先週末11月10日(金)の日経平均株価は3万2,568円で取引を終え、前週末の終値(3万1,949円)からは619円高となりました。週足ベースの上昇も2週連続となり、この期間の上げ幅は1,500円を超えています。

 前回のレポートでは、「フォロースルーの動きが出ているため、相場は上を目指しやすい」と指摘していましたが、その答え合わせも兼ねて、まずは先週の日経平均の動きを振り返ってみます。

日経平均は目先の売りに押されるも上方向への意識は残す

図1 日経平均(日足)の動き(2023年11月10日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 先週の日経平均は、上の図1を見ても分かるように、週初の6日(月)に一段高で3万2,000円台を回復した後、週末にかけてもみ合いが続く展開でした。前週に指摘した、フォロースルーの影響もあって結果的に株価は上昇したものの、同時に伸び悩んだ印象も与えています。

 また、テクニカル分析的には、週初6日(月)の取引によって、「窓」空けによる上昇が3つ連続して出現する、「三空(踏み上げ)」と呼ばれる形となりました。

 窓を空けての株価上昇自体は強い動きを意味しますが、「その窓空けが3回も続くというのは、ちょっと行き過ぎでは...」ということで、三空が出現した後の株価は利益確定売りが出やすく、下げやすいという見方があります。

 実際に、週末にかけての株価がもみ合いになったのも、三空が意識されての売りが出た可能性があります。

 その一方で、株価が75日移動平均線より上の位置をキープしていたほか、下段のMACDも「0円ライン」を上抜けているため、相場全体としては上方向への意識を残していると言えそうです。

連騰が目立った米国株市場

 続いて、米国株市場についても見て行きます。

 日本株と同様に、米国株市場もフォロースルーの動きが出ていましたが、さらなる株価の上昇が見込まれる中、米主要株価指数の動きを振り返ると、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株平均株価)が7連騰、S&P500種指数(S&P)が8連騰、ナスダック(ナスダック総合指数)が9連騰といった具合に、連騰記録が目立っていました(下の図2~図4)。

図2 米S&P500(日足)の動き(2023年11月10日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

図3 米NYダウ(日足)とMACD(2023年11月10日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

図4 米NASDAQ(日足)とMACD(2023年11月10日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 さすがに週の半ばに下落する場面があり、3指数とも連騰記録は途絶えましたが、週末10日(金)に揃って上昇して取引を終えており、米国株市場も引き続き上方向への意識を維持していると言えます。

今週は相場に影響しそうなイベントが多い

 このように、足元の株式市場はチャートの形状から見ると、さらなる株価上昇も期待できる格好になっているのですが、厄介なのが「今週は、相場に影響しそうなイベントや材料が、国の内外を問わずに、とにかく多い」ということです。

 具体的に見て行くと、以下の様な感じです。

<企業決算>

  • 日本:週の前半(13日~14日)で決算発表ラッシュが一巡
  • 米国:ウォルマートやホーム・デポ、ターゲットなどの消費関連企業の決算が注目される
  • 中国:テンセント、JD.com、小鵬汽車なども決算を発表予定

<経済指標>

  • 日本:7-9月期GDP(国内総生産)速報値(15日)
  • 米国:10月CPI(消費者物価指数)(14日)、10月小売売上高(15日)、
  • 中国:10月小売売上高、10月工業生産(いずれも15日)

<政治的なイベント>

  • 米連邦政府の「つなぎ予算」の期限(17日)
  • 米中首脳会談(15日)、日中首脳会談(16日)

<需給的なイベント>

  • MSCI指数の定期銘柄入れ替え公表(15日)
  • 「45日前ルール」(12月末までにファンドに対して顧客が解約意向を通知する期限)

 ざっと挙げて見ただけでも、かなりの数になります。

 今週の株式市場は、こうしたイベントや材料を通過して、さらなる上値追いを期待できるかが焦点になります。

 その一方で、米国株市場が連騰記録を演じていた直後だけに、市場がネガティブな方向に動いてしまった場合には、株価の下げ幅が大きくなってしまうことも考えられるため、注意しておく必要があります。