重大イベント:日銀金融政策決定会合の結果が19日昼に発表
日本銀行が今日(19日)の昼ごろ、金融政策決定会合の結果を発表します。楽天証券経済研究所では、今回は重要な政策変更はなく、来年1月にマイナス金利が解除されると予想していますが、マイナス金利解除に向けて何らかの示唆がある可能性があります。
日銀から今日、マイナス金利解除に向けて何らかの示唆があると、為替相場には円高圧力が、日経平均株価(225種)には下げ圧力が、銀行株には上昇圧力が働く可能性があります。
今日の重大イベントを無風で通過するか、波乱が起こるか、今日の日銀の発表に注目です。
ところで、今日のリポートでは、ここから投機筋の動き、裁定残の読み方を解説します。中上級者向けの内容ですが、なるべく初心者でも分かるように書きますので、初心者の方にも読んでいただきたいと思います。
日本株を動かす外国人の先物売買
本欄で繰り返しお伝えしている通り、日本株を動かしているのは外国人投資家です。外国人が買い越す月は日経平均が上昇し、外国人が売り越す月は日経平均が下落する傾向が30年以上、続いています。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2023年12月18日(外国人売買動向は2023年12月8日まで)
2022年は、日経平均は狭いレンジのボックス圏で推移していました。外国人投資家の売買動向が定まらず、買ったり売ったりを繰り返していて、2023年に入ると、ボックスを上放れして、大きく上昇しました。その動きを主導しているのは、外国人投資家です。
中でも、外国人投機筋による株価指数先物(日経平均先物・TOPIX[東証株価指数]先物など)の売買は大きな影響力を持っています。過去の急落急騰は、ほとんど外国人の先物売買で演出されてきました。
その動きをくっきりと表しているのが、裁定買い残高の変化です。詳しく説明すると難解になるので、説明は割愛して結論だけ述べます。
東京証券取引所が発表している「裁定買い残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「買い建て」の変化が表れます。外国人の先物買い建てが増えると裁定買い残が増え、買い建てが減ると裁定買い残が減ります。
2021年7月以降の日経平均の動きと、投機筋の先物売買
2021年7月以降の日経平均と裁定買い残高の動きは、以下の通りです。
日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2021年7月4日~2023年12月18日(裁定売買残高は12月8日まで)
日経平均の上昇下落に合わせて、裁定買い残高が増加減少しています。相場が大きく動く時は、以下【1】、【2】のどちらかが起こっていることが多いことが見て取れます。
【1】外国人の日経平均先物買いの増加→裁定買い残の増加→日経平均上昇
【2】外国人の日経平均先物売りの増加→裁定買い残の減少→日経平均下落
2021年7月以降は、裁定買い残高が1.5兆円(赤い横線をひいたところ)に近づくと、減少に転じることが多いのが分かります。つまり、裁定買い残高が1.5兆円まで増加したら、日経平均が反落に向かうことが多いと言えます。
ただ、裁定買い残高がいくらになったら反落に向かうという、特定の警戒水準はありません。過去には、買い残が3兆円まで増加してから反落に向かうことを繰り返したこともあります。その時々で、どこがピークとなるか異なります。
少し説明が難しくて分からなかったかもしれません。結論だけ理解してください。結論は、「日経平均の短期的な値動きは、投機筋、主に外国人の日経平均先物売買が先導している」ということです。
2023年12月8日の裁定残高の意味
12月8日時点で、裁定買い残は7,742億円です。外国人投資家による日経平均先物の投機的な買い建ては、そんなに大きくありません。裁定買い残高が1.5兆円に近づかない限り、「短期筋の買い建てが大きく相場が過熱している」とは見なされません。特に、警戒シグナルは出ていません。
裁定残高から分かることは、それだけです。日経平均の先行きを判断するためには、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化と、投機筋の動きを両方見ていく必要があります。
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