寄付する時期によって、返礼品は異なります。「1~3月」「4~6月」「7~9月」「10~12月」に分散して寄付すると、春、夏、秋、冬に、季節おりおりの返礼品を楽しめます。
12月が近づき、2024年の年収額がほぼ分かるようになり、寄付上限いっぱいまでふるさと納税を行う際には、「かんたんシミュレーター」ではなく、「詳細版シミュレーター」で、正確に計算する必要があります。
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