TOPIX100、3月期決算企業の7ー9月は19.2%増益

 トヨタだけでなく、7-9月の企業業績は、全般的に好調です。円安・米景気好調・リオープンが追い風です。決算発表と同時に、通期(2024年3月期)の業績(会社予想)を上方修正する企業が多数出ています。

 TOPIX100(東京証券取引所の時価総額上位100社)に含まれる100社のうち、3月期決算企業は83社です。うち、11月2日までに7-9月決算を発表したのは40社です。そのうち、決算発表時に通期の連結純利益(会社予想)を上方修正したのが18社、下方修正したのが6社でした。

TOPIX100、3月期決算企業の7-9月決算

出所:TOPIX100の3月期決算企業(83社)のうち、11月2日までに7-9月決算を発表した40社が集計対象。各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 上方修正に寄与したもっとも大きな要因は、円安です。米景気が堅調であることに加え、大幅な円安進行が、輸出企業の利益を押し上げました。

 輸出企業だけでなく、内需企業も好調でした。コロナ禍からのリオープンの恩恵で、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)JR東海(9022)も、利益見通しの上方修正を発表しました。

 一方、中国景気の悪化で、オムロン(6645)など、中国関連株(中国ビジネスが大きい日本企業)には下方修正がありました。また、半導体不況を受けて、アドバンテスト(6857)など半導体関連株が下方修正を発表しました。

 ただ、半導体関連株については、足元不振でも、先行きに強気の経営者がほとんどでした。今、半導体不況でも、来年にかけて生成AI(人工知能)投資が盛り上がり、その関連で半導体需要が拡大すると考えられているからです。来年には半導体ブームが復活する可能性があります。

通期業績見通しを上方修正、日本株の投資判断

 楽天証券経済研究所では、7ー9月の業績好調を受けて、東証上昇企業の通期(2024年3月期)業績見通しを、以下の通り、上方修正しました。

東証プライム上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2024年3月期予想

出所:楽天証券経済研究所が作成

 日本株の投資判断はいつも通り、変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 米景気はソフトランディングに向かうと予想していますが、米金利上昇・米景気減速にからむショック安で、一時的に株が下がることはこれからもあると考えています。したがってリスク管理は大切です。

 時間分散しながら少しずつ割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。

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