消費者物価の伸びは実質雇用者報酬の伸びで決まる

 さて、賃金とCPIの関係に話を進めましょう。図表2に、日本の実質雇用者報酬(青い実線)とCPI(青い点線)、そして比較するのに最も適した米国の実質雇用者報酬(赤い実線)とCPI(赤い点線)を掲載しました。いずれも1990年を100とする指数にしています。

<図表2 日米の消費者物価と実質雇用者報酬>

(注)シャドーは景気後退期。実質雇用者報酬は名目雇用者報酬を消費者物価指数で割って算出。いずれも1990年=100に換算。
(出所)総務省、内閣府、米BEA、米BLS、楽天証券経済研究所作成

 このグラフを見れば一目瞭然、日米ともCPIが実質雇用者報酬と同じように推移しているのが分かります。1990年から2021年までの31年間で見ると、米国はCPIと実質雇用者報酬ともに年率2.4%のペースで上昇しているのに対し、日本はCPIが年率0.2%で実質雇用者報酬が0.5%。

 ピタリとはいきませんが、ほとんど同じ動きをしています。このグラフを見る限り、CPI上昇率は実質雇用者報酬の増加で決まっているように見えます。