ドル・株起因の下落圧力の中、上昇

 以下は、イスラエルとガザ地区間での戦争勃発以降の、主要銘柄の価格推移です。

図:イスラエル・ガザ戦争勃発後の金・ドル・株の値動き(10月6日を100として指数化)

出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 同戦争が勃発したのは、10月7日の土曜日でした。

 前日の6日を100としてその後の価格推移を確認すると、NY金先物、国内の金価格(円建て)が上昇し続けたことのほか、金(ゴールド)相場に対する代替資産起因の圧力の方向性を図るために「ドル」に見立てた米10年債利回りは反落→反発、代替通貨起因の圧力の方向性を図るために「株」に見立てたS&P500種指数は反発→反落、と推移したことが分かります。

 戦争勃発直後から10月中旬にかけて、金(ゴールド)相場に対し、ドルは上昇圧力を、株は下落圧力を同時にかけ、中旬以降、ドルは下落圧力を、株は上昇圧力を同時にかけてきたことがうかがえます。つまり、戦争勃発直後から足元まで、代替通貨起因の圧力と代替資産起因の圧力はほとんど相殺されていた可能性があります。

 こうした中で、金(ゴールド)相場は上昇し続けました。これは金(ゴールド)固有の上昇圧力が存在したためだといえます。その圧力の起源が「有事」だったと考えられます。不安勃発を機に、投資家の間で資金の逃避先を求めて金(ゴールド)を物色する動きが加速する「有事の金」が出現したといえそうです。