2021年7月以降の日経平均の動きと、投機筋の先物売買

 2021年7月以降の日経平均と裁定買い残高の動きは、以下の通りです。

日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2021年7月4日~2023年12月18日(裁定売買残高は12月8日まで)

出所:QUICK・東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均の上昇下落に合わせて、裁定買い残高が増加減少しています。相場が大きく動く時は、以下【1】、【2】のどちらかが起こっていることが多いことが見て取れます。

【1】外国人の日経平均先物買いの増加→裁定買い残の増加→日経平均上昇
【2】外国人の日経平均先物売りの増加→裁定買い残の減少→日経平均下落

 2021年7月以降は、裁定買い残高が1.5兆円(赤い横線をひいたところ)に近づくと、減少に転じることが多いのが分かります。つまり、裁定買い残高が1.5兆円まで増加したら、日経平均が反落に向かうことが多いと言えます。

 ただ、裁定買い残高がいくらになったら反落に向かうという、特定の警戒水準はありません。過去には、買い残が3兆円まで増加してから反落に向かうことを繰り返したこともあります。その時々で、どこがピークとなるか異なります。

 少し説明が難しくて分からなかったかもしれません。結論だけ理解してください。結論は、「日経平均の短期的な値動きは、投機筋、主に外国人の日経平均先物売買が先導している」ということです。

2023年12月8日の裁定残高の意味

 12月8日時点で、裁定買い残は7,742億円です。外国人投資家による日経平均先物の投機的な買い建ては、そんなに大きくありません。裁定買い残高が1.5兆円に近づかない限り、「短期筋の買い建てが大きく相場が過熱している」とは見なされません。特に、警戒シグナルは出ていません。

 裁定残高から分かることは、それだけです。日経平均の先行きを判断するためには、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化と、投機筋の動きを両方見ていく必要があります。

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